2017年6月号

Rod&Reel(ロッドアンドリール)

Photo & Text/Morita Yuko Illustration/Ogura Takanori

基礎から学んで、グングン伸びる! バス釣り吉田塾
第7講義 バスのベイト(エサ)を知る!

バスをまだ釣ったことがない人、なかなか思うように釣れていない人たちのために、バス釣り界のレジェンド・吉田幸二さんが釣りのノウハウを伝授するぞ。今回のテーマはバスのエサについてだ!

バスのエサを知るとルアー選択の目安になる

バスは、フィッシュイーターと呼ばれる肉食魚の一種だ。生き物の動きに反応して捕食する習性があるため、ルアーのアクションで釣ることができる。そんなバスを釣るためには、エサとして食べている他の生き物を知ることがとても重要だ。

「基本的にバスは、生きるために何かを食べようとつねにエサを求めている。だから、そのフィールドにたくさんいて食べやすいベイトを知ることや、いまの季節にバスが何を食べているのかを考えることが、バスを釣るためには必要なんだ。お手頃サイズのヘビが水面を泳いでいたら、それを食べるかもしれない。食べないよね、とは決めつけずに、あらゆる可能性を考えておこう。

しかし、ベイトにそっくりなルアーを使えば釣れるってことじゃない。人間から見る見た目だけで判断するんじゃなくて、バスのいる自然を観察することが大事だよ。例えば、フィールドに逃げているワカサギがいたら、その動きを覚えておいて、ルアーを使うことを意識したりする。人間にとっては目立つピンクカラーでも、魚にとっては美味しそうな小魚に見えるのかもしれない。固定観念にとらわれない思考の柔軟さや、実際に釣った経験などの積み重ねが、今後のルアー選択やルアーアクションに生きていくはず」と吉田さん。

バスのメインベイトは、フィールドや季節によって変わるため、前号のテーマであるシーズナルパターンを密接に関係している。バスをもっと釣りたいなら、今号とともに再度前号も読んで理解を深めてほしい。

【基礎】
基礎となる知識を紹介。この知識を理解することで応用や発展ができる

【応用】
基礎の知識をもとに実際にやってみて、イレギュラーなケースにも対応

【発展】
基礎知識や応用力をもって、さらなる進化を導くための事柄を紹介する

バスはつねにエサを求めている

バスはエサを食べないと生きていけないため、いつも食べることを考えている。小魚の群れがたくさんいるなら小魚を追いこんで食べようとするし、木の下に虫がたくさん落ちてくるなら、つねに水面を意識する。石の間にたくさんのエビ類がいるなら、常時石積みのそばにバスはいるだろう。重要なのは、たくさんいて食べやすいエサは何かを、アングラーが知ることなのだ

バスはフィールドや季節によって食べるエサが変わる

【ベイトを調べる】

「基礎」 その釣り場で一番多いバスのエサを知る

初心者がバスがメインで食べているエサを知るためにはどうしたらいいのか、吉田さんに聞いた。「そのフィールドに、一番多い生き物は何かを調べる必要があるね。手っ取り早いのは、近くの釣り人や釣り具屋さんに聞くこと。礼儀正しく聞けば親切に教えてくれるはずだ。あとは水面を観察したり、自分で仮想することも大事。例えば、瀕死のワカサギをバスが水面で食べるところを見たら、ワカサギに似たルアーや動かし方をイメージすることができる。観察は大事だよ」

察した事実はイメージさせやすい

【水面を観察する】実際に水辺に行って、フィールドを観察してみる。長時間見ていれば、バスに追われる小魚や、流される瀕死の小魚、水面に落ちる虫などを見つけることができるだろう。「エビやザリガニ釣りをするのもいいね!」

【釣り人に聞く】バス釣りをしようと思っているフィールドで、ほかに釣り人がいたら聞いてみるのも手だ。「迷惑でないなら釣れた魚を見せてもらおう。釣られている魚のサイズを参考にするとルアーを選ぶ目安にもなるよ」

【お店に聞く】釣り場近くの釣り具店やレンタルボート店で、メインベイトを聞くのもアリだ。礼儀正しく聞けば、季節ごとのメインベイトや、バスがよく釣れるポイントを教えてくれるかもしれない。貴重な情報源だ

「応用」 一番多いベイトが住む場所を調べる

そのフィールドに多いバスのエサとなる生き物が、どんな生態でどんな所に生息しているのかを知ろう。それを理解することによって、ルアーを入れるポイントがわかるし、ルアーを選ぶ基準にもなるのだ。「昔は本屋さんや図書館に行って調べなくちゃいけなかったけど、いまはネットがあるから便利だよね。例えば、テナガエビなら夏季に護岸のシャローで産卵するから、それを狙ってバスは護岸のシャローに集まるかもしれない、とか、シラウオは遊泳力がないから風や波の影響を受けないワンドの奥まで入ってきていて、バスもワンドにいるかも、など考えることができるんだ。まずは得た知識をもとに、ベイトのことを思い描いて釣りをしてみよう。それで釣れれば貴重な経験になるから、次の釣りに生かすことができる」

【書籍やネットなどを利用しよう】バスを釣りたかったら、メインベイトの生態や生息場所などを書籍やネットで調べよう。そこで得た知識をもとに釣りをしてみると、いろいろなことがわかるはずだ

「発展」 メインベイトの動きに合わせてルアーを選ぶ

バスを釣るための有効なルアーやアクションを知るためには、メインベイトの形や動きを知る必要がある。ベイトの形や動きをルアーで模倣することを〝マッチ・ザ・ベイト〞と呼ぶのだが、初心者は難しく考えず、イメージすることが大事だと吉田さんは語る。「簡単なのは、淡水の水族館や熱帯魚ショップに行ってベイトの動きを観察することだね。小魚やエビの泳ぎ方や逃げ方、隠れる場所、エサの食べ方なんかを観察すると、ルアーの動かし方がイメージできると思う。使うルアーはベイトにそっくりでなくてもいいんだ。エビがゆっくり水中に沈んでいくようすを演出したいなら、ノーシンカーリグにしてスローにフォールさせてみようとか、そういう動きやスピードの方が重要だったりするんだよ」

【ワカサギ】日本全国の湖に生息しているがほとんどが放流魚。細長い魚体で、想像以上に速く泳ぐ

【ミノー系】ワカサギに似た細長いシルエットを持つプラグ。比較的浅いレンジ(泳層)で巻いて誘う

【ブルーギル】北米原産の体高のある外来魚でバスと同じサンフィッシュ科。1960年に日本に移殖された

【ビッグベイト】ギルに似た体高のあるシルエットやカラーリングにすることでギルを捕食するバスを誘う

【テナガエビ】全国に生息する甲殻類で、石の間などに生息する。最大全長が20cmになる個体もいる

【ホッグ系ワーム】エビなどの甲殻類を模したワーム。石の間などに根がかりしにくいリグで使うことが多い

【魚類】

「基礎」 数が多く食べやすい魚種が狙われる

バスがフィッシュイーターと呼ばれるのは、文字通り魚を食べる魚だから。そんなバスがもっとも捕食している小魚のひとつがワカサギ。ワカサギは日本全国に生息しているが、ほとんどのフィールドで放流魚だ。「ワカサギは、春に産卵するとそのほとんどは死んでしまう。すると、それまでワカサギをメインベイトにしていたバスは、春以降に食べるものをフナやブルーギル、ハゼ類にしたり、エビなどの甲殻類にするんだ。そんな風に、メインベイトは季節によって変わってくるんだよ。もちろんアユがいる琵琶湖などのフィールドでは、稚鮎がメインベイトになったりする。大事なのは、その時期にそのフィールドで数が多くて食べやすい生き物をバスは食べるということだ」

バスの好物だ!

【ワカサギ】日本全国に放流されている1年魚。まれに2、3年生きる個体はいるが、春に産卵するとほとんどが死んでしまう。卵から孵った稚魚は、秋以降になるとバスが食べやすいサイズになるので、再びメインベイトになる

【ブルーギル】尖った背ビレがあるため、昔、バスはギルを好んで食べないといわれていた。しかし近年はバスのメインベイトとして認識されている

【フナ】昔から日本にいる在来種で練りエサで釣れる。泳ぐのがあまり速くないため、ワカサギのいない季節にメインベイトになりやすい

【ヌマチチブ】全長8cmほどに成長する雑食性のハゼ科の魚。寿命は1年で、石やコンクリートなどのハードボトムに生息している

【アユ】一般的には川で孵化し、海で成長して川に産卵に戻る1年魚。全長は30cm近くまで達する。非常に美味で、バスの大好物

【ホンモロコ】日本全国の湖や沼、河川に生息するコイ科の小魚。約15cmに成長する。春から夏の繁殖期には群れでシャローに入ってくる

【シラウオ】透き通った細長い魚体が特徴で、全長8㎝前後まで成長する。早春の霞ヶ浦では、バスのメインベイトになることも多い

◼魚類系ルアー

【シャッド】いかにも小魚のようなシルエットを持つプラグ。小魚が泳いだり、逃げ惑うようなアクションで誘う

【クランクベイト】ずんぐりとしたファットなシルエットが特徴。ブリブリ泳ぐため、体高のある小魚を模すことが可能

【リアル系ワーム】小魚そっくりに作られたソフトベイト。フックやシンカーをセットして使用する

【甲殻類】

「基礎」 真冬以外ならメインベイトになりやすい

テナガエビやザリガニなどの甲殻類は、野池はもちろん、河川や天然湖、ダム湖や水路など、日本全国のあらゆるフィールドにいるため、ワカサギやアユが放流されていない釣り場では、バスのメインベイトになることが多い。「ザリガニは水温が5℃を下回ると冬眠状態になるし、モエビやテナガエビも落ち葉の下などに入ってしまうのでバスが捕食しにくくなるけれど、真冬以外なら甲殻類を模したルアーは効くよ。とくに霞ケ浦にはたくさんの甲殻類がいるから、水温が5℃以上あれば甲殻類系のワームやラバージグは有効だよ。また、夏になると護岸やシャローにテナガエビが産卵で集まるから、バスも岸釣りで釣りやすくなるな」

カバーの中にいるよ

【テナガエビ】淡水や汽水域の湖沼や河川に生息する夜行性の甲殻類。大物は20cmほどまでなる。腕が長いのが特徴で、昼間は石の下や護岸の穴の中でジッとしている。しかし曇天時なら昼間でも活動するといわれている

【ヌマエビ】日本全国に生息する小型の甲殻類で全長は3、4cm。雑食性であるが、比較的水質のきれいな場所を好むため、クリアレイクで見ることができる

【ニホンザリガニ】別名ヤマトザリガニ。日本の固有種で全長5、6cmになる甲殻類。低水温を好むため少数が北日本に生息しているが、関東で見ることはほとんどない

【アメリカザリガニ】アメリカ原産の外来種で日本全国に分布している。全長は10cm前後で、平野部の水田や用水路、池などに多く生息している。怒るとハサミで威嚇する

【スジエビ】日本中に生息している小型のエビで、釣りエサとしても販売されているおなじみの甲殻類。全長は5cm前後で、半透明で内蔵が透けて見える

◼甲殻類系ルアー

【クロー系ワーム】ザリガニの動きを演出するにはお尻の部分にシンカーを付けツメが上を向くようにする

【ホッグ系ワーム】エビ類を模したワーム。ヌマエビやスジエビをイメージさせるなら小型サイズを選ぶ

【ラバージグ】水中で複雑に動くスカートが特徴。クロー系やホッグ系ワームをトレーラーに付ける

【昆虫類】

「基礎」 虫が落ちる水面をバスは狙っている

普段、昆虫は空中を飛んでいるためバスに狙われることは少ないが、何かのタイミングで水面に落ちると身動きができない。そうなると昆虫は、バスにとって楽に捕食できるエサになる。とくに虫が活発に活動する初夏から秋のシーズンになると落下昆虫が増えるので、昆虫を模したルアーが有効になる。その時期、バスは水面を意識しているので、虫系のトップウォータールアーが効くのだ。また、ルアーが着水する音に反応することが多いので、ルアーの素材やアプローチ方法のバリエーションも考えよう。「とくにワカサギやアユなどの小魚がいない野池などでは、落下昆虫がメインベイトになるね」

シチュエーションは限定されるね

【セミ】セミとひと言でいっても種類は多い。夏になると成虫が土の中から出現するが、まれに春や秋に成虫になる種類もいる。成虫での寿命が短いため、弱ったセミが水面に落ちるとバスの格好のエサになる

【トンボ】主に初夏から秋にかけて活動する種類が多い。一般的にトンボは卵を水中に産み付けるため水面を飛び回る。そんな産卵時に、バスに捕食されやすい

【ヤゴ(トンボの幼虫)】トンボの幼虫をヤゴと呼ぶ。種類によって大きさは異なる。ヤゴは水中で生活しているため、水中でバスに捕食されることがある。羽化時に狙われる

【毛虫】毛虫は、チョウやガの幼虫のうち、毛や棘が生えている種類のものをいう。木の葉などから水面に落ちるとバスやギルに捕食されることが多い

【甲虫類】昆虫類のなかでも、多様な昆虫が分類される甲虫類。そのなかでも、やや小さめのテントウムシやコガネムシなどが、水面に落ちるとバスのエサになる

◼昆虫類系ルアー

【虫系ルアー】毛虫などの軽い虫を模して水面で使用する柔らかい素材のトップウォータールアー

【セミ系ルアー】セミを模して作られたトップウォータールアー。水面に波紋を作ってバスを誘う

【ノイジー系】水面を意識しているバスに対し、強烈にアピールするトップウォータープラグ

【特別講習】

バスはカエルや鳥も食べる

「バスは水中で生活しているから、普段は水中の生き物を食べているけど、まれに陸上の生き物を食べることもある。両生類のカエルや爬虫類のトカゲやヤモリ、鳥類のカルガモの雛なんかも、食べられる状況になったら食べる。だからそれらの生き物を模したルアーが発売されているんだね。でもそっくりな動きをさせなくちゃいけないということでもない。フロッグはカエルみたいに泳がせるより、ドッグウォークなど、ルアー独自のアクションの方が爆発的に効くこともある」と吉田さんは語る。だからこそバスフィッシング用のルアーは多種多様だし、ルアーアクションも多彩になる。それがバス釣りの醍醐味でもあるのだ

いろいろな生き物をバスは食べるよ

【カエル】日本全国に分布している両生類。水中に卵を産み、孵化後、オタマジャクシから成体になる

【フロッグ】カエルを模したトップウォーター。柔らかい素材でできているため、リアルな動きを演出できる

【ヤモリ】日本中にいる夜行性の爬虫類。全長は10cmほど。近種のイモリもバスは捕食する

【リザード】爬虫類を模したワーム。使い方はさまざまで、ノーシンカーで水面を引くこともできる

【カルガモの雛】湖沼や河川などに生息する鳥類。つねに水辺にいるので、雛がバスに捕食されることもある

【トップウォーター】鳥を模したトップウォーター。鳥類だけでなく、水面を意識するバス全般に有効

【まとめ】

・水辺を観察してたくさんいる生き物調べよう

・季節によって変わるメインベイトの生態を知ろう

・ベイトの形や動きをルアーで演出しよう

【塾長の今月の格言】食べられている生き物を知ることで、バスが知釣れるようになる!

吉田幸二/日本のバス釣り黎明期から活躍する日本初のバスプロ。1998年のバサーオールスタークラシック優勝など、数々のバストーナメントで輝かしい成績を残す。現在は、NPO法人・水辺基板協会代表であり、W.B.S.の会長

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