2017年6月号

Rod&Reel(ロッドアンドリール)

今江克隆/バス釣りの水平線 連載第18回

バス釣りと人生について誰よりも知る男、今江克隆さんの連載第18回。今回も気になる質問が届いたぞ〜!

【質問】

カレイドスピニングシリーズの新作、ビースティンガーについて教えてください。ソリッドとチュブラーの素材の違いによるメリット、デメリット等を今江プロならではの視点からお願いします。(東京都 山平悦郎さん 37歳)

今回はマニアックな質問から答えていきましょう。ソリッドティップのスピニングが近年はトーナメントでは80%以上の使用率といってもいいほど常識的選択になってるけど、ぶっちゃけこれを一般のアングラーがオカッパリなんかで使ってしまうと、まあまあ残念な気持ちになると思う。確かに芯が詰まったソリッドティップはEGの福島 健ちゃんにいわせると、無段階変則のエレキのダイヤル。「パイプ」が曲がると真円が楕円に変形してしまうチューブラーは5段変速のダイヤルみたいなしなり方っていってるね。確かにその通りで、ソリッドは実にしなやかに滑らかに曲がる。だからティップだけで軽いものをチョイと載せてショートモーションでピッと投げるサイトや、激タフ状況でバスが食ってもすぐ離してしまう様な状況では食い込みは抜群にいい。特にチビチビ食ってくるスモールマウスにはもはや絶対的戦力といっても過言じゃないね。でもこれは、あくまでトーナメントの特殊な状況を想定されたロッドがとても多いってことを忘れてはいけない。その追従性の良さをさばききれる繊細さと集中力がある上級者なら、わずかな違和感をクリアしながらバスとボトムの感触を数センチの移動距離の中で感じ取れるだろうけど、もう雑に使ってしまうと食い込みがいいから、岩や枝、砂利の隙間にいとも容易く「食い込んでしまう」ね。バスの食い込みがいいってことは、ひとつ間違えば根掛かりの食い込みも抜群ってこと。バスでも根掛かりでも、食いこむ一瞬手前を敏感に感知できる繊細さが無い人が使うと知らぬ間に深く根に噛み込んでしまうから地獄だね。まあ、違和感を感じた時にはナーバスなバスも手遅れになるくらいの食い込みの良さがウリだから、逆に人間が根掛かりを感じたときにはガッツリ食い込んでしまってるってワケ。外そうにも一旦深く食いこんだら、そのしなやかさが仇になって、叩いて外すことも出来ない。ここがソリッドの泣き所なんだ。

先日開催されたJBトップ50第1戦では、25年前のエアリアル&ウルトラエアリアルがトーナメントの最前線で通用することを証明した。名竿の輝きは未だ失われていない

その点、チューブラーは良くも悪くも、バスにも人にも解りやすい。無段階エレキは慣れれば快適だけど、どこでどの程度の力が出るかは微妙な感覚頼み。一方、5段階エレキは初心者でも力の入れ具合の選択は5つだから単純でわかりやすいってこと。チューブラーはシャキッとした張りが残っているから、岩に食い込む前に感じて、ティップであおってチョイって外すことがしやすい。だから簡単にいえば動かす、止める、揺する、外す、掛けるという自分の意思をルアーに正確に伝え、自らの意思どおりに積極的にルアーを操作したい人にはチューブラーが向いている。そういう意味で、実はビースティンガーは唯一、自分が自分らしい積極的に自ら仕掛ける攻撃的なスピニングの釣りをしたいから、あえて今の時代にチューブラースピニングを残した存在なんだね。そういう意味ではブッシュサーペントやスピンサーペントに採用してる太軸のタフソリッドは敢えてソリッドなのにチューブラーの感覚で使える張りを残した異色のパワーソリッドなんだね。軽いものを投げれるうえに、積極的に操作できるパワーソリッドスピニング。でもこの2機種はPEラインの使用を前提において初めてソリッドティップの価値が発揮されるパワーフィネススピンニングだから、いわゆる食い込ませるソリッドロッドじゃない。1500gクラスを抜き上げれるパワーを持ちながら、5g以下の軽いものをティップに載せチョイって正確に投げれる能力に特化したソリッドなんだ。

ちなみに変な話なんだけど、2017年TOP50開幕戦遠賀川では近年まれに見る激タフ試合だったんだけど、4位に入ることが出来たのは皮肉なことに25年前のエアリアルとウルトラエアリアルをこの試合で本気で使ったからなんだ。自分のTOP50キャリアで初めて、公式練習2日間で1匹のバスにも触れず、もう俺にはこの状況で「食わせること」は絶対無理って腹を括った。その腹を決めるためにあえてボロン&チューブラーの25年前のエアリアル2本とビースティンガーだけをこの試合で使ったんだ。食わせるより、自分が一番解り易い、簡単で明快な5段階エレキみたいなロッドを使うことで、全てを解りやすく簡単にしてみたら釣れた。リグはネコリグなんだけど、張りのあるチューブラーだから1.4〜2gの重いネイルシンカーを使って、「感じる」、「引っ掛ける」、「外す」、「掛ける」の操作が明確に意思どおりに出来たんだ。結果的にこれがなかなか食わなかったバスのリアクションバイトを誘って、初日トップウェイトを出し、予選1位という予想外の結果になった。まあ、決勝は欲出して巻きを加えてしまって安定のボーズ食らって4位に落ちたけどね。

自分的にはやっぱり、自分で積極的に仕掛けたいならチューブラーこそが攻めのスピニングだと思った試合だったね。

【質問】

今江さん、今年〝クル〟ルアーは何ですか?(埼玉県 関田祥文さん 35歳)

なんともズバリな質問だね......。まあそれが解れば業界人も苦労はしないんだけどね。ただ、アパレル業界なんかは特にそうなんだけど「今年はこれを流行らせよう」みたいなトレンド操作があって、業界全体がひとつの流行をコレクションや雑誌などを活用して誘導するケースってのは結構あるね。釣り業界にも似たような部分がないともいえないけど、釣り業界ではアメリカで流行ったものが1年遅れでドカーッて入ってきて「流行する」ケースがかなり多いように思うね。やっぱりまだまだバスフィッシングの本場はアメリカで、その流行が日本に大きな影響を与えている事は間違いない。アメリカのバスフィッシング人口の多さ、フィールドの多さ広さは日本の比じゃないから、発想や工夫も圧倒的にバリエーションが豊富でネタが尽きないんだろうね。昔は知らぬが仏で、アメリカの流行をまんまパクっても一般アングラーがその事実に気が付く事は少なかったけど、ネットが当たり前になった今の時代は業界主導というより、むしろ一般アングラーやプロショップがいち早くアメリカのトレンドを嗅ぎつけて、個人輸入で琵琶湖で試して流行る傾向がかなり高いね。琵琶湖は1年間でリザーバー100個分、野池1000個分に相当するアングラーが訪れる市場規模があるといってもいい湖だから、ここでの流行は必ず全国区になる。

この4月から琵琶湖でガイドサービスを始めた薮田プロ。マグナムフローティングバイブレーションでさっそく結果を出している!

そういうアメリカンな観点から予測すると今年〝クル〟ルアーは昨年秋頃からの最大の琵琶湖トレンドのマグナムクランクは確実にクルだろうね。5年前の「アラバマ」、4年ほど前の「ジャイアントベイト」、2年前の「マグナムスプーン」ときて、いよいよマグナムクランクになってきた。琵琶湖は唯一アメリカのフィールドにも匹敵するビッグバスが普通に釣れる湖だから、この巨大化トレンドはまだまだ続くだろうね。自分的にはこれを真似しても面白くないんで、イマカツ的には琵琶湖の特性と使い方の汎用性を考えたうえで、あえてマグナムクランクの流行には乗らず「マグナムフローティングバイブレーション」で勝負しようと思っている。その理由はもうひとつの絶対〝クル〟であろうトレンド、もうこれは絶対と思うけど2017年は「ギル」型ルアーの劇的進化年になるのではないかと思っている。琵琶湖のギルルアーの流行はデプスのブルシューターが火付け役だと思うけど、ここから数年前あたりからスタッガーワイドやブルフラットなど、ギル型ソフトベイト系への流れが急激にトレンドとなってる。そんでもって、今年も300艇近くが参加する琵琶湖オープン開幕戦でもジークラックのギル型ソフトスイムベイトで優勝者が出て、それが動画同船だったためもう確実に〝クル〟ね。

そんな流れもあって、自分的にはマグナムクランクではなく、昨年話題になった小南ギルポップの威力にも影響されて、ギル型巨大バイブレーションを試してみたくなったわけ。それもキモはフローティングで巻くと潜るバイブ。同時にフローティングからサスペンドまで調整できる機能を追加してる。要はバイブレーションのクセに軽すぎて飛ばなくて人気が全然なかったサスペンドのバイブレーション(イマカツでもラインナップにあるけどイマイチ売れません)の、特殊な威力を知っているからこそ、マグナムサイズにすれば「飛ばない」サスペンドバイブのデメリットを完全にカバーできるなと。で、これも小南ギルポップからのインスパイアなんだけど、ギル型で止めて浮かせて、水面シェイクでジャラジャラ鳴らせれば、絶対琵琶湖じゃ面白いんじゃないかなと。現在は薮田ガイドがテスト中だけど、いきなりロクマル連打で凄い結果が出てるから、マジで来そうな感じだね。

野池でも対岸まで届くくらい飛ぶし、普通に50 ㎝アップが釣れそうな予感だね。イマカツ的今年の〝クル〟ルアーNo1はこのフローティンングマグナム〝ギル〟バイブだね。それ以外でいえば、もう「ジャバロンギル」ってのがショーでも大注目だったけど、もうこれは何もいわんでも〝当確〟ですな。

今月の質問をいただいたお二人には、今江プロより実際に試合で使っていたIMAKATSUルアー(サイン入り)をお送りします。楽しみにお待ちください!

【質問募集】
当コーナーでは今江プロへの質問を募集中。最新テクニックやタックル購入の相談、マニアックなチューン方法、はたまたバスプロになるには?といった人生相談まで。バス釣りにまつわる疑問、質問を綴じ込みの読者ハガキ、もしくはrodori@chikyumaru.co.jpまでお送りください。採用者には今江プロからプレゼントを進呈します。あなたの質問、待ってます!

今江克隆(いまえ・かつたか)1964年生まれ。JBTA時代を含め、トップカテゴリーの最前線で戦い続けるバスプロであり、自他共に認める生粋のルアーマニア。イマカツC.E.O。愛犬家としても知られる。

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