月刊 税理のバックナンバー
2004/06/20発売号 (2004年7月号)
月刊 税理 2004年7月号

月刊 税理

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■月刊 税理の目次

巻頭論文
金融所得の一元化と番号制度 森信 茂樹
 政府税制調査会で、納税者番号制度の導入が本格的に議論されている。平成16年度の税制改正答申の中で、以後の課題として、金融税制の一元化と、納税者番号制度などによる納税の環境整備が上げられていて、検討の内容をまとめ中間報告されることになっている。税制調査会では、金融所得一体化課税の実施において、番号制度が不可欠としているようであるが、なぜそうなのか。番号制度導入によって、どのような課税の仕組みになるのか--などを明らかにしていただいた。



税務研究
公益法人制度改革の経緯と「議論の中間整理」の問題点 赤塚 和俊
 ここ数年の公益法人改革の議論の流れを踏まえ、3月末に政府から公表された有識者会議の「議論の中間整理」の問題点を指摘する。当面、NPO法人は対象外となったものの、非営利法人=原則課税の前提が維持されたことは将来のNPO法人課税にも影響を与える。さらに最大の問題として、残余財産の分配を容認するといった誤った制度設計が打ち出された点を指摘。中途で退社した社員と解散時の社員との公平性、持分ないところでの配当など矛盾点を挙げた上で、原則課税に道をつけるものとして批判を展開する。


事例研究
犯則調査を目的とした任意調査の違法性と質問検査権の限界 浅野 洋
 法人税法156条では、課税庁の質問検査権は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない、と規定されている。では、脱税事案に係る犯則調査に、税務調査で得られた証拠資料は利用できるのだろうか? 本稿では、任意調査と犯則調査が相次いで行われた事案につき、法人税法に違反するか否かが争われた判決例を検討するとともに、望ましい質問検査権の行使のあり方を提言していく。



特集
見直された文書回答手続と
      法人税・消費税実務への活かし方

 国税庁の文書回答手続が拡充され、これまで受け付けられなかった個別の取引等や同業者団体等の取引等に係る照会に対しても、回答が行われることとなった。回答内容は公表し、納税者の税法適用の予測可能性を高めるとしており、不明・不透明であった課税庁の取扱いが明確になることが期待されている。
  本特集では、改められた文書回答手続の方法や効果を確認するとともに、法人税・消費税の項目の具体的事例で事前照会の仕方・見解のノウハウを示す。
  なお、特集中の文書照会の記載例は、執筆者の実務経験の中から照会の対象になり得ると考えたもので、見解も筆者の個人的見解にとどまる点をお断りしておく。

インタビュー/上斗米明・国税庁課税部審理室長に聞く
               文書回答手続見直しの内容とその留意点


〈実務上の実効性と留意点〉
文書回答手続の対象となる事前照会の範囲

1.文書回答手続は、納税者の予測可能性を向上させるために特定の納税者の個別事情に係る事前照会についても、一定の条件の下に対象とする。
2.文書回答手続の対象の範囲は、事前照会者が自ら行う取引等についての国税に関する法令の解釈・適用その他課税上の取扱いに関する事前照会であって、これまでに法令解釈通達などにより、その取扱いが明らかにされているものは除外される。
3.文書回答手続では、仮定の事実関係や複数の選択肢がある事実関係に基づくものではなく、実際に行われた又は確実に行われる取引等に係る事前照会を対象としているので、事前の税務対策としては利用できない。
4.文書回答どおりの申告を行ったとしても、法令の改正等・調査による事実確認などにより照会に係る事実と異なるような場合には、別の判断に基づく課税処分等が行われる可能性がある。


事前照会への回答とその効力
1.事前照会に対する回答は、照会に示された事実関係に基づき、その時点の法令に則して、その範囲内での国税当局の判断を示すものである。
2.信義則は、租税法にも適用があり、文書回答手続は信義則の対象となる。
3.信義則が適用されるかは、納税者が示した事実関係に隠ぺい等がなかったか、また同一の事実関係であるかが問題となろう。
4.信義則が適用される事例であっても、その効力が及ぶ範囲は制限的であるべきであり、また行政、立法の適切な対応が望まれる。
税理士業務における文書回答手続の活用
1.文書回答手続の拡充は、納税者の予測可能性を高めることを目的として行われたもので、原則として歓迎すべきものである。
2.文書回答手続は、濫用防止との関係での制限が数多く定められており、照会対象の取引の範囲が狭くなっている問題点がある。
3.「確実に行われる取引等」であることを照会するに当たって、納税者は実行確実性を明らかにしなければならない。
4.税理士は、納税者に対する注意・説明義務を果たすために文書回答手続を活用することができる。



〈事項別による記載例〉
役員報酬・賞与・退職金 植田  卓
1.ある事案について、複数の法令解釈が成り立タつと解され、かつ、法の趣旨や判例、裁決事例等を検討しても、その判断がつきかねる場合において、申告納税制度のもとで、申告の安全性や安定性を図るために、文書回答手続の利用を検討すべきである。
2.過大役員報酬に該当するかどうかの判断基準など、税法の解釈や適用をめぐって疑義が生ショウじたものは、他でも生じうる事例であり、その情報は、他の納税者にとっても有用なものであることから、事前照会の対象になるが、個々の役員報酬の額が過大であるかどうかの判定など、具体的な金額の妥当性を照会するものは、事前照会の対象にはならない。
3.文書回答手続を利用するに当たっては、申告納税制度の理念を踏まえ、あらかじめ納税者・税理士としての見解を十分に検討し整理してから臨むべきであり、安易に税務行政庁の見解を得ることを主目的として利用することは慎むべきである。



減価償却 轟木 洋二
1.技術革新、製品の多様化によって、従来では考えられないような「資産」が生まれることは必然であり、法律であらかじめ定義することには限界がある。
2.技術に関して、ある程度の専門的知識がなければ判断し得ないケースも珍しくはない。
3.特にソフトウェアに関しては、その定義からして曖昧である。
4.以上の点をとってみても、事前照会の活用は一考に値するが、先端技術等に関カンする照会では申告までに時間に余裕を持った対応が要請される。


寄附金 上西 左大信
1.子会社等を整理又は再建する場合の取扱いは、法人税基本通達9-4-1又は9-4-2で示されている。
2.子会社等の再建支援策はその方法が多岐にわたり、これらの通達に直ちに該当しない事例がある。
3.親会社の子会社に対する債権放棄の金額は多額である場合が多く、寄附金に該当するか否かは、親会社の税負担を考慮すると、子会社の再建支援に影響を与えることもある。
4.文書回答手続を、税理士に対する損害賠償請求を回避するための方法の一つとして活用することも検討すべきである。


貸倒損失・債権放棄 吉村 博一
1.実務上最も問題となる、債務者の資産状況、支払能力等の状況や回収見込みの有無の判断の妥当性などの「事実認定」に関するものは文書回答手続の対象とならない。
2.提示された事実関係を前提として回答がなされるため、回収不能であること等の事実関係を明らかにする疎明資料の収集・準備がポイントである。

3.事前照会者の求める見解の根拠となる貸倒損失等の裁判例、学説、雑誌等の事例の収集がポイントである。
会費・分担金 山口 義夫

1.会費・分担金は、法人(納税者)が同業者団体等とのかかわりで生ずる負担であり、その支出はすべての会員企業に共通する事項であることが多い。
2.会費・分担金は、原則的には損金となる支出であるが、a)法人業務との関連性の有無、b)同業者団体等の事業目的と留保金の処理、c)支出金の損金計上時期などの事実認定が問題となる。
3.会費・分担金に関する事前照会は、同業者団体等が行い、会員企業に対し、その回答内容を周知して、適正な税務処理を行うように指導する。

課税・非課税・不課税取引区分 益子 良一
1.回答を求めるための文書の作成において、事実関係は時系列的に説明する必要がある。
2.事実関係の記載の仕方及び趣旨の記載の仕方によっては文書回答の対象外となるので、照会内容の表現方法が非常に重要である。
3.課税庁の見解を求めるに当たり、契約書類等、主張を証明する資料の整備が大切である。


仕入税額控除 小池 正明
1.資産の時価の算定など事実認定に属する問題は、事前照会に係る文書回答手続の対象にならない。消費税の仕入税額控除に関しては、課税資産の価額が適正かどうかという課税仕入れの額の認定に関する事例について文書回答を求めることはできない。
2.事前照会を行う際は、その趣旨や事実関係を明確に記載するとともに、事前照会者の求モトめる見解とその理由を明示することがポイントとなる。
3.建物などの不動産の取得を課税仕入れとする仕入税額控除の適用は、その資産の価額が合理的に算定されている限り、当事者間で契約した譲渡価額が課税仕入れに係る支払対価となる。
簡易課税制度 熊王 征秀
1.事業区分の判断ミスは100%顧問税理士の責任である。
2.「性質及び形状を変更しないこと」が第一種事業及び第二種事業に区分するための要件となる。
3.「性質及び形状の変更」についての明快な定義は消費税の法令や通達には存在しない。




法人税実務
連結納税制度に含まれる子会社への指導・対応 鈴木  宏
  平成16年4月1日開始事業年度から、連結納税で税額に2%を加えることとなっていた付加税の制度が廃止されている。これによって、連結納税を選択する企業体が多くなることが予想されるが、中小企業では子会社として連結納税に組み込まれる会社が、多くなろう。子会社に組み込まれる場合、事前に連結会社として会計基準の統一をし、単体の所得計算をして親会社に報告し、連結所得を計算することになることから、親会社との連絡、自社での調整など、さまざまな作業が必要になる。連結所得・税額の計算を踏まえて、連結される子会社の対応すべき事項を検討し、税理士としての指導の留意点を探る。


会社の税務
退職金制度等の改廃に伴う税務の留意点 小田川 典正

景気が回復基調にあるとはいえ、中小企業ではまだまだマイナス方向の対応が目立つ。その対応として、退職金規定・企業年金制度などの見直しを行うなどのアクションを取り入れる中小企業がある。退職金や年金制度の改廃などに関連した企業のアクション、そしてそれに伴い従業員が受け取る清算金の取扱いにつき、改廃パターンごとに税務の留意点を検討する。


株式の税務
ベンチャー企業への投資と株式譲渡の際の税務留意点 山田 啓之
 今年度税制改正で、ベンチャー企業への投資を優遇する「エンジェル税制」が大幅に拡充された。適用対象株式にグリーンシート・エマージング銘柄の株式等が加わり、また、譲渡益が2分の1に圧縮される特例の適用要件が緩和された。経済産業省では、これらの改正により、エンジェル税制の活用件数は15倍以上に跳ね上がると試算している。そこで本稿では、ベンチャー企業の株式を取得・譲渡したときの特例を総ざらいするとともに、譲渡に際しての適正価額判定のポイントを探っていく。


消費税実務
拡充された課税期間短縮制度の活用と留意点 柏木 修一
 今年の4月より、昨年に改正された消費税法が施行された。このうち簡易課税制度は、適用上限額が2億円から5,000万円に引き下げられ、大きな影響を及ぼすことなる。そこで、(1)新課税事業者(課税売上高1,000~5,000万円)が、簡易課税制度を適用するか、否かの選択のポイント、(2)適用除外となる事業者(課税売上高2億~5,000万円)の対応(簡易課税選択届出書等の提出など)――と事業者を大分して、その実務の対応と留意点について検討する。



事務所経営
解禁された証券仲介業への進出のためのチェックポイント 嶋  敬介   
今年4月に解禁となった証券仲介業が、税理士から注目されている。関与先に対して証券仲介を行うことで、業務の拡大を目指したいとの考えもあろうが、では証券仲介業への進出に当たって、どのような手続やハードルがあるのだろうか? 本稿では、証券仲介業制度の概要を確認した上で、進出した場合の税理士事務所のメリット・デメリットや、顧客のニーズについて検討を行っていく。


国際税務
新日米租税条約の発効による源泉地課税の変更点 川田  剛
日米租税条約の大改正が行われて、7月1日から多くの改正事項が適用される。今回の条約改正の最大の特徴は、日米間で相互経済をさらに促進するため投資所得に対する源泉地国での課税を大幅に軽減したことにある。特に、使用料、一定の親子間配当及び一定の利子については源泉地国で免税とするなど、従来の条約からの大転換が図られている。投資所得に対する源泉地国課税、たとえば、アメリカ法人が日本法人へ使用料や配当を支払っている場合にアメリカの源泉課税がなくなることにより、受取額はかなり多くなることから、アメリカへの投資にも意欲が高まることになろう。逆に、アメリカ法人の投資の場合も、投資所得は日本で源泉されない分だけ多くなる。これらの仕組みを解説するとともに、この制度の活用を検討する。


業際研究
節税商品勧誘者の保持すべき専門的知識と注意義務(下) 酒井 克彦
前回(上)に引き続き、節税商品の勧誘事件――等価交換によるマンション建設勧誘事件等――を素材とするが、(下)では裁判所が節税商品勧誘者の注意義務と専門的知識の欠如をどのように指摘しているかに的を絞り、税理士を含めた専門家が専門的知識を修得するための研鑚義務に検討を加える。まとめとして、節税商品勧誘者には税務上の取扱いを含めた商品説明やリスク説明が要請される一方で、これら商品の契約締結過程における法的インフラの整備に関する研究が必要だと指摘する。


利益計画
内装工事業のモデル利益計画 齋藤 恭明
 建設業全体の傾向としては、建築着工件数が減少傾向にあり厳しい環境がつづいているものの、リフォーム需要は底堅く、内装工事業者にとっては、この動向を捉えた機敏な経営判断が求められるところである。本稿では、下請偏重、売上至上主義的な会社をモデルに、いかに元請仕事を増やすか、また、利益率向上のためにどのような原価管理が求められるか、といった点につき、改善策を示す。併せて、今後ますます拡大する見通しであるリフォーム業界において、どのように生残りを図るべきか、その方向性を提示する。




連載
ポイント・オブ・ビュー
東京大学教授・税制調査会金融小委員会委員長 奥野正寛氏に聞く


税理士事務所みてある記
望月 光男 税理士事務所(東海税理士会静岡支部)

好調関与先にはワケがある!
松倉グループ/矢吹 寛 税理士

検証! 非公開裁決
「取締役会議事録の信憑性」上西左大信

クマオーの消費税トラブル・バスター
「相続の特例と簡易課税の関係は、どうなる?」 熊王征秀

法律問題ワンポイント・レクチャー
「買収対象会社に株券がなかったら…」菅原万里子

金融機関との上手な付合い方
「財務諸表など計算書類の質の向上に向けた取組み」について-その2-/甲賀伸彦

医療法人制度の最新事情
「病院会計準則改正の影響と問題点」 東日本税理士法人

改正税理士法ステップアップ
近藤新太郎

税理士事務所のIT戦略
塩見哲/神田祐二

租税訴訟裁判への扉
蔵重有紀

私のKeyword/小谷文子

税理士の休日/宮森俊樹

税務・会計相談コーナー



別冊付録・税務情報
・連結法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
・連結法人税の仮称申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)
・「法人税の重加算税の取扱いについて」の一部改正について(事務運営指針)

別冊付録Ⅱ 租税判例の回顧(平成15年上半期)



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月刊 税理の読者レビュー

  • 総合評価:★★★★ 4.0
  • 投稿数:11
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読者レビューは他のお客様によって書かれたものです。感想には個人差がありますのでご了承ください。

必需品
投稿日 2012/02/24
投稿者 かっぱ
会社員
★★★★★ 5.0

会計実務に携わる際とても参考になります

毎月欠かさず読んでいます
投稿日 2011/11/20
投稿者 なお
自営業
★★★★ 4.0

税務実務について役立つ記事が多いです。毎月欠かさず読んでいます。

いろいろ役に立ちます。
投稿日 2011/10/06
投稿者 あっきー
会社員
★★★★★ 5.0

税制改正にも対応しているし、解説も具体的でわかりやすく、とても役に立っています。これ1冊であらゆる税法に使えます。

税務実務に役立ちます
投稿日 2010/07/23
投稿者 お父さん
コンサルタント
★★★★★ 5.0

税務実務には必須の雑誌です。税法改正・トピックスの特集が充実しており税務・会計プロフェッショナル必携だと思います。

税理
投稿日 2009/12/23
投稿者 なな
専門職
★★★★★ 5.0

改正点だけではなく税務の主要ポイントは定期的に掲載されているため、会計実務に携わる際とても参考になっています。

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