月刊 税理のバックナンバー
2004/08/20発売号 (2004年9月号)
月刊 税理 2004年9月号

月刊 税理

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■月刊 税理の目次

巻頭論文
電子化時代の税務執行と税理士業務
中央大学アカウンティングスクール教授 渡辺智之
 本年6月から国税電子申告・納税システム(e-Tax)の全国運用がスタートするなど、情報通信技術の発達と普及は、税務執行のあり方にも具体的な影響を及ぼしつつある。
  本稿では、「電子化時代」への流れの意味を、デジタル情報とネットワークという観点からとらえたうえで、今後、税務執行はどのように変わっていくのか、また、税理士業務はどうあるべきかを考察する。


税務論文
金融所得一体課税における資産滅失損の取扱い
桜美林大学教授 野田秀三
 このほど、政府税制調査会・金融小委員会から「金融所得課税の一体化についての基本的考え方」が公表された。この中で取り上げられているテーマの一つが、「資産滅失損の取扱い」。株式の発行会社が倒産して無価値化してしまった場合等の損失を、税務上の損失とすべき旨が示されている。本稿では、この資産滅失損について、従来の税務取扱いとエンジェル税制等との比較、今後求められる方向性等について論考している。



特集
最近の租税事件から探る個人所得課税の問題点
 実務界に衝撃を与えた平和事件について、最高裁判所は原告側の上告申立てを不受理決定した。判決では、問題となった「収入なきところに課税なし」の原則には、結局触れられず、あやふやなまま敗訴が確定している。また、ストック・オプション事件の判決では、ストック・オプションの権利行使益を「給与所得」か「一時所得」とするかの区分を確定できず、司法の判断も分かれている。こうした判決の揺らぎは、実務における予測可能性に大きな影響を及ぼすものである。そこで、最近の個人所得課税事件を検討しながら、現行所得課税の問題点を指摘し、実務の視点から課税のあり方を模索する。


所得課税の原則と制度改革の視点
大阪府立大学教授 田中治
1.個人所得課税は、課税の公平の観点から、総合累進課税を基本とすべきである。
2.個人単位を徹底する見地からは、時代にそぐわない世帯単位主義の仕組み(所得税法56条)を改正する必要がある。
3.立法府は、経済社会の変動に適切に対応するとともに、租税法律主義の具体化、内実化に努めなければならない。
4.租税立法においては、常に総合累進課税の原則に立ち返りながら、立法の趣旨、目的、射程等を明らかにして、具体的で分かりやすい適用要件や基準を定めなければならない


〈所得課税原則〉
「収入なきところに課税なし」原則の破綻―平和事件―
水戸短期大学講師 ・税理士 橋本守次
1.「個人の同族会社への行為計算」が所得税法157条の規定による否認の対象となる「同族会社の行為計算」になるという判決は問題である。
2.より問題のある個人対個人における行為計算の否認の規定を欠くのに、同族
3.この判決を足掛かりとする今後の税務行政への危惧を覚える。

個人の低額譲渡・利益供与における所得課税― 平和事件・「交換か売買か」事件等
中央大学教授大淵博義
1.いわゆる「交換か売買か」事件で、最高裁は納税者の採用した法形式を課税庁が他の法形式に置き換えることができないと判示した。
2.平和事件では、無利息貸付けにつき個人の収入発生をフィクションとすることができるかが争われ、納税者の主張が受け入れられなかった。
3.これらの判決等により、従前の課税実務が変貌する可能性が生じることになったが、本稿では、この判決等が低額譲渡等の課税実務に与える影響を検証する。

「生計一」親族間における対価の授受
税理士金井恵美子
1.所得税法56条の伝統的な解釈及びこれまでの裁判所の判断は、「生計を一にする」場合には限定なく適用されるというものであった。
2.弁護士である夫が、妻である税理士に支払った報酬について所得税法56条の適用の有無を争った事件では、地裁において納税者の主張が認められたが、高裁では逆転敗訴の判決がくだされた。
3.したがって、所得税法56条の適用範囲を限定解釈した実務処理については、課税庁は更正処分の対象とせざるを得ないであろう。
4.立法当時とは、家族のあり様やその意識、産業形態等が変化した今日、所得税法56条はその存在意義を失っており、立法における対応が期待される。


実質所得者の判断
―芸能法人、米国LLC事件等
税理士高畠敏之
1.法人の実態がない場合には、実質所得者課税の原則によって個人所得とされる。
2.法人成りしても、著作権等は、法人に譲渡しない限り個人に権利があり、印税等は個人の所得となる。
3.米国LLCは、米国においてパス・スルー課税が採られていても、日本においては原則として法人として扱われるため、その損失を個人所得に含めることはできない。

実額申告の適用と信義則
税理士浪花健三
1.税法の領域においても、信義則の適用は可能である。
2.ただし、租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、信義則の適用については慎重でなければならない。
3.しかしそのあまり、適用要件、特に「公的見解の表示」が限定的に運用されることには若干の問題がある。
4.上記観点から、信義則の当否は総合的、具体的に考察されることが望ましい。

必要経費の事業関連性
税理士刈米裕
1.個人事業者は、稼得行為の主体であるとともに消費経済の主体でもあることから、家事関連費等の発生とは不可分となる。
2.明確に必要経費を算定するために、使用面積比率等による家事関連費等の分離が必要である。
3.収入獲得貢献度合いから考える「事業関連性」支出の疎明を行う。
4.納税者サイドが役務提供の実態に伴う事業蓋然性を主張すべきである。


〈所得区分〉
給与所得か一時所得か―ストック・オプション事件
税理士 志岐昭敏
1.所得税法において、所得区分の基準は、収入を実現させる行為による。
2.ストック・オプションは、「労務提供によってストック・オプションを取得する外部取引」と「権利を行使して株式を取得する外部取引」の二つの課税対象単位に分かれるが、これを一括りとした課税対象単位とすることは無理がある。
3.ストック・オプションに対する課税庁の取扱いは、所得税法34条1項の適用誤りといえよう。

事業所得か給与所得か 中村雅紀

譲渡所得か給与所得か 朝倉洋子




新法令解説 松崎啓介
国税の電子申請等の運用拡大に伴う国税関係電子化省令等の改正 
情報通信技術利用法3条1項の改正により、電子納税証明書を請求する場合の交付手数料の額が一枚370円(改正前:400円)に引き下げられた。また、平成16年9月6日からの電子申請等の利用可能手続の大幅な拡大に伴い、国税関係電子化省令の電子申請等の対象手続を大幅に拡大するほか、所要の改正が行われた。本稿では、その改正の内容について解説する。






留保金課税特例に係る自己資本比率算定の判断ポイント
税理士 博林一典
 15年度改正で拡充された同族会社留保金課税の適用停止措置(措法68の2四)により、多くの中小企業が恩恵を受けている。この措置の適用は、自己資本比率50%以下の場合に適用となるが、これを算定する際の総資産の額、及び自己資本の額の認識の段階で、実務家の混乱が起きている。例えば、小規模私募債を発行している際の取扱いはどうなるか、また50%を少し超えている場合に期末に駆込み融資を受けた場合にはどうか……等々、実務上生じがちな具体的な疑問はどのような点か、またその判断はどうすべきなのだろうか。実務で疑問となるであろう点をさぐり、その対応を考察する。

貸倒損失の損金計上時期をめぐるトラブルパターンとその対応
税理士 小林麿寿美
 景気の低迷により、債権の回収を断念せざるを得ないケースが増加している。この場合、法人税の貸倒損失処理が必要となるが、その実務処理は法人税基本通達9-6-1~9-6-3に規定されているのは周知のとおり。だが、この取扱いでも、例えば債務者に民事再生計画の許可決定があったことを失念し、その年に損金処理をしていなかった場合、また債務者から担保を取っていたケースで債務者に貸倒状況があった場合に、当該年度の利益を勘案して担保の処理を遅らせるなどの行為を行ったなど、トラブルを招くことが予測される。そこで貸倒損失に係る損金算入時期をめぐるトラブルパターンを探り、その対応等を検討する。

形式基準等による資本的支出と修繕費の区分に関する留意点
税理士 中里昌弘
 修繕費か資本的支出か、をめぐるトラブルは常に古くて新しい問題だ。この修繕費か資本的支出かに関して定める法人税基本通達7-8-1~7-8-6を検討し、設例を用いた検討を行う。

役員・法人間で行われがちな相殺取引の注意点
税理士 後久亮
 中小同族会社では、役員と法人間で恣意的な取引が行われやすいことは、周知の通り。例えば、役員所有土地を会社に譲渡し自社ビルを建築する際に、その一部を社長の居住部分を得る場合などでは、土地と建築費を相殺する例が散見される。
  こうした同族会社で起きがちな、役員・法人間で生じがちな相殺取引で、税務上で注意すべき点を、法人税・所得税・消費税別に検討する。

社会保険料等の未納をめぐる問題と税務対応
税理士 浅野務
 国民年金の未払問題をめぐって国会が紛糾し、政府官房長官や野党党首が辞任に追い込まれたことは記憶に新しい。国民年金に限らず、厚生年金や健康保険、労働保険などの保険料を未納・滞納しているケースは、中小企業でもしばしば起こりがちだ。本稿では、社会保険料等の支払いが滞った場合の追納制度や延滞金の徴収制度などを紹介するとともに、税務上の取扱いと留意点を検討・解説していく。



ケース別・土地取引に付随した金銭授受に係る税務トラブル
税理士 木島裕子
 固定資産税の清算金が代表格だが、土地取引に付随して支払われる金銭がある。交換特例に係る交換差金や賃貸建物敷地の譲渡の際の貸借人に対する立退料などの授受にあたっては、その費用性や、額の適正性をめぐり慎重な検討が必要となる。
  そこで、土地取引に付随して支払われる金銭を金員別に検討する。

複数の個別要因が混在する土地評価の留意点
税理士・不動産鑑定士 下崎寛
 一団の土地の評価に当たって、単純な評価で収まるケースは希有だ。評価対象の土地に、例えば二つの容積率が存在するようなケースや、倍率方式による評価を行う場合に異なった評価倍率が付されているようなケースなど、複数の要因が混在しているケースは、その評価に当たって困難となる。また、先の評価通達の改正で広大地の評価も大きく変わっている。そこで、これらの土地をめぐって行う鑑定評価、及び相続財産評価の相違点、他の減額要素との関係で注意すべき点等を考察する。

相続財産の活用による延納の納付対策
税理士 二ノ宮伸幸
 免税点や簡易課税の適用上限が引き下げられたことに伴い、医療機関においても新たに課税事業者となる病医院が大幅に増加すると言われている。このような病院については、消費税の課否判定を今までしていなかったことが多いと思われるので、税理士が指導にあたるうえで注意を要するところだ。本稿では、診療科目別に注意すべき消費税の課否判定について解説する。




医療機関が気をつけたい消費税課否判定のチェックポイント
税理士 吉田久子


通信工事業のモデル利益計画
中小企業診断士 岩崎勝弘
 情報通信技術の発展に伴い、各種新サービスの浸透やインフラの整備が急速に進んでいる。また、建築設備機器に対する高度化ニーズの高まりが見られるなど、長期的な視野で見れば今後、大幅な成長が期待できる業界であるといえよう。しかしながら、現在は工事単価の下落、新技術への対応など、外部環境の変化に対応すべく、的確な経営手腕が求められるところでもある。本稿では、工事単価の下落に悩んでいる企業をモデルに、生産性や採算管理意識を改善する施策を示すとともに、今後の成長に向けた基盤強化の実現手法を紹介する。



ポイント・オブ・ビュー 元参議院議員 野末陳平氏に聞く
税理士事務所みてある記 竹長 徹 税理士事務所(北陸税理士会敦賀支部)
好調関与先にはワケがある! 株式会社新日本住宅(東京都練馬区)
/仁科 忠二郎 税理士(東京税理士会蒲田支部)
検証! 非公開裁決 「前回調査の指摘と過少申告加算税」古矢 文子
クマオーの消費税トラブル・バスター 「新設法人の特例は諸刃の剣!」 熊王征秀
法律問題ワンポイント・レクチャー 「突然、携帯電話にサイト利用料金の支払督促がきた!」菅原万里子
金融機関との上手な付合い方 「財務諸表など計算書類の質の向上に向けた取組み」について-その4-」甲賀伸彦
医療法人制度の最新事情 「特定医療法人における税務調査のポイント」 東日本税理士法人
改正税理士法ステップアップ 近藤新太郎
税理士事務所のIT戦略 塩見哲/神田祐二
「取引先持株会からの配当に係る所得税額控除」 中村 彰宏
税務・会計相談コーナ 
   /「ネッティングによる債権債務の相殺と課税関係」(法人税関係)
   /自閑博巳「債務控除の対象となる葬式費用」(資産税関係)
   /伊藤正彦「連結計算書類制度の適用対象等」(会計関係)/山中成大
租税訴訟裁判への扉 /「総額主義と争点主義」藏重有紀
ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
私のKeyword/執行裕子
税理士の休日/斉藤忠彦


別冊付録 税務情報
・相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)
・「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)
・会社法制の現代化に関する要綱案(第二次案)(会社法(現代化関係)部会資料30)
  ほか


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月刊 税理の読者レビュー

  • 総合評価:★★★★ 4.0
  • 投稿数:11
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必需品
投稿日 2012/02/24
投稿者 かっぱ
会社員
★★★★★ 5.0

会計実務に携わる際とても参考になります

毎月欠かさず読んでいます
投稿日 2011/11/20
投稿者 なお
自営業
★★★★ 4.0

税務実務について役立つ記事が多いです。毎月欠かさず読んでいます。

いろいろ役に立ちます。
投稿日 2011/10/06
投稿者 あっきー
会社員
★★★★★ 5.0

税制改正にも対応しているし、解説も具体的でわかりやすく、とても役に立っています。これ1冊であらゆる税法に使えます。

税務実務に役立ちます
投稿日 2010/07/23
投稿者 お父さん
コンサルタント
★★★★★ 5.0

税務実務には必須の雑誌です。税法改正・トピックスの特集が充実しており税務・会計プロフェッショナル必携だと思います。

税理
投稿日 2009/12/23
投稿者 なな
専門職
★★★★★ 5.0

改正点だけではなく税務の主要ポイントは定期的に掲載されているため、会計実務に携わる際とても参考になっています。

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