■月刊 税理の目次
税務訴訟の最近の傾向と補佐人の役割 専修大学大学院教授
増田 英敏
最近の租税訴訟の傾向は租税法の実体規定の解釈を争点とする質的に高い事例が多く登場している。租税訴訟は納税者の権利救済に不可欠であり、租税訴訟の活発化は納税者の視点からすれば歓迎すべきであろう。
この租税訴訟に補佐人として積極的に関与することが、税理士に強く求められている。税理士が租税法専門の法律家として真価を発揮する絶好のチャンスであるといえよう。本稿はこの視点から租税訴訟における補佐人税理士の役割を検証する。
特定同族会社株式特例の100%活用法
中小同族会社の事業承継円滑化政策として、平成14年に設けられた「特定同族会社株式特例」。導入当初は、厳格な適用要件や節税効果の低さなどから、活用を見送る実務家が大半であった。が、平成15年、16年と連年で制度改正が行われ、格段に使いやすい制度になったといわれる。とはいえ、まだまだ適用要件は複雑・難解を極めており、特例の適用に二の足を踏んでいる税理士も少なくないだろう。
そこで本特集では、特定同族会社株式特例の仕組みや申告書の作成方法を完全解説するとともに、適用における選択判断をパターン別に検討し、特例活用によるトラブルの未然防止策を提示する。
相続対策における特定同族会社株式特例の活用スキーム 税理士
平川 忠雄
1. 拘束性財産である自社株を有利に承継するためにも、特定同族会社株式特例の活用が重要となる。
2. その活用スキームの実行に当たっては、相続時精算課税制度を活用する特定受贈同族会社株式特例を用いる場合には、いつ、誰に、どの程度の贈与を行うかを、特例の適用要件を確認の上、チェックシートと免責協定の策定を踏まえて行うことが肝要となる。
3. また、自社株を後継者に譲渡する手法を複合的に組み合わせることにより、特定受贈同族会社株式特例の要件をクリアさせる等の効果も生じる。
4. 本特例を有効的に活用することにより、後継者にインセンティブを与え、会社の業績アップにもつながる。
特例同族会社株式特例の仕組み 税理士
岩下 忠吾
1. 相続税は、相続等により財産を取得した者(人)と課税対象となる財産(物)との組合せで決まる。
2. 特定同族会社株式特例は、相続により取得した株式と精算課税制度による贈与により取得した株式の双方に適用がある。
3. 相続時精算課税制度による贈与分について本特例の適用を受ける届出書を提出している場合で相続の際に贈与分について本特例の適用を受ける部分については、小規模宅地特例及び相続により取得した同族株式の本特例適用に制限がある。
4. 特定同族会社株式特例には、遺産分割が済んでいること、取得者がその同族会社の役員であること、一定の書類を添付した相続税の申告書を提出すること等の要件が付されている。
特定受贈同族会社株式特例の仕組み 税理士
吉田 幸一
1. 相続時精算課税の適用を受ける贈与により取得した株式等についても本特例の適用が受けられる。
2. 本特例の適用要件等は原則として贈与の時において判定する。
3. 被相続人である特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格計算において減額が受けられる。
特定(受贈)同族会社株式の判定と申告書の作成方法 税理士
坪多 晶子
1. 相続時精算課税制度の適用を選択した特定受贈同族会社株式については、相続時に「特定同族会社株式特例」の適用を受けることができる。
2. 上記の適用を受けようとする相続人等は、その特定受贈株式の贈与税の申告書と同時に、税務署長に対し特例の適用を受ける旨等を記載した書類を提出する必要がある。
3. 特定同族会社株式特例の適用を受けるための計算明細には、当該株式の「贈与時の時価総額」と「相続時の時価総額」、及び「贈与時の1株当たりの時価」と「相続時の1株当たりの時価」のいずれもの記載が必要である。
4. 小規模宅地特例の適用も受ける場合は、特定事業用資産の特例の対象となる特定(受贈)同族会社株式等の調整限度額等の計算の記載に注意が必要である。
贈与時における特定受贈同族会社株式特例の選択判断 税理士
青木 恵一
1. 非上場株式等のうち、現在の株価が安く、将来株式の評価が大いに上がる場合には、贈与時に特定受贈同族会社株式特例の選択を検討する。
2. 現在は特定同族会社株式特例(措法69の5)の要件を満たしているが、相続開始時点では上場を予定するなど、その要件から外れることが確実な非上場株式等の場合には、贈与時に特定受贈同族会社株式特例の選択を検討する。
3. 経営権を早期に移転しておくことが望ましい場合に特定受贈同族会社株式特例を選択することも、経営権の委譲という観点から一案である。
4. 相続時精算課税制度の受贈財産は物納できない。物納を予定している非上場株式等は、相続財産として残しておく必要がある。
特定同族会社株式特例と小規模宅地特例の選択・適用判断 税理士
小林 良治
1. 特定同族会社株式特例における課税価格の軽減額が、平成16年度税制改正において1億円にアップした。これに加えて15年度改正により小規模宅地特例と特定同族会社株式特例との併用が認められており、両制度が併用可能なケースでは特例選択について検討が必要となる。
2. 特定同族会社株式特例を有効活用するためには、小規模宅地特例との損益分岐点を認識し、シミュレーションを行う必要がある。
3. 特定同族会社株式特例の適用のために、株式等の適正な評価が求められる。
相続株式・受贈株式・小規模宅地の調整適用と有利判断 税理士
小林 良治
1. 平成15年度税制改正において、相続時精算課税制度により生前に株式等の贈与を受けた場合であっても特例適用は可能となっており、特定贈与者の相続開始時において株式等の価額が受贈者の相続税の課税価格に算入される際には10%減額の適用を受けることができる。
2. 小規模宅地特例との選択・併用適用に関しては、相続開始時において有利判断が行われることから自社株の評価額推移、あるいは宅地等の評価額推移をある程度総合的に予測した上で株式等の贈与を絡めた有利判断を行うことが重要になってくる。
3. 相続開始時において自社株の評価額の増加が予想され時価総額20億円を上回ってしまう可能性がある等、特定同族会社株式特例を受けるための要件を満たさない場合には評価時点のタイミングを上手に利用し、相続時精算課税制度を利用した生前贈与の活用を考えた対策を行うことも得策となる。
特例選択・適用の陥りがちなミスとその回避策 税理士・公認会計士
徳田 孝司
1. 改正により特定同族会社株式特例適用の判断基準が大きく変わった。
2. 小規模宅地特例により有利になるケースが多くなる。
3. 調査等により結果として不利な選択・適用をしているリスクがある。
4. 税理士に責任が及ばないよう、納税者に対してリスクの内容等を十分説明する必要がある。
特例適用における実務の疑問点 税理士
小池 正明
1. 平成16年度改正において、いわゆる2分の1超株式保有要件は、被相続人を中心として相続開始の前後で判定することとされた。
2. いわゆる20億円未満要件は、平成16年度改正において、特定受贈同族株式等について特例の適用を受ける旨の届出をしなかったものも含めて判定することとされた。
3. 特定受贈同族株式等の場合は、贈与時において判定すべき要件と相続時において判定する要件に分かれるが、贈与時の適用要件が相続時には該当しないこととなっても原則として特例の適用に影響しない。
特別解説 君塚 明宏
神永 隆行
外形標準課税に係る申告書作成の留意点
平成16年4月1日からスタートした法人事業税の外形標準課税。これまでの法人事業税とは異なる課税標準(付加価値額及び資本等の金額)を用いていることから、申告書も新たに数種類作られており、記載内容もこれまでの法人事業税のものとは異なっている。本稿では、記載実例を紹介しながら、申告書記載に当たっての留意点等につき解説する。
関係会社へ業務を委託する場合の税務留意点 税理士
長野 匡司
企業が関連会社へ業務を委託する場合に、委託料が過大または過小であるとして、税務調査で争われることがある。時価と認められる合理的な価額以上の委託料が支払われている場合は、過大部分は委託法人から受託法人への寄附金とされ、過小であれば受託法人から委託法人への寄附金となる。この時価とされる合理的な価額が、いくらかで寄附金課税されるか否かが決定されるが、人の派遣や、あるいは調査に基づいた研究の報告など、時価の判定が困難な場合はどのようにしたらよいのであろうか。法人から個人への委託で争われた事例を含め、時価の判定と委託料の支払等についての留意点を検討する。
社長保有の特許等に係るロイヤリティーに生じがちな留意点 公認会計士
神門 剛
今日では、自ら保有する特許を基に起業する例も珍しくない。本稿では、企業の技術戦略の中核をなす特許権について、非公開企業を念頭に、そのオーナー経営者等が保有する特許を自社にライセンスするケースにおいて、実務上どのような点に留意すればよいかについて、(1)特許権を(経営者が)取得し、(2)自社へライセンスしてから、(3)最終的には自社へ譲渡するものとのフィクションを置き、これらの3段階における留意点を考察する。社長保有の特許等に係るロイヤリティーをめぐって生じるであろう税務トラブルを、法務を踏まえて検討する。
一括取得した土地・建物・附属設備等の対価区分 税理士・公認会計士
長岡 勝美
土地・建物・附属設備等の固定資産を一括で取得した場合、それらの対価区分を明らかにすることが税務上求められる。通常、売買時の契約書等に対価区分が記載されており、税務上もそれに従えばいいわけだが、これが明らかでない場合には、さまざまな手法が考えられる。土地・建物それぞれの適正価額を求め取得価額の合計額を按分する方法、消費税の逆算による方法、「建物の標準的な建築価額表」を用いて算定する方法……等がある。本稿では、これらの手法を法人・個人別に分けて検討し、実務上の諸問題を整理する。
社団・財団法人が注意したい消費税処理のチェックポイント 税理士・公認会計士
三上 清隆
このところ、税務調査で公益法人の消費税が狙い打ちにされているという。公益法人の独特な消費税処理としては、特定収入がある場合の仕入れに係る消費税額控除特例の適用があるが、基本的な課税・非課税の判断が不能であるというケース珍しくないと、聞く。そこで、本稿では、特に財団法人・社団法人に焦点を当て、顕著なトラブルを紹介すると共に、どのような指導が必要か、また可否判断のチェックポイント等を検討する。
取得時効が完成した財産の相続における課税 税理士
遠藤 みち
土地の境界が画然としていないことがまれにある。農地で境界としていたあぜ道が移動していたり、あるいは隣地との境界線の指標が隠れて判然としなかったり、あるいは戦後のどさくさにまぎれて人の土地をそのまま占有していたりする。こうして善意無過失の占有が10年、悪意でも20年続くと取得時効が完成する。民法では、時効を援用した場合その所有は占有開始にさかのぼっての所有となる。しかし、税法では、さかのぼっては課税期間をすぎてしまうことから、時効の完成の時期か、援用の時期か、あるいは裁判等で決定したときにされるが、明示規定がないことから取扱いが異なっている。民法の適用と税法におけるに取扱いの違い、さらに税法における判断の諸説を紹介する。
自動車整備工場のモデル利益計画 中小企業診断士
平村 一紀
自動車販売数の伸びが鈍化し、総整備売上高が2年連続減少している自動車整備業界。加えて修理工場のフランチャイズチェーンが大きな伸びを見せるなど、まさに変革期にあるところだ。本稿では、ディーラー系や兼業事業者と比べ、苦戦を強いられている自動車整備専業事業者をモデルに、効率性の向上、新車対策に関する経営改善手法を提示する。
ポイント・オブ・ビュー
横山 彰 中央大学教授に聞く
税理士事務所みてある記
三輪厚二 税理士事務所(大阪府大阪市)
好調関与先にはワケがある!
布川医院(東京都足立区)/安部勝一 税理士(東京税理士会豊島支部)
検証! 非公開裁決
「小規模宅地等特例と更正の請求」藤曲武美
クマオーの消費税トラブル・バスター
「新規開業の日って、いつなんだろう?」 熊王征秀
法律問題ワンポイント・レクチャー
「テナント付き中古ビルの購入に当たって注意すべきことは?」菅原万里子
金融機関との上手な付合い方
「政府系金融機関の活用策」甲賀伸彦
医療法人制度の最新事情
「特定医療法人における書面添付の必要性」 東日本税理士法人
改正税理士法ステップアップ 近藤新太郎
税理士事務所のIT戦略 塩見哲/神田祐治
実務の焦点
「労働者派遣に係る付加価値割の特例」岡崎和雄
「平成15年分に生じた純損失の金額の平成16年分の繰越控除」川島雅
税務・会計相談コーナー
「新株の交付を行わない分割の課税関係」(法人税関係)諸星健司
「特定の株主による増資の引受けと贈与税課税」/渡邉正則
「四半期財務情報の開示」(会計関係)/新井武広
租税訴訟裁判への扉
「訴訟における新たな事実の主張」藏重有紀ケース・スタディ
多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
私のKeyword/大石和弘
税理士の休日/河本明
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読者レビューは他のお客様によって書かれたものです。感想には個人差がありますのでご了承ください。
- 必需品
- 投稿日 2012/02/24
- 投稿者 かっぱ
- 会社員
- ★★★★★ 5.0
会計実務に携わる際とても参考になります
- 毎月欠かさず読んでいます
- 投稿日 2011/11/20
- 投稿者 なお
- 自営業
- ★★★★ 4.0
税務実務について役立つ記事が多いです。毎月欠かさず読んでいます。
- いろいろ役に立ちます。
- 投稿日 2011/10/06
- 投稿者 あっきー
- 会社員
- ★★★★★ 5.0
税制改正にも対応しているし、解説も具体的でわかりやすく、とても役に立っています。これ1冊であらゆる税法に使えます。
- 税務実務に役立ちます
- 投稿日 2010/07/23
- 投稿者 お父さん
- コンサルタント
- ★★★★★ 5.0
税務実務には必須の雑誌です。税法改正・トピックスの特集が充実しており税務・会計プロフェッショナル必携だと思います。
- 税理
- 投稿日 2009/12/23
- 投稿者 なな
- 専門職
- ★★★★★ 5.0
改正点だけではなく税務の主要ポイントは定期的に掲載されているため、会計実務に携わる際とても参考になっています。







