■月刊 税理の目次
巻頭論文
更正の期間制限に係る不均衡と見直しの視点
流通経済大学教授
高橋 靖
国税通則法は、申告納税した者の更正の請求期限を1年に限っている。一方、課税側の更正期限は、5年の年限があり、昨年の改正で法人税制においては7年に延長されている。取引等の複雑化等を背景に課税庁が行う更正の請求期限を延長するのであれば、納税者も同様の状況にある。課税側との対等性を実現維持するためにも国側の期間制限と同様にすべき、とする主張がある。このバランスの違いはどこからきて、どのような問題点があるのか、検証していただいた。
事例研究
第三者間取引に対する低額譲渡課税の問題点
税理士
小池 正明
独立した第三者間にもかかわらず、相続税法7条の低額譲渡課税を妥当とする判決が下された、先のさいたま地裁平成17年1月12日判決に対する疑問点を検討する。
同事件を振り返りつつ、第三者間取引に対する同法7条の適用が可能とする課税理論の根拠はどこにあるのかだろうか。私的取引を規制するものという危惧も生じる第三者間取引に対する問題点に焦点を当て、その対応を考える。
帳簿等の保存の有無をめぐるトラブルとその対応策
税理士
久乗 哲
昨年末から今年にかけて、税務調査時の帳簿等の不提示に関して、消費税の仕入税額控除適用、青色申告取消しの可否をめぐる最高裁の判決が立て続けに示されている。このほかにも、帳簿等の保存の有無をめぐる課税庁と納税者のトラブルは枚挙に暇がない。そこで本稿では、帳簿等の保存が税務問題に発展するケースを分析し、税務否認を受けない適切な実務運営のあり方を検討していく。
特集/Q&A 新会社法で どうなる、どうする有限会社
来年に予定されている新会社法の施行により、現行の有限会社法が廃止される見込みである。だが、新法施行前に設立を終えている有限会社は、特例有限会社という位置付けながら、従前と同様の存置が可能となる。
本特集では、新法施行によって有限会社がどのような位置付けとなるか、そして新法下で株式会社に移行する場合のポイントなど、関与先が抱く疑問に答えることができるよう解説を行う。
有限会社法の消滅で有限会社はどうなる
日本大学教授
根田 正樹
1.新会社法は、有限会社を株式会社に統合し、合名会社、合資会社、新たに創設される合同会社という四つの会社形態を認める。これに伴い有限会社法は廃止される。
2.既存の有限会社は新会社法に基づく株式会社として存続するが、商号中に「有限会社」という文字を使用する特例有限会社として活動することが認められる。
3.特例有限会社に対する新会社法の規制は、現行有限会社法と変わらない。
4.特例有限会社は、商号の変更手続だけで「株式会社」となることができる。
関与先への情報提供はこうする
公認会計士
佐藤 敏郎
1.有限会社制度が廃止される平成17年度の商法改正(「新会社法」)の実務上のポイントをレジュメ形式で解説する。
2.有限会社の経営者の実務上の疑問に答え、新会社法施行前後の対応策をチャート等で解説する。
3.「確認有限会社」を設立して事業運営をしている会社に対するアドバイスをフローチャートで解説する。
4.新しく会社を設立しようとしている起業家へ対応策を解説する。
<有限会社の選択肢――特例有限会社か、株式会社に移行か>
特例有限会社を選択~有限会社のままでいるメリット
税理士
中島 孝一
1.新会社法施行の際、現に存する有限会社は、特例有限会社として存続するか、通常の株式会社へ移行するかを選択しなければならない。
2.特例有限会社として存続すると、現行の有限会社の規定(取締役等の法定任期の不適用・公告等の適用除外等)が継続して適用される。
3.通常の株式会社へ移行すると、取締役等の法定任期の不適用等の適用がない。なお、新会社法施行後に行う通常の株式会社への移行は、「組織変更」ではなく「商号変更」とされる。
新会社法施行を前に行う有限会社設立
税理士
岡本 博美
1.新会社法の施行により有限会社法は廃止され、以後、有限会社を設立することはできなくなるが、施行日前であれば有限会社の設立ができる。
2.新会社法施行日前に有限会社を設立するためには、社員総会等の手続の効力(設立登記の申請書を登記所へ提出した日)が施行日前に生じていなければならない。
3.会社法施行日前に設立された有限会社は、新会社法施行後には特例有限会社として存続することを選択することにより、現行有限会社とほぼ同様の規定が適用される。
株式会社を選択~株式会社に移行するメリット
全国中小企業団体中央会企画部主幹
北原 直
1.既存の有限会社は、強制的に株式会社に移行させられることはない。
2.株式会社への移行によって得られるメリットとして、資金調達で優位になることや、株式会社でなければ受けられない制度の適用などがある。
3.一方、株式会社への移行によって課される制約としては、役員の任期が制限されること、決算公告があることなどがあるが、会社法の制定でこうした制約も大きなデメリットとは言えなくなっている。
<特例有限会社から株式会社に移行するための対応>
株式会社への移行の手順と手法
弁護士
村田 英幸
1.有限会社法は廃止される。
2.現行有限会社は株式会社として存続する(これを「特例有限会社」という。)。
3.特例有限会社は、商号中に「有限会社」という文字を用いなければならない。
4.有限会社から株式会社への変更は、現行法では「組織変更」といい、新法では商号及び定款の変更として扱われている。
5.新会社法施行前に効力が生じていない有限会社から株式会社への変更は無効となる。
6.新会社法施行後に有限会社は株式会社へ商号の変更及び定款の変更をすることによって、通常の株式会社へ移行することができる。
7.新会社法施行後の株式会社への移行の場合、商業登記手続上では、特例有限会社の解散と新株式会社の設立の登記が必要。
商号の変更と表示に関する留意点
税理士
龍前 篤司
1.類似商号規制は撤廃されることとなり、今後は同一市町村内において同一営業、同一商号の会社が複数存在することが可能となった。
2.類似商号規制が撤廃されたとはいえ、同一住所、同一商号の会社は営業目的が違っていても登記することができない。
3.既存の有限会社は有限会社制度の廃止によって株式会社(特例有限会社)に移行するが、この場合は商号中に「有限会社」の文字を使用しなければならない。
4.特例有限会社は商号変更により通常の株式会社へ移行させることができる。
5.商号にまつわるトラブルの解決は自分自身で行わなければならない時代となった。
株式会社への移行に関連する事務・手続
司法書士
久津川 守
1.有限会社が通常の株式会社に移行したとしても、権利義務の主体である法人格に変動が生じるわけではない。したがって、税務署等に対しては、商号の変更があった場合と同様の変更の届出を行うこととなる。
2.不動産の所有権等その権利を有していることを第三者に対して主張するために登記又は登録を必要とする権利に関しては、その名義人の表示(商号)の変更を行うこととなる。
3.取引先、債権者に対して組織変更を行った旨の通知が必要となる。ホームページを開設している場合には、ホームページ上においても株式会社への移行を行った旨の案内を掲載することが望ましい。
4.有限会社においては社内における各種の規程が整備されていることは少ないと思われる。しかし、会社組織を効率よく運営していくためにはルール作りが必要であるので、株式会社への組織変更を機に社内規程の整備を行うべきである。
機関設計、役員設置の考え方
税理士
中川 祐一
1.特例有限会社の機関設計は、現行有限会社と変わりない。また、株式会社へ移行した場合でも定款に株式譲渡制限を設ければ(非公開会社)、同様の機関設計が可能である。
2.非公開会社は取締役会の設置が任意であるが、設置することで、業務執行に関する意思決定は取締役会が行うこととなり、株主総会がこれに直接介入することはできなくなる。これに対し、取締役会を設置しない場合には、株主総会が業務執行に関する事項についても決議できる。
3.特例有限会社の監査役は、会計監査権限を有するのみである。株式会社へ移行する場合には業務監督権限も付与されるが、非公開会社であれば定款で会計監査権限に限定できる。
決算公告等に関する留意点
弁護士
服部 弘
1.既存の有限会社であって、有限会社法廃止の時点で存在するものは、「特例有限会社」という位置付けによって、存置可能である。この「特例有限会社」については、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により、会社法の適用の一部除外が認められているところ、特例有限会社については、計算書類の公告等についての会社法案440条及び442条2項の規定は適用されず、「決算公告」は義務付けられない。
2.特例有限会社は、定款を変更してその商号中に株式会社という文字を用いる商号の変更をすることができ、その登記を了したときには、通常の株式会社に移行できるが、その際は、会社法案440条及び442条2項の規定が適用され、当該会社は、計算書類の公告を要する。
3.株式会社における決算公告(ないしは公示)方法としては、1)官報又は日刊新聞紙による決算公告、2)電磁的方法による計算書類の公示、3)電子公告制度採用会社の場合の電子公告による決算公告 の3方法がある。
有限会社社長に聞く! 新会社法施行後の対応に関するアンケート
編 集 局
月刊「税理」編集局では、有限会社法の廃止に伴って有限会社の経営者がどのような対応をとるのかにつき、アンケートを実施した。質問項目は以下のとおり。
Q1:新会社法の制定により、有限会社の新設ができなくなる等の改正が行われますが、このような改正があることはご存知ですか?
Q2:新会社法の施行後、株式会社への移行を考えていますか?
Q3:(Q2で「はい」と答えた方)株式会社に移行しようと思った理由は何ですか?(複数回答可)
Q4:(Q2で「はい」と答えた方)株式会社になったとき、どのような組織形態を選択する予定ですか?
Q5:(Q2で「いいえ」と答えた方)株式会社に移行しない理由は何ですか?(複数回答可)
Q6:新会社法の制定に関して、顧問税理士や弁護士に詳しく教えてもらいたいことはありますか? また、それはどのようなことですか?(複数回答可)
通則法実務
確定判決を理由にした更正の請求の可否判断のポイント
税理士・公認会計士
林 隆一
国税通則法では、一度申告したものについての更正の請求の期限について、通常の場合は、1年以内に限っているが、判決や和解、国税の決定があった場合その他やむを得ない理由がある場合などの、後発的事由があった場合、その事実が生じた日から2か月以内ならば更正の請求を認めている。しかし、この後発的事由については、裁判が馴れ合い裁判とされたケース、横領の判決があったとしても所得税上の所得があったとされるケースなど更正の請求が認められないケースが多い。後発的事由により更正の請求ができるケースはドンのようなものがあるかを検討する。
法人税実務
古くなった棚卸資産の低価法の適用と評価損の計上
税理士
清水 謙一
最近は商品のライフサイクルの短縮化が顕著で、それに伴い製品の陳腐化も早くなっている。そうした場合、原則的評価方法かあるいは、期末時価のいずれか低い価額を評価額とする対価法の適用を行えば、在庫の価値が実際の価額を反映することになろう。その低価法の適用の方法と、陳腐化が著しい場合の評価減の損金計上を認める法人税基本通達9-1-4の適用の方法を検討し、時価の捉え方などそれぞれの違いを確認する。
中古パーツを利用した内製機器等の取得価額
税理士
後藤 政則
例えば、複数の製造機械を持つ工場が、それらの中古パーツを利用して機器の内製を行う場合の取得価額、そして減価償却はどのように考えるべきであろうか。一方、内製のためにパーツを取り外した方の機器が使用に耐える場合には、未償却残高は再計算が必要になる。その対応は、どうすればよいか。中古機器等を再活用するための内製にスポットを当て、その実務留意点を設例形式で検討していく。
過年度教育訓練費の抽出とその実務ポイント
税理士
須田 忠行
今年度税制改正の目玉といわれる「人材投資促進税制」だが、この特例を初年度(平成17年4月1日以後開始事業年度)から適用する場合、当期の教育訓練費を租税特別措置法の規定に従って正確に把握しなければならない。加えて、過去2事業年度分の教育訓練費も正確に洗い出し、適用要件の充足を証明する資料の整備も求められる。そこで本稿では、人材投資促進税制を初年度から適用するための実務手順と資料整備のポイントを探る。
会社の税務
関与先の清算に関与する場合の留意点
税理士
山元 俊一
最近の経済環境を反映して、会社を解散し、清算に入る企業が数多く見受けられる。清算手続においては、各利害関係者の思惑が入り乱れて、業務が複雑となるケースも多く、注意が必要である。本稿では、債務超過になっていない株式会社の通常清算を中心に、解散後の清算開始から結了までに発生しがちな実務問題、さらに清算所得の申告における留意点を検討していく。
利益計画
酒販店のモデル利益計画
中小企業診断士
土田 泰治
酒販を行っている業種・業態は、一般酒販店の他に、ディスカウント店、スーパーマーケット、ホームセンター、コンビニエンスストアなど多彩をきわめ、総計で約14万免許場となっている。一般酒販店がどんどん廃業に追い込まれる流れは、今後も続いていくであろう。本稿では、新たにディスカウント型酒販店を開業する会社をモデルとして取り上げ、出店に当たっての留意点、戦略決定と方向性に応じた解決策の立案を提示する。
◆ポイント・オブ・ビュー
財団法人公益法人協会 理事長 太田達男氏に聞く
◆税理士事務所みてある記
後久 亮 税理士事務所(東京税理士会日本橋支部)
◆好調関与先にはワケがある!
(有)匠(茨城県総和町)/青木惠一税理士(東京税理士会上野支部)
◆医療法人制度の実務と課題
「『医療法人制度改革の基本的な方向性』をふまえて」長 英一郎
◆クローズアップ税務争訟
将来債権の譲渡担保設定と国税の差押え/遠藤みち
◆クマオーの消費税トラブル・バスター
「これは通勤手当、それとも賃借料?」熊王征秀
◆法律問題ワンポイント・レクチャー
「知らない間に取締役として登記されていた!」菅原万里子
◆金融機関との上手な付合い方 実践編
「リース取引を考える」/甲賀伸彦
◆新時代の中小企業会計
「有価証券と時価会計」/長岡勝美
◆実務の焦点
「相続による事業承継と消費税納税義務の判定」/寺島敬臣
「自動車リサイクル料金の経理処理」/遠藤雅己
◆税務・会計相談コーナー
(法人税関係)「一括償却資産を処分した場合の取扱い」/宝達峰雄
(資産税関係)「取引相場のない株式の評価上のソフトウエアの取扱い」/伊藤正彦
(会計関係) 「有価証券に関する税効果の処理」/荻原正佳
◆ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
◆私のKeyword/戸口葉子
◆税理士の休日/長谷部健一
巻末付録●税務情報(消費税法基本通達の一部改正について・ほか)
■月刊 税理のバックナンバー
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読者レビューは他のお客様によって書かれたものです。感想には個人差がありますのでご了承ください。
- 必需品
- 投稿日 2012/02/24
- 投稿者 かっぱ
- 会社員
- ★★★★★ 5.0
会計実務に携わる際とても参考になります
- 毎月欠かさず読んでいます
- 投稿日 2011/11/20
- 投稿者 なお
- 自営業
- ★★★★ 4.0
税務実務について役立つ記事が多いです。毎月欠かさず読んでいます。
- いろいろ役に立ちます。
- 投稿日 2011/10/06
- 投稿者 あっきー
- 会社員
- ★★★★★ 5.0
税制改正にも対応しているし、解説も具体的でわかりやすく、とても役に立っています。これ1冊であらゆる税法に使えます。
- 税務実務に役立ちます
- 投稿日 2010/07/23
- 投稿者 お父さん
- コンサルタント
- ★★★★★ 5.0
税務実務には必須の雑誌です。税法改正・トピックスの特集が充実しており税務・会計プロフェッショナル必携だと思います。
- 税理
- 投稿日 2009/12/23
- 投稿者 なな
- 専門職
- ★★★★★ 5.0
改正点だけではなく税務の主要ポイントは定期的に掲載されているため、会計実務に携わる際とても参考になっています。







