Lexis判例速報のバックナンバー
2006/06/10発売号 (6月号)

Lexis判例速報

 



■Lexis判例速報の目次

注目判決動向
2006年4月10日-2006年5月18日

連載[裁判例総覧]
第8回 営業権侵害をめぐる裁判例(8)
升田 純

判例解説
[民・商事]
升田 純
○不動産の取得時効完成後にその不動産の譲渡を受け、所有権移転登記を経た者が背信的悪意者に当たるとするためには、多年にわたる占有継続の事実を認識することが必要であるとし、背信的悪意者を肯定した原判決が破棄された事例(最高裁平成18年1月17日第三小法廷判決)
○期限の利益喪失特約のうち、支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は、利息制限法1条1項の趣旨に反して無効であり、この特約に基づいて支払われた利息は、貸金業法43条1項所定の任意の支払に当たらないとされた事例(最高裁平成18年1月19日第一小法廷判決)
○不動産の買戻特約付売買契約の形式が採られていても、占有を伴わない契約は、特段の事情のない限り、債権担保の目的で締結されたものと推認され、その性質は、譲渡担保契約と解するのが相当である(最高裁平成18年2月7日第三小法廷判決)
○高校のサッカー部に所属する生徒が課外活動としてのサッカー大会に参加して競技中、落雷により負傷した事故について、引率者兼監督の教諭に落雷事故発生の予見義務違反が認められた事例(最高裁平成18年3月13日第二小法廷判決)
○コンビニエンスストアのフランチャイズシステムを経営するフランチャイジーが売上げ等の予測を誤り、フランチャイジーが経営不振となり、閉店に至った場合について、フランチャイザーの情報提供義務(保護義務)違反が肯定された事例(福岡高裁平成18年1月31日判決)
○1 市役所の上司が公務出張中、自動車内で部下の女性の手を握るなどしたことがセクシュアル・ハラスメントに当たるとし、上司の不法行為が肯定された事例
2 上記女性が相談をした者が市役所内に設置されたセクシュアル・ハラスメント苦情処理委員会に苦情相談を申し立てた後、上記上司らが女性に対して苦情相談の取下げ(取下げの依頼)を強要したことにつき共同不法行為が肯定された事例
(さいたま地裁平成17年11月25日判決)
○妻から夫の浮気調査の依頼を受け、夫の関係者の自宅マンション前にビデオカメラを設置される等したことにつき、調査を実施した業者のプライバシー侵害による損害賠償責任が肯定された事例(京都地裁平成18年1月24日判決)

[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一
○本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし本訴請求債権を受働債権として相殺の主張をすることは、反訴請求債権のうち本訴において判断された部分を反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更するものとして許される(最高裁平成18年4月14日第二小法廷判決)
○委任者が委任事務の処理のために受任者に交付した前払費用についての返還請求権は、当該委任事務の終了前においては、券面額を有するものとはいえず、被転付適格を有しない(最高裁平成18年4月14日第二小法廷決定)

[国際民商事]
(監修)櫻田嘉章・渡辺惺之
申美穂
○日本在住の日本人が、日本法人の従業員としてなした職務発明に係る日本及び外国において特許を受ける権利の譲渡対価について、譲渡契約の準拠法は日本法であるとしつつも、使用者と従業者が属する国の産業政策に基づき決定された法律であるところの日本特許法35条は、我が国における両者間の雇用関係上の利害調整を図る強行法規であり、同条は日本のみならず外国における特許を受ける権利に関しても適用されると判示した事例(東京高裁平成16年1月29日判決)
渡辺惺之
○外国に輸出販売している製造品につき、競業日本会社が知的財産権の侵害に当たるとして外国の代理店に輸入販売の即時停止を求める警告文書を送付した行為に対する差止仮処分請求について、条理により最密接関係国法として日本法を適用し判断した例(知財高裁平成17年12月27日判決)

[行政]
越智敏裕
○国民健康保険診療報酬明細書に記録された個人の診療に関する情報に係る京都市個人情報保護条例(平成5年京都市条例第1号)21条1項に基づく同人からの訂正請求につき市長が行った訂正をしない旨の処分が違法とはいえないとされた事例(最高裁平成18年3月10日第二小法廷判決)
橋本勇
○1 情報公開条例に基づき開示請求がされた公文書に虚偽の情報が記載されていた場合において県の担当職員が当該公文書の記載内容の真否を調査せずに当該情報が同条例の定める非開示情報に当たると判断したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
2 情報公開条例に基づき一部非開示決定がされた公文書に虚偽の情報が記載されていた場合において実施機関がこの事実を知った後も同決定を取り消すことなく同決定に係る取消訴訟に応訴したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決)

[税法]
立命館大学税法判例研究会
伊川正樹
○国民健康保険料には憲法84条は直接適用されないものの、その趣旨が及ぶとした事例(最高裁平成18年3月1日大法廷判決)
○土地改良区の組合員が同区内の農地を転用目的で譲渡するにあたり土地改良法42条2項に基づいて同区に支払った決済金等が所得税法33条3項所定の譲渡費用に当たるとされた事例(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決)
三木義一
○歯科技工所の事業がサービス業とされた事例(名古屋高裁平成18年2月9日判決)
望月爾
○海外関連会社と締結したノウハウ等の譲渡契約を実体の伴わない仮装の取引としてなした課税処分を取り消した原判決を相当とした事例(名古屋高裁平成18年2月23日判決)
三木義一
○ペット供養が収益事業に該当するとされた事例(名古屋高裁平成18年3月7日判決)
伊川正樹
○外国税額控除の適用に当たり、確定申告書の作成過程に誤りを生じたために、その誤った金額を基礎として控除税額計算がなされた結果、控除金額が過少となるとともに納付すべき法人税額が過大となった場合に、更正の請求が認められなかった事例(大分地裁平成18年2月13日判決)

[知的財産権]…審決取消訴訟
南かおり
○商標法4条1項7号に基づき、商標出願行為が、他人の標章の剽窃であって、不正の目的をもってされたものであるから、登録出願の経緯は著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、商取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、容認できないとして、同条項同号により登録無効とした審決が維持された事例(知財高裁平成18年1月26日判決)

[知的財産権]…著作権等
小倉秀夫
○一般向けの法律解説書の著作物性が否定されたが、これと酷似した書籍を発行した出版社らに対する損害賠償責任が認められた事例(知財高裁平成18年3月15日判決)

米国注目訴訟
コーポレート・ガバナンス関連/檀 柔正・安達 理
知的財産関連/岩瀬吉和
クラスアクション関連/中野雄介



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