Lexis判例速報のバックナンバー
2007/01/10発売号 (15号)

Lexis判例速報

 



■Lexis判例速報の目次

注目判決動向 2006年11月22 日-2006年12月20日

連載
◇US Case Studies―最新アメリカ判例・裁判情報
第6回
エンロン事件をめぐって監査法人のアーサー・アンダーセンが意図的に書類を破棄したとして司法妨害罪で起訴され、裁判官の陪審に対する説示の誤りを理由として有罪評決が差し戻された事例
― United States v. Arthur Andersen, 544 U.S. 696, 125 S. Ct.2129(2005)―
関西学院大学米国判例情報研究会
(監修)丸田 隆

◇米国注目訴訟
コーポレート・ガバナンス関連/檀 柔正・安達 理
知的財産関連/岩瀬吉和
クラスアクション関連/中野雄介

判例解説
[民・商事]
升田 純
○第三債務者が、債務の本旨に従った弁済をするために、金融機関に対し、債務者が指定した口座への振込みを依頼した後に、仮差押命令の送達を受けた場合、送達後にされた振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することができるか(消極)
(最高裁平成18年7月20日第一小法廷判決)

○1 大学と学生の間の契約の性質
2 在学契約の成立時期
3 入学金、授業料等の学生納付金の性質
4 在学契約の解除の時期、方法
5 学生納付金の返還義務の有無、範囲
6 学生納付金を返還しない旨の不返還特約の性質
7 医科大学における不返還特約が公序良俗に違反しないとされた事例
(最高裁平成18年11月27日第二小法廷判決)

○傷害事件の捜査、起訴に当たって傷害の内容・程度に関する複数の医師の診断書が提出され、重い内容の診断書を基に起訴し、その後軽い内容の傷害に訴因を変更した場合について、担当検察官の違法な公権力の行使が肯定された事例
(札幌地裁平成18 年7月21 日判決)

○1歳7か月の幼児が母親に連れられ、子供用の動物園で遊んでいたところ、母親から離れて公園内のベンチに登った際、内側に転倒し、ツツジの枯れ枝が後頭部に刺さり、死亡した事故について、枯れ枝の混じったツツジを植栽していたことが設置の瑕疵に当たるとし、動物園の設置管理者の営造物責任が肯定された事例
(千葉地裁平成18年7月26日)

○精神保健福祉法所定の医療保護入院中の患者が身体拘束を受けている間に肺塞栓症によって死亡した事故について、担当医師等の不必要な身体拘束をしてはならない義務等の義務違反が否定された事例
(東京地裁平成18年8月31日判決)

○著名な空手家の創設に係る団体が、その代表者の死亡後分裂し、一部の団体の代表者が正当な理由もなく後継者の名称を使用している場合、人格権としての名誉権に基づき、他の団体の幹部による名称使用の差止請求権が認められ、差止請求が認容された事例
(大阪地裁平成18年9月11日判決)

○胎児仮死の状態で吸引分娩を実施した医師につき、胎児仮死治療として酸素投与及び体位変換を適切に行わず、陣痛促進剤の点滴を中止して陣痛の抑制をしなかった過失、原則として1回の牽引で娩出できなかった時点で吸引分娩を中止すべきであり、遅くとも、2、3回の牽引で娩出できなかった場合には、吸引分娩を中止して帝王切開に移行すべきであった過失、帝王切開の準備を怠った過失が認められた事例
(岐阜地裁平成18年9月27日判決)

○妊婦の出産の際、胎児仮死と診断され、緊急帝王切開によって新生児が娩出された後、妊婦に子宮膣上部切断術がされ、新生児に重症な脳性麻痺の障害が生じた医療事故について、担当医師に常位胎盤早期剥離を発見すべき経過観察をすべき注意義務違反の過失が認められたものの、重大な後遺症が生じなかった相当程度の可能性が侵害されたものとして、慰謝料の損害賠償責任が肯定された事例(京都地裁平成18年10月13日判決)

○心疾患のあった患者(株式会社の取締役)が病院を受診し、大学附属病院を紹介され、受診し、検査等を受け、大動脈弁閉鎖不全症であると診断され、入院精査を勧められたものの、仕事の多忙を理由にこれを断っていた間に死亡した医療事故について、担当医師の患者に対する患者の誤解を解くための説明義務違反が肯定された事例
(東京地裁平成18年10月18日判決)

○顔面麻痺等の症状を訴えて病院を受診した患者が、その後、平成6年、多発性硬化症と診断され、ステロイド剤の投与等による治療を受けたものの、左手足と目の視界半分を除いて生活機能が全部失われた状態になった場合、医師の多発性硬化症を診断することが遅延した過失、ステロイド剤の減量により多発性硬化症の再発を招いた過失、多発性硬化症の再発の際に適切な治療を行わなかった過失が否定された事例
(東京地裁平成18年10月27日判決)

○台湾の会社が行う外国為替証拠金取引を顧客に仲介した会社が破産宣告を受けた場合について、取引の勧誘が詐欺的であったとし、取締役の商法266 条ノ3所定の責任が肯定された事例
(那覇地裁平成18年11月1日判決)

[国際民商事]
(監修)櫻田嘉章・渡辺惺之
渡辺惺之
○従業者がその職務発明に係る外国の特許を受ける権利を使用者等に譲渡した場合の対価請求に関しては、特許法(平成16 年法律第79 号改正前)35 条3項及び4項が類推適用される
(最高裁平成18年10月17日第三小法廷判決)

[行政]
越智敏裕
○都市高速鉄道に係る都市計画の変更につき、鉄道の構造として地下式でなく高架式(一部掘割式)を採用した点において裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとはいえないとされた事例
(最高裁平成18年11月2日第一小法廷判決)

[税法]
立命館大学税法判例研究会
望月 爾
○納税者が勤務先の日本法人の親会社である米国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として所得税の申告をしたことにつき、国税通則法65 条4項にいう「正当な理由」があるとされた事例
(最高裁平成18年10月24日第三小法廷判決)

奥谷 健
○相続税の物納申請に対する許可が遅延したことにつき、その審査を担当した税務署職員の職務上の法的義務違反を認めた事例
(東京地裁平成18年10月25日判決)

三木義一
○年金受給権に対する相続税と年金の所得税課税の二重課税
(長崎地裁平成18年11月7日判決)

[知的財産権]…審決取消訴訟
市川 穣
○立体商標として登録されていた菓子「ひよ子」饅頭に識別性が認められないとして、無効不成立審決が取り消された事案
(知財高裁平成18年11月29日判決)

[知的財産権]…侵害訴訟
森岡 誠
○特許侵害訴訟においては、当該特許発明の特許請求項の範囲の文言が一義的に明確なものであるか否かにかかわらず、明細書の発明の詳細な説明の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するべきものと解するのが相当であるとして、特許発明の技術的範囲の確定を行い、被控訴人製品は特許発明の技術的範囲に属しないとした事例
(知財高裁平成18年9月28日判決)

[知的財産権]…不競法
今給黎泰弘
○先端部分が螺旋状となっており特徴のある耳かきについて、不正競争防止法2条1項1号及び2号の「商品等表示」該当性が否定された事例
(東京地裁平成18年9月28日判決)

[知的財産権]…著作権等
古谷栄男
○海外在住の利用者に対しテレビ番組を送信できる装置をホスティングするサービス事業者が送信可能化権の主体でないと判断された事例
(東京地裁平成18年8月4日決定)

論文
佐藤光子
◇医療過誤訴訟の第1審・控訴審判決研究
―因果関係の判断の変更による逆転判決、賠償額変更判決を中心に―



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