■美術手帖の目次
◆○
○◆ 特集 ヘンリー・ダーガー ~ その生涯と物語『非現実の王国で』
「ダーガーという謎」
ヘンリー・ダーガーは1973年4月13日に亡くなった。人生の後半の40年間をシカゴ市内
の賃貸アパートで暮らしていたが、家族も友人もなく、生前彼を訪ねてくる人は近所
の境界の牧師以外皆無だった。老齢で脚が不自由になり階段の昇り降りができなくな
ると、大家の計らいでカトリック系の老人養護施設に移る。そのとき大家が部屋の中
の持ち物をどうしたらいいかと尋ねると、ダーガーは「好きなようにしてくれ」と答
えたという。
その部屋は物で埋まっていた。ごみ屋敷ならぬごみ部屋は床から天井までジャンクで
埋まり、足の踏み場もなかったという。大家のネイサン・ラーナーが片付けを始める
と、そこに奇妙なものを発見した。『非現実の王国で』という題のついた物語の原稿
と挿絵であった……。(小出由紀子)
無垢なる少女たちが大人たちの悪に抗い戦う1万5000頁(!)の大長編小説『非現実の
王国で』。それは60余年間、誰一人知る者なく制作され、死の寸前に偶然発見された
驚異の作品群である。天涯孤独、養護施設育ちの雑役夫……。すでに伝説化している
彼の生涯と創作の謎に迫る
~*~*~ 目次 ~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
1 『非現実の王国で』の世界を巡る
2 メイキング・オブ・ザ・ダーガー・ワールド 制作の舞台裏
3 果てしない物語の迷宮へようこそ
4 ヘンリー・ダーガーの生涯 1892─1973
5 対談 小出由紀子×都築響一
6 キヨコ・ラーナー・インタビュー
7 ダーガーに出会うためのミュージアム&ギャラリー&ブック
8 テキスト(長谷川祐子、会田誠、Mr.、やなぎみわ、斎藤環)
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┃1 『非現実の王国で』の世界を巡る 図版解説
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・〈子供奴隷制解放〉を目指して純真可憐な少女たちの壮大な戦いが始まる。
・〈大人・男・悪〉が行使する暴力の臨界点―。
・無垢な子供、あるいはファンタジーの怪物?
・永遠のパラダイスを求めて。
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┃2 メイキング・オブ・ザ・ダーガー・ワールド 制作の舞台裏
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繰り返し登場する少女たちの姿、カラフルな彩色、天国と地獄を往き来するようなイ
メージ。壮絶な戦いを繰り広げるダーガーの作品群は、どのようにして生まれたのか?
原美術館展覧会キュレーター、内田洋子さんに聞いた。
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┃3 果てしない物語の迷宮へようこそ
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入門『非現実の王国で』
・「王国」の基本設定と主な登場人物
・「アーロンバーグ・ミステリー」について
・グランデコ―アンジェリニアン戦争の結末
・物語テキストと挿絵の関連性
・ダーガーは「アウトサイダー・アーティスト」なのか?
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┃4 年譜 ヘンリー・ダーガーの生涯 1892─1973
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┃5 対談 小出由紀子×都築響一 「ヘンリーが住んだ小宇宙、その記録」
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写真集「HENRY DARGERA’S ROOM」を巡って
壁を彩る幾人もの少女たちの肖像、安物の十字架と聖人像、壊れた玩具や眼鏡にがら
くたの類、おびただしい量の古い新聞や雑誌の束、床に転がる消化薬ペプト・ビスモ
ルの空き瓶……。ダーガーがその半生を過ごした部屋は、彼の人生と制作の痕跡を伝
える、驚くべき空間だった。今は無いこの異世界のイメージを集めた写真集が、もう
すぐ、ここ日本で刊行される。手がけたのは、長年、アウトサイダー・アートを旺盛
に紹介してきたふたりのエキスパート。制作中の本について、そしてアートをとりま
く状況についての、スペシャル・ダイアローグ。
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┃6 キヨコ・ラーナー・インタビュー
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ダーガーが亡くなる前年まで42年ほど住みつづけたアパートの部屋。その最後の大家
さんだったのが、ネイサン&キヨコ(清子)・ラーナー夫妻である。ネイサンは写真や
デザインの分野で活躍するアーティストで、キヨコさんはピアニスト。ダーガーの死
後、部屋の処分を託された二人は、作品管理や資料の保存に努め、多くの重要作品を
美術館に寄贈してきた。1997年にネイサンが亡くなった後は、キヨコさんが展覧会や
取材要請に孤軍奮闘し、ダーガー研究を志すものがあれば親身になって世話をする。
シカゴのご自宅に彼女を訪ね、生身のダーガー本人を知る数少ない一人として、当時
の記憶をたどってもらい、作品の保存と紹介に尽力してきたこれまでの活動を、思う
存分語ってもらった―。
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┃7 ダーガーに出会うためのミュージアム&ギャラリー&ブック
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Q1. 日本で実物の作品は見られるの?
Q2. ダーガー作品に出会えるミュージアムは?
Q3. 画廊で作品を買うことはできるの?お値段は?
Q4. 画集やグッズが欲しい!オススメは?
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┃8 テキスト(長谷川祐子、会田誠、Mr.、やなぎみわ、斎藤環)
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・天使と狂気の両面をもつ独裁者 | 長谷川祐子
・ダーガーになれなかった/ならずにすんだ僕 | 会田誠
・「恥ずかしいものでいいんだ!」と勇気づけられた | Mr.
・密室からの解放、あるいは空虚の貪欲 | やなぎみわ
・ダーガー・ゲームのマトリクス | 斎藤環
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┃ 落合多武
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“the message from a polar region”
「オチアイ・タム」。ニューヨークを拠点に活動する彼は、無国籍風なその名前の印
象とあいまって、日本のアートファンにとってはいささか謎めいた存在かもしれない。
ドローイング、映像、インスタレーションなど幅広い手法で独自の世界を表現する作
家、個展のたびにまったく異なるアプローチで我々を驚かせる作家、そしてだれとも
似ていない、寂しくて美しい世界を見せてくれる作家―。これまであまり語られてこ
なかった落合多武の実像にせまりながら、彼にとっておよそ3年ぶりの日本での発表と
なった「夏への扉─マイクロポップの時代」展(水戸芸術館現代美術ギャラリー)で
のドローイング・インスタレーションの詳細を特集する。
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┃ 中ハシ克シゲ
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所与の風土〈日本〉を彫刻家として生きる
君は、あの人気力士、小錦の実物大彫刻を見たことがあるか。君は、一方はブロンズ
のまま、他方は金箔を貼られた、昭和天皇の2体の実物大像を知っているか。では、松
の木の彫刻は―。彫刻の概念的な本質と、それと相容れがたい日本の風土との格闘。
それが、これらの作品を生んできた中ハシ克シゲのモチベーションだ。そして、その
追求の果てに生まれた渾身の二大プロジェクトが、第二次世界大戦をモチーフに進行
中の「ゼロ・プロジェクト」と「オン・ザ・デイ・プロジェクト」だ。日本における
戦争証言者が静かに減少していくいま、これこそが彫刻家に可能な「戦争表現」の頂
きにある。
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┃ 靉光
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その絵、答えを許さず
昭和戦前・戦中期、他に類を見ない謎めいた作品を残し出征中の中国で戦病没した画
家・靉光。ライオン?カマキリ???無数の「形」が蠢く画面に吸い寄せられて見れば
見るほど、わからなくなる。靉光は答えにたどりつくことを許さない。画家・齋藤芽
生さんと一緒に、展覧会場を歩いてみた。キーワードは“密度”―。
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┃ 対談 椹木野衣 × 松井みどり
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1990年以降のアート──ポップ/マイクロポップ[前編]
松井みどり企画による「夏への扉―マイクロポップの時代」展(水戸芸術館で開催中)
をきっかけに、日本の美術界を代表する美術評論家二人の初対談が実現した。1990年
以降のアートに二人は何を見たのか?あまりに議論が白熱したため今回だけでは収ま
りきれず、特別に2号連続前後編でお届けする。
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┃Around the Globe 海外のアートシーンから
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■ドバイ+アブダビ / ガルフ・アートフェア
■ウィーン+ゲント+チューリヒ / 「FUKU03 概念。行為。言語。」展、「狂気は
女性的?1900年頃の精神医学における女性の芸術 プリンツホルン・コレクション」展、
「観音」展、ロダン回顧展
■ロンドン / 「ギルバート&ジョージ 大展覧会」「アーナウト・ミック 替わっ
て、替わって」展
■ニューヨーク / 「ヴォイシズ・オブ・アワ・タイム(時代の声)」展、AICAア
ワード2006
■ロサンジェルス / アンドレア・ジッテル個展「クリティカル・スペース」、キ
ム・ジョーンズ回顧展
■北京 / 「アート・イン・アメリカ」展、「玩画廊」展
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┃連載
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■子供と美術 24 おしゃべり「ビデオくん」 ~ 映像とメディア・リテラシー
■やっつけメーキング 41 島をやっつける
■アクリリックスワールド 39 田尾創樹
■画家たちの美術史 52 片山雅史
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