『パリ症候群』太田博昭著。1991年8月刊。
花の都に憑かれ、病む人々。日本人の精神的・心理的トラブルがなぜ、パリで多発するのか……。精神医学的アプローチによる新しい「異文化コミュニケーション」論。
<電子版復刻に寄せて>
本書が出版されて30年になる。その間に世相は様変わりした。出版当時は日本のバブル経済期の真っ最中であり、若い女性の留学ブームをはじめ、ちょっとパリに住んでみたいと渡仏する女性たちが後を絶たなかった。パリ症候群の予備軍である。その後バブルがはじけ、不毛の10年を経過して経済の低成長が定着したが、パリ症候群は姿やカタチを変えて存続している。その不変の本質を本書から読み取っていただければ幸いである。
2021年3月 パリにて 太田博昭