【十割蕎麦・魅惑の世界】二八せいろは打つ意味がない『千寿 竹やぶ』

  • 更新日
  • 記事の有効期限 2022.03.30


蕎麦春秋

【十割蕎麦・魅惑の世界】

二八せいろは打つ意味がない『千寿 竹やぶ』

 
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江戸前のそばといえば、何といっても二八。
細く長くつながれ、喉越しのいい麺線は、これぞ王道のそばといった趣です。
ですが、手打ちそばは二八のみではありません。
最近では十割そばが人気を集めています。
 
つなぎなしで打っているので、香りや風味がダイレクトに伝わってくるのが何よりも魅力。
十割は二八に比べて喉越しに劣るとされてきましたが、製粉・そば打ち技術の向上により
いまや喉越しでも二八に劣らないものもあります。
今回は十割そばの美味しいお店をピックアップします。
 


千寿 竹やぶ
試行錯誤の末に獲得した十割そばの”黄金律”


 

 
足立区千住河原町の『千寿 竹やぶ』は、あの『竹やぶ柏本店』から”竹やぶ”を名乗ることを許された店。
初代店主の中村武志さんは竹やぶ創始者の阿部孝雄さんの親戚筋に当たり、
現在は柏本店や恵比寿寿店等で修行し、阿部さんの薫陶を受けた息子の中村充さんが二代目を継いでいます。
 
中村さんが打つそばは評価が高く、都心から離れたリッチであるにもかかわらず
そば通が足繁く通う人気店でもあります。
 
中村さんは十割、田舎、粗挽きの三種のそばを打ち分けます。
十割せいろのほかに田舎は九一、粗挽きは二八で打ちますが、江戸そばの王道である二八せいろは打ちません。
なぜかと問うと…
 
「意味がないからです。食べればわかりますが、当店の十割そばはつるっとした食感で喉越しもいい。十割で二八のいいところもカバーできているわけだから、あえて二八せいろを打つ必要はありません」
 
竹やぶ出身者が打つそばだからというわけではありませんが、
同店の十割せいろを手繰り口に含むと十割ならではのソバの旨みと香りが口中に広がります。
歯応えやコシ、エッジ感、喉越し等、全てが素晴らしいものです。
 


 
美味しい十割そばを打つために、中村さんは試行錯誤を重ねてきました。
十割に向いた産地や品種があるのだそうです。
それは秋田、長野の在来種、茨城の常陸秋そば、北海道のキタワセと牡丹そば等。
 
「十割そばに向いている向いていない以前に、その土地で長く栽培されてきた在来種は特に好きですね。お客さんには、土地ごとのソバの個性を楽しんで欲しいんです」
 
生産農家との直取引で、玄ソバで仕入れています。
店の敷地内にある工房で皮むきから製粉までの工程を行い、挽いた粉はブレンドせずに打ちます。
 
「これこれ、こういう特徴があるから十割に向いているということが事前にわかっていたわけではなく、食べてみたら美味かったというだけなんですけどね(笑)ただ、さまざまな産地の玄ソバを粉に挽き、打ってそばにしてみて初めてわかるわけですから、いまにして思えば大変な手間です」
 
他にも美味しい十割そばをつくるための大事なこだわりなどを本誌で語っています。
こちらからお読みいただけます。

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