スティーブン・ピンカー「世界の破滅の時が近づいているように思えても、それは勘違いだ」

  • 更新日

COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)[電子書籍パッケージ版]

スティーブン・ピンカー「世界の破滅の時が近づいているように思えても、それは勘違いだ」

  『合理性』(未邦訳)を上梓した認知心理学者の権威、スティーブン・ピンカー。 権威主義の台頭にパンデミック、気候変動の危機と、重い課題が山積みする今、 人類は破滅に向かっているのでしょうか。 ピンカーいわく、そう感じることは非合理的なのだといいます。   米紙によるロングインタビューをクーリエ・ジャポンがお届けしています。  
スティーブン・ピンカー
  Steven Pinker カナダ・モントリオール生まれ。 アメリカの実験心理学者、認知心理学者であり、ハーバード大学心理学教授。 『言語を生み出す本能』『心の仕組み』『人間の本性を考える』などの著書で知られる心理学の世界的権威。  
「人は非合理的な生き物」というのは誤りだ
  インタビュア: あなたの新著は、より多くの人がもっと合理的に考えるようになるのが好ましいという発想に基づいています。 けれども人は、自分が非合理的だとは考えていません。 どのようなメカニズムがあれば、より多くの人が自分の考えや信念が合理的かどうか試すようになるでしょうか。   「理想的なのは、私たちの『会話の模範』が変わることでしょう。逸話に頼ったり、理性より感情に訴えたりするのは恥ずべきことであるべきです。もちろん、社会的な規範を確実に操作できる人はいません。でも規範は変わりうることを私たちは知っています。そのプロセスを促す”種”があれば、それが急速に普及するチャンスはあります」   しかし、著書でスティーブンが出した結論は 『人を合理的にする最も効果的な方法は”人”に注目しないことだ』ということです。   「なぜなら人は自分たちの生活の上ではかなり合理的ですから」   私たちは、子どもたちに服を着せて、食事を食べさせ、時間通りに学校に行かせ、仕事を続け、請求されたお金は払います。 けれども人がいろんな”信念”を持っているのは、その真偽を証明できるからではなく、 それが元気や力を与えてくれたり、良い話だったりするからだと言うのです。   ここで重要なのは、私たちがどんな”種”なのかということ。ホモ・サピエンスは、はたしてどれくらい合理的なのか。これに関して『私たちは本質的に非合理的な生き物である』という結論は、正しくありません。そうでなければ、『ある人たちはときに不合理だ』と言えるような『合理性の基準』を人は確立できなかったはずだからです」   社会に影響のある信念については、 一個人であるときより、集団であるときのほうが合理的になれるルールをコミュニティに導入することで 私たちは合理性を獲得すると言います。   人はお互いの偏見を批判できることで、偏見をなくせる。また意見の相場を表明しあったときには、最も強い立場にいる物が勝つ。そして人は自分の信念を経験的に検証するのです」  
  本誌では、インタビューの全文をお読みいただけます。