BRUTUS(ブルータス)

もう一度学びたいあなたのための『大人の勉強案内』

 

歴史、科学、政治、文学に哲学、語学など

大人になって、”今、勉強したい”、”学び直したい”という人が増えています。

 

YouTubeやウェビナーなどオンラインの環境は充実し、

あらゆる情報がSNSやWEBで瞬時にシェアされ、

WikipediaやGoogleにより整理、体系化されていくデジタル社会は

誰もが学びやすい、いわば『大勉強時代』と言えるのかもしれません。

 

ブルータスでは料理研究科や現代アーティスト、科学者、編集者など

今なお向学心にあふれる7人の”学び”方のスタイルを特集しています。

今回は料理研究家の土井善晴さんの学びスタイルを紹介します。

 


考えて考えて考え続け、価値観を壊すことが新しい時代には必要


 

 

テレビ番組『きょうの料理』、『おかずのクッキング』レギュラー講師も務める

料理研究家の土井善晴さんが提唱する「一汁一菜」は、

「ご飯、具だくさんの味噌汁、漬物」を基本とする食事のスタイル。

それは長年にわたって「料理」を自考し、導き出した思想であり哲学であり、美学です。

 

そこにたどり着いた「学びの過程」について土井さんは

「評論家の小林秀雄は子供の教育について聞かれたとき、子は親の思う通りにはいかないもので、自分が何をしたというのは何もないけれど、僕は一生懸命生活しましたよ、と答えているんです。その通りやと思う。私も勉強というより、一生懸命生活してきたんです。一生懸命。すると必ず疑問が湧いてくる。聞いても誰も答えられない疑問です」

 

例えば、どうしてお箸は横向きに置くのか、

どうしてこんなにおいしいの?、この回答は本にもありません。

このわからないことを、わからないけれど、ただただ”なんでやろ?”と考え続け、

1週間後に、あるいは数年後に”確信的に”答えがポッとわかる、と言います。

 


 

土井さんがまだ学生だった頃、かかりつけの歯科医師から勧められたのが

ウェストン・A・プライス著『食生活と身体の退化』という本だったそうです。

 

「近代化されていない土地に暮らす民族が文明と出会ったとき、その前後で彼らの身体がどう変わり、その精神がどう変わるかを、プライス博士が世界中の民族をフィールドワークして、民族の食べ物と心身の関係を多くの写真とともに示した本です」

 

その土地の素朴な伝統食と習慣から生まれた美しい身体と精神を育んでいた先住民たちが、

入植した白人がもたらした近代食を食べることで変化する。

そこからさまざまな変化により、顎は小さくなったり、虫歯だらけになったり

やがては犯罪者が出てきて刑務所ができる…

食事の劣化によって人の心まで変わってしまったという内容だそうです。

 

いろんな国や土地の料理を大切にする、疑問とただ向き合う、

それが土井さんのルーツの元となっているようです。

本誌ではさらにインタビュー内容の詳細をお読みいただけます。