PRESIDENT(プレジデント)

《認知症》『嫌われる勇気』の岸見一郎が語る

「不完全な介護でもいい」と割り切る勇気

 

大ベストセラー『嫌われる勇気』の岸見一郎先生は

アドラー心理学を学んでいたことが、自分の精神状態を安定させ、

認知症の父との関係を良好に保ために有用だった、と話します。

 

ご本人の介護の実体験がインタビューにて語られています。

 


「不完全な介護でもいい」と割り切る勇気


 

 

岸見先生は認知症の父の介護の経験があります。

認知症が進行すると、記憶力や思考能力が低下し、正常な社会生活を送れなくなるため、

十度の認知症患者は介護が欠かせません。

ところが介護している家族のことも『自分の家族』と認識できなくなることがたまにあります。

岸見先生の父もそうだったそうです。

 

「自分の親が、かつての親ではなくなっていく」という現実が

子どもに大きな精神的ダメージを与えます。

その反面、認知症の場合、身体機能がそれほど衰えずに徘徊したり、理解不能な行動をすることもあるので

認知症患者の介護は体力を消耗するうえに、緊張の連続で心が安らぐことがないといいます。

 

認知症の親に振り回され、疲労困憊してしまう子どもが後を絶たないそうです。

 


 

 

岸見先生は認知症の父と1年半ほど過ごし、彼の人生の中でも極めて濃厚な時間だったと言います。

「父は私のことはずっと覚えていました。しかし、家族の思い出が詰まった実家にいても、若くして亡くなった母のことも思い出せなくなっていました。さらに長年飼っていた愛犬のことも忘れていました。私は、これが認知症なのか、と驚きました」

 

父の理解不能な行動を起こすと『認知症のせい』と頭ではわかっていても、苛立つことも。

それでも長年、アドラー心理学を学んでいたことが、彼自身の精神状態を安定させ、

父との関係を良好に保ために有用だったそうです。

 

アドラー心理学は、簡単に言うと

【人間の行動の原因ではなく目的に着目し、人は過去の経験や環境によって決定されるのではなく、自分の生き方をいつでも変えられる】

という考え方。

他人からの評価を気にしたり、他人を支配しようとしたりする精神状態から解放されます。

 

岸見先生にとって初めての介護で何もかもが手探り。

「認知症の親への向き合い方については、アドラー心理学が教えるよい対人関係の築き方を知っていたので、不安はありませんでした」

 

ただし、子育てよりも、親の介護はこれまで親と生きた人生に囚われてしまうので難しい、とも。

 


 

本誌では、岸見先生が認知症の父とどう接したのかが語られています。

こちらからお読みいただけます。