PRESIDENT(プレジデント)

石原慎太郎「人間の一生とは、なんだ」

 

今から7年前、石原慎太郎氏は脳梗塞で入院しました。

幸いにも、早期発見だったので利き手の左手だけは麻痺したものの

言葉は明瞭に話すことができ、すぐに歩くこともできたそうです。

 

しかし、梗塞を起こした場所が記憶を司る海馬の近くであったため、

一時は文字をすべて忘れてしまったそうです。

文字の記憶が蘇ったのちも、左手に麻痺が残り、字をうまく書けない時期が続きました。

 

この病は石原氏にとって、人生で初めてといっていいほどの

巨大な喪失感をもたらしていました。

大病をしたことで己の死期が近づいていることを

嫌でも自覚しないわけにはいきません。

それによってものの見方や考え方にも変化が生じるそうです。

 

「日常茶飯事に思っていたものが非常に新鮮に見えるようになり、たとえば廊下を這っている小さな虫をスリッパで踏みつぶそうとも思わなくなりました。かろうじて生きている者同士としての共感があるからでしょう」

 

健常な年若い人には想像もできないでしょう、という石原氏。

彼の悟りの言葉は「虚無は実在する」。

 

「死ぬとどういうことになるのか、意識が消滅するのですから、死ねば虚無です。人間が喜んだり愛したり恐れたり怒ったりするのは全部、意識の産物です。意識がなくなってしまったら、自分がどこにいるのかさえもわからない。死んだら何もないのです」

 

一度大病をして、生きること・死ぬことを意識するようになって感じたことを

石原氏が言葉にしています。