婦人画報
写真家ロベール・ドアノー『パリからのまなざし』
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「何必館・京都現代美術館」の創設者を父に、アートに囲まれて育った梶川由紀さん。
現在、何必館・京都現代美術館のキュレーター、
そしてパリ、ヨーロッパ写真館(MEP)設立に日本人キュレーターとして携わっています。
由紀さんの父がこよなく敬愛し、交流していた写真家のロベール・ドアノーは 由紀さんが美術館に写真部門を立ち上げる原点となった特別なアーティスト。 ドアノーの作品に込められた
“生きる喜び”を再発見します。

こちらの『
市庁舎前のキス(1950)』は偶然のスナップではなく
実際の恋人同士だった二人をモデルとして雇い、あの場所で待ち受けたそう。
1950年、米国LIFE誌から「パリの愛」をテーマにした特集の依頼を受け
撮影したものでした。
掲載後、フィルムは箱の中で眠っていましたが、
80年代にポスターで再利用されると世界中に広まりました。
『芸術橋のフォックステリア(1953)』は芸術橋こと、ポン・デ・ザール。
恋人たちが南京錠を取り付けた欄干はその重みに耐えられず一部が倒壊した橋。
「愛の重み」の重量は45トンだったとか…!
ドアノーが撮影したポン・デ・ザールは風景を見ながらヌード?と思いきや
その先に女性の足がちらり。
男性も覗き見をし、フォックステリアは何か言いたそうにこちらを見つめます。
「ユーモアと羞恥心という枠に守られれば、足を踏み外すとことはあるまい」 そんなドアノーの言葉通りの1枚です。
1950年代のパリ、愛に燃え、切り取る一枚一枚が愛で溢れていますね。
パリの時代背景と由紀さんの解説と共に作品をお楽しみください。

記事の有効期限: 2020年4月29日 Wednesday]]>