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【難民の命をかけた旅】シリアから何度も困難を乗り越え日本の大学で学ぶ留学生

 

紛争や迫害によって故郷を追われる人たちが、世界で増え続けています。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が6月に発表した報告書によると

2020年末で8240万人に上り、戦後最大規模となっているようです。

 

難民とは、紛争や迫害、人権侵害などから逃れるために故郷を離れ

国境を超えて他国に保護を求めた人のこと。

国境を超えてはいないが、同様の理由で国内のより安全な場所に移った人は「国内避難民」といいます。

どちらも同じように保護と支援を必要としています。

 


シリア難民学生のアブダッラさん


 

2011年3月、日本で東日本大震災が起きたころ、中東・シリアで内戦が始まりました。

反政府デモを政府軍が激しく弾圧し、内戦へと発展。

両親と弟と暮らすアブダッラさん(21)は、いつかコンピューターに関わる仕事がしたいと夢見て学校に通っていました。

 

しかし、内戦が始まったことで

「勉強ができなくなって、明日生きられるかどうか考えるようになった。ある瞬間に普通の生活が全部変わってしまった」

と言います。

 

内戦が始まったシリアでは子どもも危険にさらされ、

授業が終わっても何時間も待たないと家に帰れなかったり何ヶ月も休校になったりすることも。

アブダッラさん一家は内戦から逃れるため、イエメンに移ります。

しかしイエメンでも内戦が始まり、難民を受け入れていた隣国サウジアラビアに再び逃れることに。

 

両親は移動に多くのお金を使い、何度も仕事を探さなければなりませんでした。

そしてサウジアラビアでアブダッラさんは高校生になりました。

「自分のこれからを考えられなくなって、1年くらい友達もできませんでした」

 


 

サウジアラビアでだんだんと元気を取り戻し、

高校を卒業するころにはIT(情報技術)が進んでいる日本で勉強したい、という希望を持つようになったアブダッラさん。

しかし、日本への入国に必要なビザ(査証)をとるのはとても難しく、サウジアラビアでの進学も困難だったそうです。

 

そこで、言語が違うトルコに渡り、大学に入学。

在学中に日本で勉強できる奨学制度を探して応募し、選考を通り、19歳で来日を果たしました。

 

アブラッダさんは来日後、日本語学校で猛勉強し、周囲も驚く1年2ヶ月という短期間で読み書きや会話を習得。

その後さらに各教科の勉強を無料サイトや学習支援ボランティアの指導で学び、昨秋、北関東の大学に合格しました。

 

大学ではプログラミングを勉強しながら、

AI(人工知能)を専門的に学んで、企業でAIアプリを開発したい、という夢を育んでいるそうです。

将来を思い描けなかった時期もあったアブダッラさんは、チャンスを掴み、今大きく羽ばたこうとしています。

 


 

 

UNHCRによると、世界で故郷を追われた8240万人のうち約4割はアブダッラさんのような18歳未満の子どもたち。

さらに現在、コロナ禍で国境を超えられない人たちも増えています。

 

現在、日本での受け入れは年間20~47人とわずか。

難民として認めるよう申請した人は2019年まで4年連続で年1万人を超えているのにもかかわらず、

かなり少ないのはなぜなのでしょうか。

 

その理由は、本誌にて詳しく解説されています。

こちらからお読みいただけます。