
週刊ポスト
脱炭素に挑む情熱科学者たち
『窓ガラス発電で「街を森に変える」』
日本政府は「2030年までに二酸化炭素排出量を2013年度比46%減」との目標を掲げていますが、予断を許しません。 18世紀の産業革命以来の炭素増に起因する気候変度が21世紀の人類を脅かしつつあります。 早ければ2030年に気温が1.5度上昇するという予測があるなか、 そんな人類の危機に科学の力で立ち向かう科学者を週刊ポストが特集しています。赤外線を利用した窓ガラス発電で「街を森に変える」 京都大学准教授 坂本雅典

現在透明太陽電池は存在していますが、世界市場は2025年には2.5兆円までに拡大するといいます。 しかし現在の透明太陽電池は、光を吸収する材料に有機物を使ったものです。 坂本さんが開発するのは、無機化合物によるもので、 有機物では捕集と変換が難しい赤外光を電力に変換するという意味で既存製品とは一線を画します。 つまり、ビルのガラス壁面に使用しても、採光に優れ、熱線を吸収するために ヒートアイランドを和らげることができ、劣化することがなく長期にわたって使用できるのです。 発電+省エネ効果を生み出せる太陽光発電として期待大。 「これまでの太陽電池のように山林を切り開く必要もなく、環境にも優しい。透明なためデザイン性にも優れています」 実装化に向けて変換効率を現在(約1%)のものからさらに高めるために研究に邁進しています。 「夢はエネルギーの地産地消」と坂本さんは話します。 ビルのガラスに実装すれば、都心に発電所を設けることになります。 植物が可視光で光合成をするように、街全体が赤外線で発電します。 「街を森にしたい」と坂本さんは未来に向けて語ります。
他にもこんな記事が掲載されています。 『土壌の微生物で地球を冷却する』 『サツマイモこそが救える日本のエネルギー飢餓』 『人の汗や尿から発電する和紙製バイオ燃料電池』 こちらからお読みいただけます。
