■特集:EV用電池の最新動向②
○EVの新時代を支える車載電池及び車載電池材料市場
/㈱富士経済 佐藤浩司
カーボンニュートラル実現に向けて普及が進んできたEVだが、米国における政策転換や補助金縮小を背景として成長が鈍化している。本稿では、今後、市場原理に基づくEV成長を実現するために、キーデバイスであるリチウムイオン二次電池(LiB)に求められる開発方向性を紹介する。
○EUバッテリー規則の最新動向と事業者対応の今後の焦点
/テュフズードジャパン㈱ 邱亮達
EUバッテリー規則は、バッテリーのライフサイクル全体で持続可能性・透明性を求める包括的枠組みである。本稿は、今後適用が進むカーボンフットプリント、バッテリーデューデリジェンス、デジタルバッテリーパスポートの3要件に焦点を当てる。いずれの要件も、サプライチェーン情報を検証可能な形で収集・管理し、製品単位で説明する能力が核心となる。適用延期がある一方、データ整理、管理体制構築、情報連携の仕組みづくりは既に着手可能であり、延期を「猶予」ではなく「成熟化の準備期間」と捉え、統合的なロードマップの下で計画的に準備を進める重要性を示す。
○EV市場における資源循環の課題と展望
/㈱MobiSavi 二見徹・左向貴代
EV産業は脱炭素・資源偏在・経済合理性という三つの制約から循環型経済への転換を迫られているが、中古EVの「見えない劣化」が国内市場への不信を招き、約8割が海外流出するというボトルネックがある。バッテリー性能の「見える化」がその解決策であることを、経産省実証と愛媛県実証データで示す。
○全固体電池における技術・研究開発の現状と今後の動向
/㈱NKエナジーフロンティア 小林直哉
国内外のメーカーは硫化物系全固体電池を次世代のEV用電池の本命と位置付け、開発に注力している。全固体電池に対してもっとも注目されている応用分野はEV用途であるが、現状では硫化物系全固体電池が本命である。硫化物系全固体電池は高いエネルギー密度、高入出力、長寿命、広い作動温度特性、安全性を高次元に達成できるポテンシャルを有する。
○欧州自動車産業はトリレンマを克服できるか
/㈱丸紅経済研究所 堅川陽平
欧州自動車産業は電動化の潮流の中で需要低迷や競争環境激化に直面している。EUは環境規制見直しや域内産品優遇策で対応するが、高コスト構造と中国企業との競争・協業の管理がなお課題である。
○EV用リチウムイオン電池リサイクルの実情
/山口大学 福代和宏
EV用リチウムイオン電池(LiB)リサイクルのプロセスは①中古LiBの「回収」、②「解体」、③「精錬」の三つで構成されている。回収に関しては中古LiBの海外流出、解体に関しては人力頼みという問題がある。精錬に関しては現状の技術で各種金属を選択的に回収することは可能であるものの、コストの問題がある。EV用LiBのリサイクルにはこうした問題が存在するものの、EVの普及が進んでいる欧州や中国では、リサイクルを支援する政策が採られており、リサイクル事業が本格化している。EV用LiBに使用されている貴重な鉱物資源が日本国外に流出するという「鉱物安全保障」上の問題の発生を防ぐためには、日本においてもEV用LiBリサイクルの技術開発および体制整備が必要である。
○全固体電池の世界動向とフッ化物電池の最前線
/名古屋大学 澤田康之
本稿では、次世代電池として期待されている全固体電池用材料で、電池性能と耐久性の両立をめざしたフッ化物合金固体電解質材料開発を例に、その合金設計や分析評価、またAIや計算科学を活用した材料開発の実例を紹介する。
○全固体フッ化物イオン二次電池用インターカレーション型正極材料開発の新展開
/奈良女子大学 山本健太郎
近年、筆者らはCa0.8Sr0.2FeO2FxとCu3NがアニオンN由来の分子形成反応を活用することで、全固体フッ化物イオン二次電池用インターカレーション型正極材料として極めて高い可逆容量を示すことを見出した。本稿では、本材料の開発経緯とその反応機構について紹介する。
○ガソリン代替燃料の現実解
/(同)ポスト石油戦略研究所 大場紀章
運輸部門の脱炭素で注目を集めるe-fuelは、技術経済性の壁に直面し国内外で事業撤退が相次ぐ。本稿では、ガソリン代替燃料を巡る政策・事業・経済性の最新動向を紹介し、産業界への示唆を示す。
■解説
○インライン全数検査のための3次元光形状計測法
/埼玉大学 塩田達俊
本稿では、インライン全数検査を指向した高速3次元形状計測システムを紹介する。本システムは低コヒーレンス光周波数コム干渉と空間位相変調器を組み合わせた2次元シングルショット断層計測に基づき、従来の光学式形状計測法と比較して①計測範囲の大幅な拡大、②計測精度の向上、を同時に実現する。エタロンを用いた低コヒーレンス光コムおよび離散周波数走査レーザーを光源とすることで、多次数干渉を利用した長レンジ計測を可能とした。さらに、シングルショット撮像と高速シャッタにより、振動環境下においてもナノメートル級の位置決定精度を達成した。実験により、計測範囲は従来法比で30倍以上、位置再現性は26 nmを確認し、本方式の有効性を示した。
○画像データに基づく換気量の推定に関する研究
/久留米工業大学 呉濟元・金炫兌
本研究では、画像処理技術を用いた簡便な換気量推定手法の確立を目的として、これにより、室内のCO2濃度測定結果に基づき、窓開口面積と換気量の相関関係を求めた。
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