特集 結核および類縁疾患
(浅井 俊弥 編集委員)
今号の特集では「結核および類縁疾患」をテーマに取り上げた.結核の予防や対応が進む一方で,日常の皮膚科診療においては,高齢化や免疫抑制療法の普及などを背景とした皮膚非結核性抗酸菌(non-tuberculous mycobacteria:NTM)症や,小児期におけるBCGワクチン副反応など,結核類縁疾患に遭遇する機会が依然として存在する.本特集は日常診療に即した総説2編と,近年の学会報告からピックアップした15編の臨床例で構成されている.
「総説1」では,松原知代先生に「BCGワクチン接種による副反応の結核疹について」を解説いただいた.乳幼児に広く実施されるBCGワクチンによる局所反応と結核疹などの副反応を理解する必要がある.本稿では,丘疹状結核疹や腺病性苔癬などの病型分類をはじめ,抗結核薬治療を要する真性皮膚結核との確実な鑑別プロセス,自然軽快を見込める症例の経過観察の判断基準,ならびに小児科医との連携の重要性が明確に示されている.
「総説2」では,山口さやか先生に「皮膚の非結核性抗酸菌症 臨床的特徴を踏まえた診療の実際」をご執筆いただいた.皮膚NTM症は特異的な皮疹を欠くため炎症性疾患や真菌症との鑑別に苦慮することも多く,詳細な曝露歴の聴取が重要となる.本稿では,MALDI-TOF MS等による菌種同定技術の進歩や,菌種に応じた至適培養条件の設定,さらには多剤併用療法や外科的切除を組み合わせた集学的治療の実際について具体的に解説されている.
さらに,全国の施設から寄せられた15編の臨床例では,診断に難渋した症例の呈示や治療選択の工夫が豊富に紹介されており,日常診療の疑問に応える貴重な知見が集積されている.
本特集が,明日からの臨床における抗酸菌感染症および類縁疾患への理解を深め,確実な診断と適切な治療選択の一助となれば幸いである.
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