日本最大級の雑誌数 定期購読者100万人以上!

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従来のシステムが機能しない事業こそ、成功の可能性を秘めている
従来のシステムが機能しない事業こそ、成功の可能性を秘めている


「そんな事業は絶対に成功するわけがない」― 予想もつかない新しい事業を始めようとすると、必ず多くの反対に遭う。いわば、「世間の常識」の前にひるむのか、あるいはその中に成功の可能性を読みとるのか。本物の起業家だけが、針の穴のような可能性から壮大なビジョンを描くことができる。アマゾン・ドット・コムの日本展開を経て、雑誌の定期購読サイト運営という異色のビジネスを始めた西野伸一郎氏もまた、「世間の常識」に挑戦してきた一人だ。

「アマゾン・ドット・コムを日本に持ち込もうとしたときも、『駅ごとに書店のある日本で成功するわけがない』とほとんどが反対しましたよ。今回も同じです。最初は出版社を回っても『どこの馬の骨だ?』という反応、門前払いの連続でした(笑)」 多くの反対にもかかわらず、西野氏は創業4年で、アマゾン・ジャパンを大成功に導き、その経営手腕を証明した。では、雑誌の定期購読サイトについてはどのような勝算を持っているのだろうか?

「さすがに今回の事業を始めるに当たってはヘッドハンターからも『せっかくのキャリアを汚すな』って怒られました(笑)。でも、雑誌は書籍の1.5倍の市場を持っているんですよ。ところが取次会社が流通をがっちり押さえていて、しかも返品を避けるために、雑誌の流通量を極限まで絞っている。その結果、ニーズはあっても読みたい雑誌が書店に置かれていないのが現実です。つまり従来の流通システムそのものが雑誌を売れなくしている。ならば新しい販売チャンネルをつくって、ビジネスの仕組みを変えれば、大きなチャンスが生まれるばずです」

西野氏らが考えたビジネスモデルは、サイトに雑誌を登録し、講読申し込みから決済、配送、顧客サービスまで一元的に管理するというもの。顧客にとっては、店頭で見つけにくい趣味性や専門性の高い雑誌を容易に見つけることができ、さらには複数の雑誌を講読する場合、決済が1ヶ所ですむワンストップショッピングが実現できる。一方、供給側の出版社にとっては、販売チャンネルの拡大に加えて、顧客へのきめ細やかマーケティングが可能になる。手数料は販売価格の35%が基本。ちなみに米国では200社近い定期購読代理店が雑誌販売の中枢を担っている。

創業から1年。当初は門前払いの連続だったが、メリットに気づいた出版社の参加が急増、現在では、230社と提携、800を超える雑誌を販売している。西野氏は言う。

「将来はすべての雑誌を扱い、『雑誌の復権』を実現するのが目標。新聞、電子メディアにも挑戦する計画です」