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新文化 2006年08月31日号

富士山マガジン デジタル雑誌の販売開始
米ジニオ社と提携 小学館ほかも利用へ



富士山マガジンサービスは8月31日、デジタル雑誌の展開で米国最大手のジニオ社と提携し、同社のシステムを利用した日本でのデジタル雑誌販売をスタートした。現在は試験的に「ひらがなタイムズ」(ヤック企画)の販売を始めているが、すでに小学館の幹部が講演会で同サービスへの参加を表明しており、多くの出版社から前向きな反応を得ているという。

富士山マガジンサービスは「近年のインターネットの普及が雑誌読者ならびに雑誌の広告予算を奪っていることは否めない。ネットにシフトした雑誌の潜在読者にアプローチする新たな表現方法が求められる」とデジタル版販売の意図を説明。デジタル版も紙と同様、最新号の発売日に配信するかたちをとり、購読者には表1から表4までの全頁を表示、コンテンツの中身を検索できる機能もある。
出版社の作業は、雑誌のPDFデータを富士山に送るのみ。費用は、①紙の頁をめくるのと同じタッチで読むことができる機能への費用負担として毎号1頁200円(200頁なら4万円)、②配信料として1部につき55円、③個々の契約となる富士山へのマージン-の3種類がかかる。西野伸一郎社長は「計算すれば、紙の雑誌の販売・管理コストより格段に低くなる」としている。

紙とデジタルの併売はいまや出版社にとってメインテーマの1つだが、問題はその価格設定。一般的なのは「同価格」だが、「デジタルをどう展開するかで変わる」と西野社長。先行する語学誌の「ひらがなタイムズ」デジタル版は、音声機能もつくなど紙よりサービスレベルが高いため、デジタル版が高額となっている。「コストの低さから算出して安く提供する考え方もあるし、雑誌によって異なると思う」と、出版社側の多彩な利用を促している。

今年7月の東京国際ブックフェアのセミナーで同サービスへの参加を表明していた小学館のネットメディアセンター・岩本敏ゼネラルマネジャーは「富士山マガジンも取引書店の1つであり、我われも書店の変化に応えていくという考え方だ。あくまで予定だが、順調にいけば今年11月頃には富士山サイトでデジタル雑誌を販売することになる」としている。
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