日本最大級の雑誌数 定期購読者100万人以上!

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新文化 2009年10月22日号 (2009/10/22)
「紙の雑誌のデジタル版」の行方は…「ライブラリー」サービス開始 富士山マガジンサービス
「紙の雑誌のデジタル版」の行方は…

富士山マガジンサービスは十月十九日、紙の雑誌の定期購読者が、購読誌のデジタル版を自由に閲覧できる「デジタル雑誌ライブラリ」サービスを開始した。第 一弾は扶桑社「SUMAI no SEKKEI(住まいの設計)」、第二弾は日経BP社「日経ビジネス」。今後、出版社の意向に応じて対象誌を拡大してい く考え。  さきごろエニグモが同様のサービスを発表したものの、出版社の反発があって中止したばかり。これまで出版社との関係を構築してきた富士山マガジンサービ スが、同社との差を見せつけるかっこうになった。言い換えれば、エニグモのサービスも将来的には十分に実現可能となりそう。  もうひとつの注目点は、「紙の雑誌のデジタル版」を販売していく事業の行方。今回の「ライブラリ」では、デジタル版はあくまでも紙の定期購読を持続させ るために使われる、無料のサービスということになる。一方で富士山は、〇七年二月に「富士山デジタル」コーナーを開設しデジタル版単体の販売も拡大中だ が、単独商品としての「紙の雑誌のデジタル版」の可能性は、すでに曲がり角に来た印象がある。  同社では「当社としては、デジタル版の販売と、紙の定期購読拡大・継続のためのライブラリサービスとしての提供、どちらの選択肢もあることを出版社に伝 えていきたい。現時点で、デジタル版販売に将来性がないとは思わない。将来のために最重要なことは、雑誌のデジタル化を進めることそのものだ」と話す。  今後、いくつものステップを経ていきそうな「紙の雑誌」メディアの進化。富士山マガジンサービスの展開は、それを考察するうえで大いに参考となりそうだ。