掲載記事
新文化 2010年01月14日号 (2010/01/14)
コラム「風信」:ツイッターしてますか?
「新文化」の読者で〈ツイッター〉をまだやっていないひとがいたら、ハッキリいってまずい。それは長引く不況に喧しい出版業界に身を置く者としてのビジネ ス感度を示すからだ。僕はNTTという電気通信業界出身だが、一五年以上前に〈ADSL〉というブロードバンド技術が出現したとき、当時の上層部に 〈ADSL〉を知っているかを質問した。彼らのほとんどが知らなかった。自らの業界を脅かしうる大きな技術への意識が低すぎた結果、NTTはその市場で大 きな遅れをとった。
インターネットの登場で情報量と伝達スピードは僕たちの想像を遥かに越え、さらにブログなどのサービスが情報の発信者と受信者の明確な線引きをなくした。 これこそが既存の出版業界の存続を危うくする要因のひとつだ。ツイッターはまさにインターネットやブログと同じインパクトで、メディアや報道のあり方、さ らに政治のあり方まで変える可能性をもつ。現に発祥の地であるアメリカをはじめとする国々で、いまこの瞬間に起きていることをオンタイムで、そしてリアル に伝える手段として注目されている。日本のメディアへの露出が高まってきているいまでさえ、知らないのだとすれば“重症”だ。
このサービスは、体感しないと分からない。本を読んで分かった気になっていてはいけない。自社媒体のマーケティング手段で使うべきだといっている訳でもな い。業界のプロフェッショナルとして、新しい技術に敏感に反応してほしい。せめて試してみてほしい。願わくば、業界の脅威となりうる“ソレ”をうまく利用 する戦略をみつけてほしい。この違いに生き残りがかかっている。インターネットが現在のようになると分かっていたら、もっと前に何か手が打てたかもしれな い。そんな風に少しでも思うなら、いまこの瞬間こそツイッターを体験すべきときだ。
ツイッターはあくまで先端技術を駆使したサービスの一 例でしかない。今後も加速するテクノロジーの進化を察知し順応する準備が、あなた個人、あるいは業界人、経営者としてできているか。先日、いみじくもソフ トバンクの孫さんがツイッターでこんなことを呟いていた。「先端技術に対し無知であることを正当化するひとは、自らの成長を妨げる」と。ソフトバンクでは ツイッター利用が社命だそうだ。富士山マガジンサービスの社員は、そんな強制がなくとも自らやっているに違いない
ちなみに僕のアカウントはShinNishino、会社はFujisanだ。フォローミー!