日本最大級の雑誌数 定期購読者100万人以上!

掲載記事

M&A専門誌マール 2010年09月17日号 (2010/09/17)


TOPの決断:雑誌とITの融合をテーマに読者のニーズにきめ細かく応えるプラットフォームを構築する

TOPの決断:雑誌とITの融合をテーマに読者のニーズにきめ細かく応えるプラットフォームを構築する
CCCとの資本・業務提携の狙い

――カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下CCC)と富士山マガジンサービス(以下Fujisan)は、この8月CCCがFujisanの株式33.33%を取得するとともに業務提携を行いました。CCCの増田(宗昭)CEOとは親しかったのですか。
 「増田さんとは私が日本でアマゾンを立ち上げたときから、お付き合いはありました。増田さんがフランチャイズで展開されたTSUTAYAはまさに流通革命。アマゾンもネットを使った流通革命でしたから同じ志を持った者同志ということで」
――今回の資本・業務提携の狙いは?
 「Fujisanは日本初の『定期購読エージェンシー』として、雑誌の定期購読・バックナンバーを中心とした販売、マーケティング、配送・梱包、カスタマーサービスおよび顧客管理までを総合的に出版社に提供するとともに、雑誌に特化したECサイト『Fujisan.co.jp』を展開しています。このサイトは、日本最大級の雑誌のオンライン書店として、8000誌を超える雑誌を取扱っています。また、iPhone/iPadで閲覧可能な350誌を含めて、デジタル雑誌についても400誌を超えていまして、こちらも日本最大級の取扱いとなっています。
一方のCCCはフランチャイズ展開するTSUTAYAで年間907億円の書籍・雑誌を販売するほか、会員数1500万人を超える総合エンターテインメント・サイト『TSUTAYA online』によって、ネット通販で書籍ほかエンターテインメント・コンテンツ全般の販売を行っており。CCCが運営する『Tポイント』は3500万人超の会員数、提携企業数70社を超える、国内最大級の共通ポイントサービスとなっています。今回の業務提携は、こうした、CCCが持つ会員基盤とFujisanが持つ定期購読の仕組みを活用することによって、相互のインターネットサービスの競争力強化を目指すことが狙いです」
――具体的にはどのような事業の展開になりますか。
 「まず、Fujisanが取り扱う雑誌販売とCCCやCCCのアライアンス企業が運営するサイトとの連携による収益拡大です。また、CCCがフランチャイズで展開しているTSUTAYA店舗経由でFujisanの雑誌定期購読の取り扱いを行ったり、Fujisanによるデジタル書籍や雑誌のプラットフォーム化、CCCの会員基盤を生かした電子書籍、デジタル雑誌サービスも展開できると考えています」

こだわりの読者がつくるコミュニティのプラットフォームを

――今後、Fujisanをどのような企業にしていこうと考えていますか。
 「映像コンテンツも取り込んでいくことになると思いますが、やはり雑誌といえばFujisanという当社の特徴は大事にしていきたいですね。当社のテーマは、雑誌×ITによって何ができるか、です。したがってアマゾンや楽天のように何でも売りますというのではなく、雑誌に関連して、雑誌に出ているもの、記事になっているものを売る。ただし、雑誌という形態のモノを売るというより、その雑誌のブランドを築き上げてきたコンテンツといった方がいいかもしれませんね。読者の嗜好は多岐多様になっています。そうした読者をつかんでいる雑誌は、編集にもこだわりがあり、それがブランドをつくっているのです。そのブランド、こだわりは1つのコミュニティを形づくっていくキーワードになると思っています。
例えば御誌『MARR』にはM&Aに関する専門的な情報を求めて関係者が集ってきます。まさにそれが1つのコミュニティをつくっていくキーワードなのです。そこではその情報を求める強いニーズを反映したコンテンツが提供され、そこに集る人たちは、必ずそのコンテンツに興味のある人たちということになります。ということは、それぞれの雑誌にこだわりを持っている読者は、イコール非常に細分化された特定のコミュニティを作り上げていけるということになります。そのコミュニティの中心に位置する雑誌というモノを、それを求めているお客様に提供できるような立ち位置を私たちは大事にしたい。米国ではそれをリスト・ビジネスといっていますが、米国ではそれを定期購読という手段で実現しました。書店で買うと、どこのだれが買ったかわからない。しかし定期購読だと直接申し込んできますから、その人たちのリスト、情報が手に入ります。そのリストによって、特定の情報に関心深い顧客に対して直接アプローチできる。われわれはそれをeコマースでやろうというわけです」
――実は、弊誌MARRもこの10月号を機に、webとの連携によってM&A情報・データのポータルサイトの構築を目指してリニューアルするのですが、Fujisanもさまざまな読者のニーズに応えるポータルサイトを目指しているということですか。
 「おっしゃるとおりです。それぞれの雑誌にこだわりを持っている読者は、細分化された特定のコミュニティをつくり上げていけると言いましたが、そういうコミュニティを形づくるお客様に対してネットによって容易にアプローチできて、それらのお客様が求めるコンテンツを売るというプラットフォームの仕組みを私たちはつくっていきます。さらに、そうしたプラットフォームを活用したeコマースサービスを今度は出版社に提供していくことができます。その意味でも、3500万人の会員を抱えるCCCとの資本・業務提携によるシナジー効果は高いと考えています」

<略歴>
にしの・しんいちろう
1964年10月25日生まれ。明治大学卒業後、NTTに入社。システムコンサルタントとして企業の通信システム構築、ポータルサイト“goo”及びシリコンバレーのベンチャー投資等など担当。95年ニューヨーク大学 MBA取得。98年ネットエイジ(現、ngi group)に創業メンバーとして取締役で参画。99年米国Amazon.com Inc.にてInternational Director/Japan Founder、2000年Amazon JapanにてAmazon.co.jp, General Managerに就任。02年7月日本初の雑誌定期購読エージェントとして富士山マガジンサービスを創業、同社代表取締役就任。02年12月雑誌のオンライン書店“/~\Fujisan.co.jp”をスタート。

<沿革>
2002年07月 富士山マガジンサービス創業
2002年12月 日本初の定期購読エージェンシーとして雑誌専門ECサイト「Fujisan.co.jp」サービス開始
2003年09月 企業向け雑誌定期購読サービスをアスクル株式会社へ提供開始
2003年12月 書籍・雑誌取次会社の株式会社大阪屋と提携
2004年10月 自社開発アフィリエイトプログラム開始
2005年10月 携帯サイト「Fujisanモバイル」開設
2006年02月 コミック単行本の定期購読サービス開始
2006年02月 出版社向けの定期購読受付パッケージサービス開始
2006年08月 ジニオ社と提携しデジタル雑誌の販売開始
2007年02月 「デジタル雑誌ストア」を正式オープン
2007年07月 デジタル雑誌サービスがJEPA電子出版大賞の「デジタル・インフラ賞」を受賞
2007年12月 雑誌商品情報を提供するAPI「Fujisan WEBサービスAPI KIT」を公開
2008年04月 法人向け雑誌定期購読サービスを開始
2009年02月 取扱い雑誌数が3000誌を突破
2009年07月 出版社向け雑誌の献本サービス開始
2009年10月 出版社向け「デジタル雑誌ライブラリ」を提供開始
2009年12月 楽天ブックス内で定期購読サービス開始
2010年01月 ケイタイ広告株式会社からの事業譲受
2010年01月 中国語雑誌3173誌を加え取扱い雑誌数が7000誌突破
2010年05月 アメリカ直輸入雑誌加え取扱い雑誌数が8000誌突破
2010年06月 雑誌を無料で読める「雑誌タダ読み」サービスをデジタル版で開始
2010年07月 デジタル雑誌をiPhone/iPadで提供開始
2010年08月 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社と資本・業務提携