ゆほびかの編集長インタビュー

編集長プロフィール

マキノ出版
「ゆほびか」編集長

にしだとおる 1972年東京生まれ。医学書の編集者、「壮快」編集部を経て、「ゆほびか」編集部へ。「ゆほびか」編集長、「ゆほびかGOLD」編集長。趣味はキャンプ、子供と遊ぶこと。健康法はトマトジュースを飲むこと。気功、瞑想も実践中。

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第70回 ゆほびか 編集長 西田徹さん

ゆったりとした豊かな暮らしのヒントになるように

―「20~50代女性向けの最新の健康、美容、ダイエット、開運情報誌」とコピーにあります。
普通の健康雑誌との大きな違いは何ですか。

編集部は比較的整頓され、ゆったりしている
編集部は比較的整頓され、ゆったりしている
会議室は調理もできる空間だ
会議室は調理もできる空間だ

基本はやはり、その世代向けの健康雑誌ですが、ちょっと幅広く、健康に役立つ生活情報をお届けしています。今年で創刊16周年なんですが、もともと「壮快」の元編集長が立ち上げたんです。最初はライフスタイル誌っぽくやりたかったらしいですが(笑)、読者の声にこたえているうちに自然と、健康がメインテーマになってきたんです。
それで、今では、健康というものを、より大きくとらえています。ひとつは体の健康、もうひとつは心の健康ということになると思いますが、もっと言えば、人間関係の健康、お金の健康、仕事の健康、子育ての健康、生き方・死に方の健康・・・など、「健康」という見方で、人生のあらゆるものを見て、企画にしています。占いやスピリチュアルな要素も、そんなところで入ってくるわけです。

―女性誌には占いの要素が欠かせないともいいますね。スピリチュアルなテーマもニーズは高いのでしょうか。

時代を反映して、ニーズは高いですね。それに女性は命を産む性ということで、男性よりも、より神秘的な力や感受性は高いのではないかと思います。
目に見えないものにこそ、いろんなたいせつなものがあって、単純に面白いなと思う部分と、心の奥に触れる何かがありますよね。愛情、友情、魂、運命、自分はなんで生まれたのかな~とか。それが何か、答えはわからないけど、触れてみたい。そんなことを楽しく考えるきっかけになればいいなと思っているんです。そういったスピリチュアルな要素も、健康的に生きるには大事だと考え、読者の皆さんに喜んでいただけるように、具体的な手法をご紹介しています。

―科学的な根拠などはどうなんですか。

エビデンスは重要です。できるだけ、医師や研究機関が検証・推奨しているもの、信頼できるものを紹介するように努めています。最近人気の高かったものでいうと、医師が取り入れていて、国連やユネスコでも紹介された、「ホ・オポノポノ」というハワイに伝わる伝統的な癒しの手法があるんです。日本語でいうと「ありがとう、愛してます、許してください、ごめんなさい」という単純な言葉を繰り返すだけで、自分の潜在意識をクリーニングすることができ、健康になったり、家庭や仕事がうまくいったり、いいことがある、という方法です。潜在意識がクリーニングできたかどうかは、目には見えませんが、この4つの言葉が生活の中でふえれば、少なくとも人間関係はよくなりますよね。
こういった実生活にそくした、やってみると気持ちいいとか、心が晴れるといったことって、やはり役立つ情報だと思うんです。家庭でもすぐ使える、簡単で楽しい内容のものを多く紹介したいと思っています。

―スピリチュアル以外ではどんなものが人気ですか。

人気のテーマは別冊で
人気のテーマは別冊で
実はこんな夜の特集もあります
実はこんな夜の特集もあります

今は「片づけ」や掃除ですね。片づけも、実際にやってみると気持ちいいし、まわりも喜びますよね。そんなものがやはり人気です。
ですから表紙には「癒し」「占い」「片づけ」といったキーワードが並んでいます。強いキーワードを意識的に見せるのもこの雑誌の特徴かもしれませんね。「美肌水」「ビール酵母ダイエット」「豆乳ローション」「パワーストーン」「トイレ掃除」などのキーワードには人気が集まりました。
そういった人気のキーワードは、内容をより濃くしてムックにしたりします。「幸せなお金持ちになる本」というシリーズや、最近では「マーフィーの成功法則」「前世を知って幸せになる本」などです。
本当に前世があるかどうか、と訊かれると、それはわかりません。でも前世を知ろうとして、それがきっかけとなって親子関係が改善された例、病気が治った例、医師による研究もあります。前世なんてないって言っちゃうよりも、前世があって魂は死なないと考えたほうが、面白いし、健康にいい。それくらいの気持ちで読んでいただけたらいいな、と思っています。

―付録も癒し系のCDなどがついていますね。

はい、付録は人気が高いです。CDなどは耳で聞いて気持ちよくなったり、学んだりできるので、本とはまた違った楽しみ方を提供できます。これも雑誌の実用的側面を進めた先に出来てきたもので、本を買ってすぐに楽しめるという点でも喜ばれています。
編集部としては、感謝ということをベースに仕事をしています。読者への感謝、著者やスタッフへの感謝。感謝を根底に置いて仕事を進めると、お互い気持ちいいし、読後感のいい雑誌になるんじゃないかな、と思っています。

―「ゆほびか」って古語で「ゆったりとした豊かさ」という意味らしいですが、編集長は「ゆったりとした豊かさ」とは具体的にどういうものだとお考えですか。

そうですね。例えば、家庭だったら、主婦のかたなら家にいて、家事や子育てに忙しいですよね。ついついイライラしてしまって、お子さんやご主人に優しくできなかったり・・・。ご主人はご主人で、仕事や会社など外の付き合いで疲れて帰ってきて、家でいろいろいわれたり(笑)、奥さんにきつくあたってしまったり。なんのために家庭を築いたんだろうと思う瞬間って、誰でもありますよね(笑)。本来、家庭って、皆で幸せを分かち合って楽しく暮らせる場所であるはずです、そのために家庭を築いたのに!って。
ですから、忙しいのも悪くないけど、なるべく、イライラしないで、ゆったりしたほうがいい。そのほうが健康にいいし、経済的にもいいですよね。そうは言ってもなかなか・・・かもしれませんが、奥のほうにある目的から外れているのなら、そこを見直して、日々ゆったりできるように修正してもいいと思うんです。
人生の根っこに、穏やかな愛情に満ちた、ゆったりした、なにか豊かなものがある。表面的にはガチャガチャと忙しくしていても、その奥底に、生まれてから死ぬまで、絶えず、ゆったりした大きなものが流れている。そんなことが「ゆったりとした豊かさ」かな~と私は考えています。
それで、ゆったり豊かに生きるには、健康で、好きな仕事して、運やお金の智恵もあったほうがいいですよね。そういった生活を日々送れるように、この雑誌では、健康法、ダイエット・美容法、仕事術、お金のこと、開運法、心の持ち方など、生活全般、数多くヒントを載せるように努力しています。

―読者のレスポンスなどはかなりありそうですね。

読者からのハガキには感謝の言葉が目立つ
読者からのハガキには感謝の言葉が目立つ

はい、多いのは、雑誌で紹介した内容を試してみたら、人生うまくいった、みたいな声です。ありがとう、と書いてきてくださる方が多いです。この前は中学生の子が、父親が亡くなって精神的にも経済的にもしんどいけど、この雑誌読んだら折れそうな心が癒され希望が持てた、とありました。こういったハガキをもらえると本当にやっていてよかったと思います。
おかげさまで広告も同様にレスポンスがいいので、けっこう入っています。タイアップ広告などは広告部がつくっていますが、ありがたいことに、これも調子がいいですね。

―逆に内容にクレームつける人とかはいないのですか。

さほど多くはいらっしゃいませんが、たまにはあります。この前は、「宝くじを当てる方法をずっと試してるが当たったためしがない」(笑)とお叱りをうけました。当たる当たらないは、あります。実際に読者で数億を当てたかた、編集部で100万当てた部員もいます(笑)。

―携帯サイトを運営されていて、そこに11万人以上のファンが登録されているということですが、これだけのファンをひきつける秘訣は何ですか。

弊社の携帯サイトに登録するメリットは、著者の絵画の待ち受け画像がダウンロードできたり、聞けばダイエットできる着メロがもらえたり、無料コンテンツが読めたりと、いろいろ会員の方が得する内容があるからだと思います。あとはプレゼントが当たるメールでしょうか。読者の方々は参加意識が高いので、メールで何か呼びかけると、即座に数千件の反響をいただくこともあります。モニター情報を試してくださる方が多いのもありがたいですね。

―何人で編集されていますか。

私を入れて11人います。企画を編集部員がそれぞれ月に10本くらい出します。それを編集部内で投票して、最終的に私が判断して決めています。企画会議の時点から、タイトルの強さを、みんなで磨いていますね。

編集長の愛読誌

(2011年10月)

取材後記
小さいころから体が弱かったという西田さん。でもニンジンジュースでそれを克服し、いまやアウトドアライフも充実のパパだそうです。
スピリチュアル本や自己啓発本が好きで健康に関心も高かったということなので、今のこの仕事はうってつけかもしれません。
「休日に子供と森の中で過ごすのが楽しみ」というのは私も同じ。子供がまだ小さかったころ、私も週末のほとんどは森の中で過ごしました。お陰で子供たちは、オンとオフのバランスがほどよくとれた人間に成長したと思っています。
スピリチュアルな世界には疎い私ですが、以前、ある人から「前世は大日如来様」と言われたことがありました。私は禿げてないから世の中を照らすことなどないよ、と応えたのですが、どうも不思議な気分。別にパンチパーマかけてたわけでもないし。もちろん悪い気分ではありませんが。
そんな話を西田さんにしたら、CD付きの「前世を知って幸せになる本」をいただきました。これを読んで瞑想して、大日如来様が現れて下さるのならいいですが、髪を振り乱した血だらけの落武者とかがうらめしそうに出てきてもなぁ・・・と、実はまだ聞いてないのですよ。

インタビュアー:小西克博

大学卒業後に渡欧し編集と広告を学ぶ。共同通信社を経て中央公論社で「GQ」日本版の創刊に参画。 「リクウ」、「カイラス」創刊編集長などを歴任し、富士山マガジンサービス顧問・編集長。著書に「遊覧の極地」など。

小西克博写真

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2017年9月号 (2017年07月15日発売)
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