日本最大級の雑誌数 定期購読者100万人以上!

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新文化 2009年10月08日号 (2009/10/08)
直販業務を全面受託 「出版社は制作に集中を」

新文化 2009年10月08日号 (2009/10/08)直販業務を全面受託「出版社は政策に集中を」 富士山マガジンサービスはこのほど、定期購読など雑誌直販に関わる業務全般を低予算で代行する「富士山バリューチェーンサポート(VCS)」を発表した。 二〇〇二年の設立以来、定期購読受注、バックナンバーやデジタル版の販売など、ECサイトとしての事業展開を拡大してきたが、今後はこの「富士山VCS」 も主力事業のひとつとする。雑誌メディアの低迷が長期化するなか、出版社のコスト削減、編集・制作への資源集中に繋げてもらうのが目的という。

富士山VCS」を発表
雑誌専門のECサイトとして現在約九〇〇社と取引し、定期購読だけで三三〇〇誌以上を網羅する同社だが、出版社の雑誌事業全般をサポートする構想も創業時 からあり、これまでにも出版社の個別の要請に応じ、直販に関わる業務を請け負ってきた。二〇〇八年九月時点で出版社からの在庫管理・発送業務の受託件数は 二〇社・約三〇誌だったが、今年九月時点では七〇社・一七〇誌と急速に拡大しているという。広告収入や市販ルートでの販売が減少するなか、定期購読などを 重視する出版社も増えている。だが、そのための作業・コスト負担は重く、これらをトータルで請け負う体制をとった同社へのニーズが高まっているようだ。

同社が受託する業務は、代金決済、在庫管理や発送、購読者リスト管理、住所変更・商品未着などによるクレームや問合せなどの対応、購読継続の案内、バック ナンバーの保管・販売など、直販事業に関わる業務のほぼすべて。すでに倉庫業者は三社を利用しており、今後も業容に合わせて拡大していくという。

もうひとつの特徴は、同社がこれらの業務を低予算で引き受けること。出版社のコスト軽減が目的のため、開始時のデータ移管費と配送実費のほかは、雑誌販売 時のマージンだけで対応するという。さらに、創刊前のマーケティング調査や創刊プロモーションなども代行する。

雑誌が長期低落傾向にあるなか、具体的な年商こそ非公表ながら、業績を年々拡大している同社。西野伸一郎社長は「メディアが多様になれば相対的に割をくう のは当然だが、世の中の人が雑誌を嫌いになったわけではない。変わったのは届ける方法。たとえば当社でも、ケータイサイトからの申込みのほうが多い雑誌が あったり、読み物として始めた『編集長インタビュー』のコーナーも今やケータイサイトのほうが圧倒的にアクセスが多いなど、ユーザーの利用に変化がある。 出版社の最大の役割は、魅力的な雑誌を編集・制作すること。販売面では今後、買ってほしいターゲットに直接リーチする戦略がより重要になる。ウチはそこを サポートしていきたい」と話している。