32号
TRANSIT
出雲神話の神様図鑑
日本最古の歴史書「古事記」の舞台だった出雲。
今も八百万の神が集い、神々に愛される場所には、
そこかしこに神様たちの足跡がある。
日本神話を代表する女神から出雲の英雄まで、
個性豊かな神様たちをご紹介。
* 日本神話の多くが『古事記』と『日本書紀』、各地に伝わる『風土記』により伝承される。神様の設定、エピソードや名称は書によって異なるが、この項では主に『古事記』と『出雲国風土記』を参照しています。名称は、本来は漢字表記ですが、読みやすさを重視してカナとしました。

ツクヨミ命
アマテラスを姉にスサノオを弟にもつ三貴子の一神で、夜を治める月の神霊。古代には月の満ち欠けで暦を読み取り、農作業の区切りとしたことから、農耕と深く関係する。
【御神徳】 五穀豊穣、海上安全、家内安全、諸願成就など

スクナヒコナ命
海の彼方の常とこ世よの国から、舟でやって来た小人神。カミムスビの子で、オオクニヌシの相棒となり、国造りの事業を成し遂げた。酒や温泉を医療に発展させた医薬神でもある。
【御神徳】 病難排除、安産、国土安穏、産業開発、縁結びなど

タケミナカタ命
※画像左
オオクニヌシの第二御子神で、武勇・開拓の神様。「国譲り」の際のタケミカヅチとの力比べは相撲の起源とされる。力比べに敗れ、長野県の諏訪に隠棲。諏訪大社の御祭神。
【御神徳】五穀豊穣、国土安穏、盛業繁栄、交通安全、開運長寿など

タケミカズチ命
※画像右
「国譲り」で地上に派遣され、国津神のタケミカタに勝利した、剣神・武神。もとは常総地方の土着の神で、鹿島神社の御祭神。大和政権では中臣氏に守護神として信奉された。
【御神徳】武道守護、芸能上達、豊漁、航海平安、病気平癒など

ヤツカミズオミズヌ命
スサノオの子孫で、力持ちの大きな水神。朝鮮半島や北陸地方から土地を引いて出雲の国を大きくした、『出雲国風土記』の「国引き」神話で知られる。長浜神社の御祭神。
【御神徳】 スポーツ上達、不動産守護など

ニニギ尊
「天孫降臨」神話の主役。アマテラスから三種の神器と稲穂を授かり、父のアメノオシホミミに代わり高天原から地上に降りた。その際携えていた稲穂が稲作の起源とされる。
【御神徳】 五穀豊穣、国家安泰、家内安全、厄除けなど

アマテラス大神
高天原を支配し八百万の神を統治する、太陽の女神。スサノオの乱暴狼藉を恐れて洞窟に隠れた「天岩戸」神話が有名。太陽信仰と結びつき、稲作や農耕生産との関わりも深い。
【御神徳】 日本の総氏神ともいわれ、あらゆる御神徳を発揮

オモイカネ神
高天原の最高司令官、タカミムスビの子で、知恵の神。「天岩戸」や「国譲り」「天孫降臨」神話において参謀的な役割を果たすなど、アマテラスの腹心として才能を発揮。
【御神徳】 学問上達、出世開運、家運隆昌など

カミムスビ神
万物生成の神秘的な働きを象徴する高天原の神。『出雲国風土記』では御みおやのみこと祖命と呼ばれるなど、出雲では母なる神として崇拝される。出雲大社の造営にも関わっている。
【御神徳】 豊作、縁結び、厄除け、開運招福など

オオクニヌシ命
※画像左
スサノオの子孫で、国を平定した大王。オオモノヌシやオオナムチなど別称も多い。因幡の白兎を助ける話が有名で正妻のスセリビメを含めて6人の妻をもつ艶福家。出雲大社の御祭神。
【御神徳】 縁結び、子授け、五穀豊穣、病気平癒、商売繁盛など

スサノオ尊
イザナギの禊によって生まれた三貴神の一神。乱暴者として高天原を追放されたが、出雲に降り立つと、八岐大蛇を退治して当地の支配者に。変化に富んだ謎の多い神様といわれる。
【御神徳】 水難・火難・病難除去、五穀豊穣、文学・学問上達など

イザナミ命
※画像右
イザナギとともに国や神を生んだ、日本神話初の夫婦神。神生みの最後の出産で死んでしまうと黄泉国に去り、死の国の支配者となった。元来は土着の剏造神や始祖神とされる。
【御神徳】 夫婦円満、安産・子育て、縁結び、家内安全など
日本はこうして誕生した
最初は一つだった天と地が分離する頃、高天原に三柱の神(造化の三神)、つづいて二柱の神が出現。これらの五柱は別こと
出雲大社が創建された理由
国造りの事業を成し、出雲の国を治めていたオオクニヌシ。しかし、高天原を治めていたアマテラスは、地上も天津神が統治すべきだと判断し、国譲りを促すべく神々を派遣することに。最終的に天津神のタケミカヅチが力比べで国津神のタケミナカタに勝利すると、オオクニヌシは地上統治権の譲渡を承諾。ただ、その代わりに立派な宮殿を建ててくれるなら、幽界に身を引くと条件を出していたのだ。そうして剏建されたのが現在の出雲大社である。
山陰には神話ゆかりの地が点在
高天原からスサノオが降り立ったのは斐伊川上流の鳥髪山(船通山)。八岐大蛇の退治の後に訪れた場所で「わが心すがすがし」と言い、その地を須賀と名付け、建てた宮の跡が現在の須我神社。また、ヤツカミズオミズヌが国を引いてできた土地が島根半島で、引いた綱は薗の長浜(稲佐の浜)と弓浜半島、綱を手繰り寄せるために立てた杭は佐比売山(三瓶山)と火神岳(大山)になった。ほかにも、出雲には神話ゆかりの地があちこちに点在する。
