12月号
OZmagazine
2000年間人々を照らし続ける神の故郷、伊勢へ
日本各地に点在する神社の中心的存在として仰がれる伊勢神宮。
緑と水に満ちた自然に導かれ、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が鎮座したこの地で、心まで清めて






伊勢神宮・内宮 宇治橋
清らかな五十鈴川に架かる宇治橋。森をバックに美しい弧を描く、伊勢神宮のシンボルのひとつとして、日々多くの人々を迎える。天照大御神を祀る内宮正殿の柱木に使われた木は、20年後の「式年遷宮」で宇治橋の鳥居の柱として、新たに生まれ変わる
ひとすじの光が今日の朝を照らす目を閉じれば心に風が吹き抜ける
時を超えていつも”リフレッシュ”天照大御神の住む森を歩く
朝5時。伊勢神宮野前で一礼。なだらかに弧を描く橋の途中、山並みの切れ目から朝の光が漏れてくる。玉砂利の参道を踏みしめる音とともに、朝のひんやりとした空気に身を包み、光の帯を先を見上げれば、巨木も太陽に向かってその背を伸ばし、日の光を受けてキラキラと輝くー。 内宮のこの光景は、天照大御神のご鎮座以来の2000年、ほぼ変わることはない。 日本最高峰の神様・天照が祀られる正殿ははじめすべての建物が、木目を基調に、華美な装飾のないシンプルなもの。宇治橋から参道、正殿までが自然にひと続きに見えるすがすがしい森の景色に、目を閉じて深呼吸したくなる。 その佇まいには理由がある。実は伊勢神宮では、7世紀以来約1300年にわたり、20年に1度木造の社殿を移し、装束や神宝約1600点をすべて新調する、世界にも類のない「式年遷宮」(しきねんせんぐう)が行われてきた。それは神の身の回りをいつも美しく 整え、快適に過ごしていただくという「常若」という考え方がに基づいている。神宮に仕える600人の神職は日々お清めにつとめ、200年先の遷宮を見越して約5500naの森を代々育ててきた。さらに、新しいお宮を建てるための木は旧神領民(きゅうしんりょう みん)と呼ばれる地元・伊勢の人々による「御木曳」(おきひき)行事で運ばれる。約年がかりの遷宮行事は、伊勢市民にとっても代々の恒例行事だ。そんな地元の人が守り継いだ伝統が、凛とした清らかさを持つ森となり、現在も年間700万人が訪れるという。 日本人の憧れの地・伊勢神宮は、きっと今日も心地よい空気で私たちを迎えてくれるだろう。変わらぬ森の雄大なパワーと安らぎ。目を閉じて光の中、その大いなる力に、体ごと委ねてみたい。
Power spot
パワースポットへの旅
Ise 伊勢
東京からのアクセス
JR東京駅より名古屋駅まで東海道新幹線のぞみで約1時間40分、近鉄特急に乗り換え宇治山田駅まで約1時間30分。またはJR快速みえで伊勢駅まで約時間30分。各駅から伊勢神宮・内宮は三重交通バスで約20分
鳥羽・パールロードの朝陽
伊勢からほど近い鳥羽。その穏やかな伊勢湾内の景色と海の幸を天照大御神が愛したことから伊勢を永遠の鎮座地と決めたという神話が残る。写真は変化の多い伊勢湾の海岸線沿いに鳥羽〜志摩間を結ぶ、パールロードから望む日の出森を歩き、木を見上げれば、光が体に満ちてくる

神宮境内の木は鎮座以来2000年間、一度も斧を入れられていないという。「神の森だから自然のままに」ー光に包まれた大木に、悠久の時を感じならが歩きたい

自然の中の神々に手を合わせたら心がクリアになる
世の中の平和と、個人の豊かさ 神宮で”調和”の大切さを知る
伊勢神宮(正式名称は「神宮」)は、ひとつの宮を指すのではなく、125の社の総称。すべて含めた宮域は約5500の社の総称。
すべて含めた宮域は約5500haで、伊勢市全体の約4分の1をも占める。
その中心はふたつ。天照大御神が祀られる皇大神宮(内宮)と豊受大御神が祀られる皇受大神宮(外宮)で、地元の人に親しみを込めて内宮さん、外宮さんと呼ばれる神が鎮座する。
天照大御神は日本各地の総氏神、さらには皇室の御祖神(おおやのかみ)(祖先)とまさに”神の中の神”として世の中全体の幸せや平和を祈るかけがえのない存在。
一方、豊受大御神は世の中の豊穣を祈る神で、人々の暮らしに関わりの深い「御饌都神」(みけつかみ)という存在。
内宮よろ約500年後に建てられた外宮は規模も少し小さめで、より庶民的な雰囲気を持っている。
世の中の平和と、人々の豊かな生活。それは生きていくうえで両方欠かせないもの。
伊勢の人々や神職が2000年間大切に守り継いだ、自然と人との共生や、世の中と自分自身、両方の幸せを願う気持ち。私たち日本人のルーツとも言える、内宮・外宮ふたつの神様が願った。”調和”の心を、伊勢の土地が教えてくれる。
だから、伊勢に来たなら、ぜひ両方の神にお参りしたい。そして、目を閉じて、正殿の前で両手を合わせるとき、大いなる自然や、自分のまわりの世界に、ゆっくりと思いをはせてみよう。きっと、澄んだ心の中にだんだんと、温かな力が満ちてくるのを感じられるから。
参拝前に知りたい天照大御神と伊勢
○豊かな自然が引き寄せた縁
「この神風の伊勢の国は、常世(とこよ)(理想郷)の浪の重波帰(しきなみ)する国なり。傍国(かたくに)(山と海のある土地)のうまし(美しい、おいしい)国なり。この国に居らむと欲ふ」ー『日本書紀』によると2000年前、大11代垂仁(すいにん)天皇の世に、天皇の皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)とともに永遠の鎮座地を求め、九州から各地を旅した天照大御神。伊勢国の五十鈴川のほとりにたどり着き、自然豊かな美しい理想の国だと、永遠の鎮座地にすることを決意した。500年後海と山の幸を彩る"シェフ役"として招いたのが穀物の神様・豊受大御神で、今でも外宮では日々二度の食事をお供えする祭りが行われる。式年遷宮や祭りに、神宮の神々がきれい好きで美食家である"人間に近い"一面が見て取れる。
心を静めて30余談の石段を登り、
内宮正殿の板垣何御門へ
境内の自然に神々の息吹を感じて

外宮の入口脇で出迎える樹齢800年の楠の大木「清盛楠」。荒々しい枝ぶりは外宮の象徴

5年後、天照大御神がこちらに移られます
2013年の遷宮を控える内宮の新御敷地。現正殿と同じく、天照大御神の宿る場 としてすでに塀に囲われている

内宮の荒祭宮(あらまつりのみや)へ向かう石段の途中に「天」の文字のように奇妙な割れかたをした石が。天から降った石といういわれも
