12月号

OZmagazine

Takachiho 高千穂

雄大な自然と今も生きる神々の物語をめぐりに、神話の里へ

日本建国の神々が降り立ったとされる神のふるさと、高千穂。神秘的な自然と数々の神話に包まれた日本のルーツで目に見えない力をもらおう

新鮮な空気と緑に心が洗われるよう

東京からのアクセス
羽田空港より熊本空港まで約1時間50分、熊本空港から高千穂バスセンターまで宮崎交通・九州産交バスで約1時間35分

阿蘇山が噴火した際の溶岩の侵食によりできたV字渓谷。平均80mの断崖が東西にわたり7m続いている。
日本の滝百選にも選ばれた高さ17mの真名井の滝は必見。ボートに乗れば、滝のすぐそばまでいくことができる

エメラルド色の緑に包まれ、優しい気持ちに

山々に息づく神と人とともに自然の息吹の中で祈りを捧げる

熊本空港から車を走らせること約1時間半。
高い山と深い谷。そして一面に広がるだんだん畑の緑のコントラストが見えてくる。見渡す限りの一面の緑一色。思わず目を閉じて手を合わせたくなるほど深い緑に息吹を感じる。高千穂はそんな自然と一体化した山の中にある。 天照大御神(あまてらすおおみかみ)の「天岩戸開き」をはじめ、数々の神話が語り継がれてきた、高千穂。そのほとんどがこの土地の自然とともに今に残る。観光名所として知られる、この高千穂峡もそのひとつ。それぞれの岩や川に、物語が宿っている。  神話の里・高千穂のもうひとつの魅力が、今でも自然と密接にかかわり合って生活する人々と出会えることだ。この町では、今でも山に狩りやはちみつ採りに行く人がおり、毎日の食べ物に感謝し、食事の前に祈りを捧げる人がいる。そんな町の人の姿を目にすると、人は自然に生かされている、というのを改めて実感できる。その神々に見守られた大自然の中で祈ることで、きっと心洗われ、新しい自分に出会えるはず。

高千穂峡(たかちほきょう)

Tel 0982-73-1213
(高千穂観光協会)
宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井御塩井
観光自由
※ボートは8:30〜17:00まで運行
(年中無休、増水時は運休・一艘1500円3名乗り)
アクセス / 高千穂バスセンターよりタクシーで約5分

Power spot パワースポットへの旅

Power spot 幻想的な神話の舞台を歩いて大地のパワーを感じよう

光が射すととキラキラ輝き宝石のような苔髪が降りてきた地なのがわかる気がする

絶壁からぽたぽたと落ちてくる水は透明で冷たい!きっと神聖な水なんだろうな

自然の緑に感激!

隣で泳ぐカモと同じ目線で、ボートから見上げる滝はものすごい迫力

凹凸した岩の壁。この世のものとは思えないほど神秘的な景色に驚くばかり。

五ヶ瀬川に沿った遊歩道をゆっくり散策。マイナスイオンを浴びて心もすっきり

なんだか懐かしい!

古代日本人が使ったとされる匂玉。小さなお賽銭箱に100円を入れて、ひとつお持ち帰り

昔は水を汲んだり、野菜を洗ったりするのに使われていたという水車小屋を発見!

悪さをして神々を困らせていた鬼八が力自慢で投げたとされる石。重さは約200tもあるそう

寄っても逃げないのは、もしかしたら高千穂だから?虫も人も自然の中で生きる仲間!

そびえ立つ絶壁が連なり、圧倒される。自然が生み出した美しさは計りしれない

あららぎ乃茶屋で壮大なスケールの渓谷を眺めつつ、ひと休み。懐かしいニッキ水をゴクリ!

天照大神を岩戸にこもらせた原因である素盞鳴尊(すさおのおのみこと)が反省の証として作った月形が今に残る

神々と人々のつながりを、夜神楽(よかぐら)を見て感じよう。

高千穂には収穫への感謝と翌年の豊作を願って夜神楽が奉納されて儀式が残る。それは、神々と町の人がひとつになる日だ

はるか昔から受け継がれる、夜神楽が紡ぐ人との絆

神々の故郷として、町の至る所で神話に触れられる高千穂。しかし、その神々の物語は、有名な神話の舞台である神社や高千穂峡といったスポットを巡るだけでなく、はるか昔からこの町に伝わってきた夜神楽というお祭りを通して知ることもできる。それは、神とこの土地で暮らす人々がつながる、高千穂にとって1年で最も楽しく、重要な日なのだ。 毎年11月下旬から翌年2月にかけて、20近くある高千穂のそれぞれの神社を中心に順番に行われる夜神楽は、岩戸開きの神話の中で、天照大神を隠れた岩戸から誘い出そうと天鈿女命(あまのうずめのみこと)が面白おかしくなったのが始まりとされている。前は全部で33番。各集落で1ヵ月ほど前から毎日練習を積んだほしゃどん(奉仕者の意味)と呼ばれる何人かの男性の踊り手たちが、白装束を身にまとい、神面をつけ、夜通し舞い続ける。街によっては、12歳ほどの少年や50年近く毎年舞続けているという年配の方まで、世代を超えて様々な町の人々がほしゃどんとなる。  夜神楽では、各集落内のひとつの民家が「神楽宿(神楽を舞う場所)」となり、毎年、持ち回りで行うのが昔からのしきたりだ。最近では、公民館で行うところも増えたと言うが、今でも、「神様をお迎えするのだから、光栄なこと」と自宅を提供する人も少なくない。観光客の飛び入りでも、快く出迎えてくれるところも多い。その日は地域の人々が焼酎片手に、夕方から神楽宿に集い、翌日の午前中まで舞を見ながら親族や仲間と神との時間を楽しむ。それゆえか、高千穂の人々は夜神楽のことを”神遊び”と言う。神と遊ぶー。 なんだか、神様が家族の一員のようだ。神と人々の距離が近い。そんな光景がちょっと羨ましくもあり、なぜだか安らぎを覚える。「いつからかなぁ、神話も神楽も物心がついた時から当たり前にあった」と街の人々は言う。何十年、何百年、ひょっとしたら何千年も昔から語り継がれてきた高千穂の神話や夜神楽は、そうやって無意識のうちに街の人々の生活の一部になっているのだろう。 高千穂神社の後藤宮司によると、神楽の舞にはさまざまな意味が込められているという。「神楽は神話だけでなく、山の神や水の神を崇拝する所作を表に鎮めたり、精神を統一して生産的な活動に発展させたりして・・・。昔の人は自然の中に神様がいらっしゃると考えていた。中でも恵みを与えてくれる山には、ご先祖様の魂が宿るとされ、山の恵みへの感謝、自然に生かされているという謙遜な気持ちを大切にしてきた。そんな天地自然に対する信仰が神楽の姿として残っている」高千穂という神話の地をめぐり、神楽を見て、人々と触れ合うことで、なんだか祈りの本質が見えた気がする。

神楽殿 (かぐらでん)

集落で行われる夜神楽とは別に、高千穂神社境内の「神楽殿」では毎夜、観光客向けに33番の中から「手力雄」(たぢからお)「鈿女」(うずめ)「戸取」(とどり)といった伊弉冉尊(いざなみのみこと) 伊奘諾尊(いざなぎのみこと)が仲良くお酒を作る酒こしの舞といった代表的な4番を短縮版で公開している。太鼓や笛のリズムに合わせ、神面をつけて舞うほしゃどんの姿を見るだけでも価値あり。 趣ある夜神楽の世界を覗いてみて。

神々の見せる喜怒哀楽の表情に思わず親近感が

「手力雄」の舞

「御神体」の舞

Tel 0982-73-1213(高千穂神社境内)開 20:00~21:00 無休 鑑賞料/ 500円
アクセス/高千穂バスセンターより徒歩15分

天岩戸開きの神話

神代の昔、高天原(たかまがはら)の治めていた天照大神という太陽神がいた。
その弟・素盞鳴尊は、乱暴者で悪事ばっかりを行っていた。あるとき、非常に怒った天照大神は天の岩戸に隠れてしまい、世は真っ暗闇に。困った八百万の神々は天安河原(あまのやすがわら)に集まり相談し、天鈿女命を岩戸の前でおもしろおかしく踊らせた。にぎやかさを不思議に思った天照大神が少し岩戸を開いた瞬間、岩戸の脇に隠れていた手刀雄命が戸を開き、天照大神が外へ出すと再び世界は明るさを取り戻した。このとき、手刀雄命が飛ばした扉が長野県戸隠にいったとされる。

天孫降臨の神話(天鈿女命と猿田彦命(さるたひこのみこと)の出会い)

天照大神が岩戸から出てきてしばらくして、地上界があまりにも乱れてきたため、天照大神は孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を降臨させ、地を治めるように命じた。天鈿女命をはじめとする神々を従えて、天に降りる途中で猿田彦命が道案内をかって出て、一行は日向の高千穂の槵觸(くしふる)の峰に降り立ったというのが天孫降臨の神話。また、この時に天鈿女命と猿田彦命が出会い、一目で恋に落ちたという。その2人が住んだのが荒立ち神社だ、「地祇(ちぎ)族の神・猿田彦命」と「天孫族の神・天鈿女命」の結婚は、今でいう国際結婚ともいえる。

Power Spot
パワースポットへの旅

目を閉じて、普段の生活を振り返る大切さ

高千穂町のいたるところで目にする夜神楽の際に飾る彫り物(ほりもの)

暮らしのすぐ隣にいる神に、感謝を忘れない人々の心に気付く

町の随所に神楽の像が舞う

静かに1日を祈る町の人

天孫降臨の際に、地上に水種を移したと伝えられる天真名井(あまのまない)

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