2017年5月号

Rod&Reel(ロッドアンドリール)

Photo & Text by Morita Yuko Illustration by Ogura Takanori

バス釣り吉田塾 第6講義 シーズナルパターンを知る!

バスをまだ釣ったことがない人、なかなか思うように釣れていない人たちのために、バス釣り界のレジェンド・吉田幸二さんが釣りのノウハウを伝授するぞ。今回のテーマはシーズナルパターンだ!!

塾長 吉田幸二

日本のバス釣り黎明期から活躍する日本初のバスプロ。1998年のバサーオールスタークラシック優勝など、数々のバストーナメントで輝かしい成績を残す。現在は、NPO法人・水辺基板協会代表でありW.B.Sの会長

シーズナルパターンを知るとバスに近づける!

シーズナルパターンとは、季節や季節に伴って変わるバスの行動に合わせた釣り方のこと。バス釣りは、バスの生態や習性をアングラーが知ることで発展し進化してきた釣りだが、シーズナルパターンはまさに、その真骨頂といえる概念だ。「僕がバス釣りを始めた40年前頃は、まだバス釣りについて書いた日本の書籍はほとんどなかったので、アメリカの本や雑誌を、辞書を引きながら読んで勉強していました。アメリカの本には、四季によって釣り方を変える方法が書いてあったし、学んだことを日本のフィールドでやってみると、本当に釣れる。アメリカでも日本でも、バスはバスなんだって思ったよ。でもやっぱり本のままやってもダメなこともある。ある本にはスモールマウスとラージマウスが混同して書いてあったので、氷の下のラージを狙って、まったく釣れなかったことがあったね(笑)」

その当時から吉田さんは、バスはさまざまな動機によってルアーを口にくわえるということを知っていた。食欲はもちろん、威嚇や防衛、好奇心や反射食い、卵を守るための保護などだ。そしてそれらは季節によって変わり、狙い方やルアーなども、季節ごとに変わるバスの状態に合わせることで、釣果が爆発的にアップすることを実感していったのだ。「バスは自然界で生きているので、水と太陽と環境等によって、釣れる場所が変わる。気温や水温はもちろん、季節によって太陽の位置や日の射す角度も変わるから、いろいろ考えながら釣りをしていこう」

季節によって日の射す角度が違う

夏至と冬至とでは日照時間の長さが大きく違い、最大で5時間近くになる。また、東から昇って西に沈む太陽が描く軌道も変わる。緯度35度の東京で観測すると南中高度は夏至と冬至では最大46.8度も差ができるため、日が射す角度もそれだけ変わるのだ。「夏の日は上から射し影が短い。冬は日が斜めから射すので影が長くなる。それによってバスのつき場も変わるんだよ」

夏至と冬至では太陽の描く軌道が大きく違う

春Spring

[基礎]スポーニングという一大イベントを覚える

バス釣りでは、産卵のことを「スポーニング」とか「スポーン」と呼ぶ。春は、バスにとって最大のイベントであるスポーニングがある季節だ。産卵期は、プリスポーン(産卵前)、ミッドスポーン(産卵中)、アフタースポーン(産卵後)の3つの時期に分けて説明されることが多い。冬の間越冬場所にいたバスたちは、水温が10℃以上になると産卵を意識し、産卵場所の沖にある水深3m前後の障害物(コンタクトポイント)に集まりだす。「スポーニング時期は、大型のメスからシャローでエサを食べるようになるね。だから早春はでかバスが釣れるんだよ」

産卵前のメス

スポーニング直前のメスバス。腹部が卵で膨らんでいる。スポーニングのメスは一回だけで産卵を終わらせることは少なく、オスを代え数回に分けて産卵する

スポーニングは〝産卵〞という意味だよ

[応用]スポーニングは3段階でイメージする

プリスポーン(産卵前)

早春になるとバスは、ディープからコンタクトポイントを経由し、シャローに出てエサを旺盛に食べるようになる。オスは絶食する子育て期間中に体力が持つように、メスは産卵に備えて栄養を取るためにだ。水温が15℃以上になるとオスはネスト(巣)を作りメスを迎えにいく

ミッドスポーン(産卵中)

メスがネストを気に入るとそこで産卵し、オスは放精して受精を行う。「バスの卵が孵化するには積算100℃(例:水温10℃×10日)といわれています。水温が18℃なら5日から6日で孵化するので、その間、オスバスは卵を守るため外敵を排除しようとするので釣られやすくなる」

アフタースポーン(産卵後)

産卵したメスは、別の場所で体力を回復させたり、2度目の産卵にそなえるためネストを離れる。オスは孵化したあとも1、2cmに成長するまでエサを食べずに稚魚を外敵から守る。この時期は、メスもオスも積極的にエサを追わないので、ルアーで釣るのが難しいといわれる

[発展]メインベイトを知る

春のバスは、さまざまな理由でルアーを口にする。産卵前は栄養を蓄えるために食性で食ってくることが多く、産卵中はネストのゴミを退けるために口を使うし、産卵後は稚魚を外敵から守るために威嚇で口を使うことが多い。「全部のバスが一斉に産卵するわけではなく、大型のバスから産卵に入っていき、霞ケ浦なら6月頃までダラダラとスポーニングは続きます。つまり同じフィールドでも産卵前、産卵中、産卵後のバスが混在しているので、エサを食べたいバスは必ずいる。だからこそバスのメインベイトを知る必要があるんだよ。3月のメインベイトはワカサギやシラウオだったのが4月になるとザリガニになる、などを知ることで使うルアーを変えれば、爆発的に釣れるようになるよ」

ミノーなどのプラグ

霞ケ浦の3月のメインベイトはワカサギなので、それに似たフィルムのミノーが有効

ザリガニ系ワーム

4月になるとメインベイトは甲殻類になるため、ザリガニ系のワームが効果的になる

ネスト(巣)を作る場所

バスがネストを作る場所は日光が届くハードボトムだ。水質がクリアなら日光が比較的深い所にも届くので深い場所にもネストを作る。「霞ヶ浦はにごっているからネストの水深は1.5mくらいまでかな。ネストになりやすいハードマテリアルは石積みや岩盤、大きな切り株や倒木など。ハードマテリアルなら、孵化の邪魔になる泥がかかりにくいのが理由だね」

ネスト

オスバスは卵に泥がかからないように、ハードマテリアルの水底を尾できれいに掃除してネストを作る。春にクリアレイクの湖底を見ると、ネストが白っぽく見えるのはそのためだ

夏 Summer

[基礎]梅雨時と真夏で分けて考える

6月になると多くのバスはアフタースポーンから回復して元気にエサを食べるようになる。しかもその頃はスジエビやテナガエビが産卵のために接岸するので、バスはそれらの甲殻類をメインベイトにするようになるのだ。「夏は6〜7月中旬の梅雨時と、梅雨が明けた真夏を分けて考えよう。梅雨時に多いローライトで低気圧な雨の日は、バスが表層を意識するのでトップウォーターなどのルアーで釣りやすい。日射しの強い真夏は、日陰になるカバーのシェードに甲殻類系ワームやラバージグを落としたり、涼しい流れ込みにクランクベイトを入れていくといいね」

クランクで釣った夏バス

夏は、天候によってバスの居場所が絞りやすい季節だ。産卵の疲れから回復し元気にエサを食べるので、いろいろなルアーを使ってバス釣りができる。しかし、高水温になりすぎると活性は落ちる

メインベイトを知りましょう

[応用]涼しさとエサの摂取を両立できる場所を選ぶ

夏は水温が上昇し、バスの適水温である20℃前後を大きく越えるとバスは、水温が低い場所を求めて移動する。それが、シェード、流れ込み、深場の湧き水エリアなどだ。マッディレイクでは比較的水温が低い流入河川を遡る傾向にあるし、ダム湖ではバックウォーターにバスが集まっていく。もちろんバスのエサとなる小魚も、涼しい場所を求めて移動するため、それらの場所は涼しさとエサの摂取が両立できる場所といえる。

[発展]夏のメインベイトを意識して、ルアーを選ぶ

6月になるとスジエビやテナガエビが産卵のために接岸するので、バスはそれらをメインで狙うようになる。「護岸や消波ブロックに張り付いていたエビが、ポロッと落ちる瞬間をバスは待っているので、同じように落ちるノーシンカーリグなどで釣れるようになるよ。8月末に稲刈りがはじまると、カエルが水路に逃げ出してくるので、フロッグなどのトップウォーターで釣れるようになる。ベイトを知ると使うルアーが決まっていくんだ」

シャロークランク

トップウォーターのようにも使える便利なルアー

ラバージグ

甲殻類などを模すことができる。カバー攻略に適する

フロッグ

カエルのように水面で泳がせてバスを誘い出す

秋Fall

[基礎]バスの居場所が広範囲に散る

秋は、バスにとって適水温で産卵もないので、エサを食べることに専念できる季節だが、逆に居場所に固執しないため警戒心が強くなり、アングラーの存在に気がつくと逃げ出して釣りづらくなる。「秋のバスはどこにでもいるような状態になるので、ポイントが絞りきれず難しいよね。11月に入ると水温が低下して霞ケ浦の水もクリアになっていく。そうするとさらにスプーキーになる。ただし秋は、小魚の群れを狙うバスが連発で釣れる場合もあるし、いろいろなルアーで釣れる魅力もある。バス釣りの醍醐味を味わえる季節でもあるんだ」

逃げるバス

秋のバスは広くいろいろな場所に散っている。また、春や夏のように居場所に固執する必要がないため、アングラーの存在に気がつくとすぐに逃げて、その場所に戻ってこなくなることも多い

秋は難しいよ

[応用]食欲旺盛なもバスに出会える

秋のバスはスプーキーだ。しかし秋になるとメインベイトのワカサギは大きく成長し群れで移動するため、バスの捕食スイッチが入ると、連発して釣れることがある。甲殻類は冬になると冬眠してしまうが、秋には数多くいるため、カバーに潜むバスのメインベイトとなるのだ。「バスは、ワカサギや甲殻類のほかに、モツゴやモロコ、タナゴやブルーギルも食べている。でもこれらのベイトは、パターンとして成立させにくい」

[発展]秋のベイトを意識してルアーで探っていこう

秋は小魚の活性もよく、いろいろな水深にさまざまな魚が群れをつくって回遊している。バスはそれを狙って群れにつき、追いつめることが多い。そんなバスを狙うならャッドやクランクベイトが有効。カバーの中の甲殻類を捕食しているバスを狙うなら、甲殻系ワームといわれるクローワームやホッグ系を使おう。「バスのメインベイトを意識したルアーセレクトをマッチ・ザ・ベイトといいます。次号で詳しく解説するよ!」

甲殻系ワーム

甲殻類を模したソフトベイト。さまざまなリグで使う

シャッド

小魚のような形をしたルアー。群れのそばで使おう

クランクベイト

ブリブリと存在感を示しなリリ示がら中層を泳ぎバスを誘う

冬 Winter

[基礎]水温が低くなると越冬場所に集まる

冬になり水温が低下すると、バスの動きは鈍くなる。しかし、12月中なら初心者でも十分にバス釣りを楽しめると吉田さんは語る。「低水温のほうが水中に酸素がいきわたりクリアアップするので、霞ケ浦などのマッディレイクはとくに、水質としてはいい状態になります。エサとなる生物も限定されるので、ルアーセレクトもしやすい。ただし、水温が4℃以下になるとバスの動きは極端に悪くなります。真冬にバスを狙うなら、湧き水のある所や温排水のある所のほか、水温が高くなりやすい日当たりのいいハードボトムなどを探しましょう」

水温が高い場所を探す

岸釣りで冬バスを狙うなら、水温が高くなりやすい日当たりのいい場所を探そう。黒っぽいハードボトムだとさらにいい。また、温排水が流出している水路なども、水温が高くなるので狙い目だ

でかバスがス釣れる季節でもある

[応用]湧き水エリアなどに集まっていく

湧き水は水温が安定しているので、湧き水エリアにバスは集まる。もしくは越冬場所となるディープでエサをあまり食べずにじっとしている個体も多い。しかし体力のあるバスは、温排水の下や日当たりのいい場所などのシャローに残ってエサを追う。2月頃になれば、シャローでビッグバスが釣れることもあるので、冬でも釣りに出かけよう。「釣られたことのない百戦錬磨のでかバスが釣れたりするのがこのシーズン!」

[発展]水温によって攻め方を変える

水温が10℃を下回るようになると甲殻類は冬眠してしまうので、バスのメインベイトはワカサギやシラウオ、タナゴやフナなどの小魚になる。水温が4℃までならクランクベイトやシャッド、バイブレーションなどのプラグで釣れるが、4℃を下回るとバスの動きは極端に鈍くなる。「水の4℃はもっとも重いため、バスを釣るのはかなり難しいが、ラパラのアイスジグや、メタルジグでボトム付近を釣る方法はある。ボトム付近がもっとも温かいからね」

シャッド

ワカサギなどを食べているバスに効くルアー

バイブレーション

ボトム付近を広くトレースすることができるルアー

シャロークランク

シャローにいるでかバスを高確率で狙える

フィールドを観察しよう

「人よりバスを釣りたいなら、水辺を観察することが大事です。そして釣れたときに〝なぜこれで釣れたんだろう?〞と考える。そのときに重要なのがベイトの存在。『将を射んと欲すればまず馬を射よ』ということわざの通り、バスを釣り上げたいなら、食べているベイトを知ることが大切。そして妄想でもいいからイマジネーションを持つようにしよう」

観察が大事!

吉田さんは釣りをしているときは必ず、水辺を観察している。ベイトの存在はもちろん、気候の変化なども感じて、バスを釣るための戦略を立てていく

初心者はフローティングを使おう

いままで吉田塾ではキャストのコツなども紹介してきたが、まだ慣れない初心者はきっとフィールドでルアーを根がからせてしまうだろう。そんなときにルアーをロストさせずに回収しやすくする方法がある。「初心者は、水面に浮き上がるフローティングタイプのルアーを使いましょう。根がからせてラインを切ってしまっても、運がよければそこで浮いてくるので回収できます。また、水中の障害物もうまくかわしてくれることもあるので、使いやすいはずです。しかも、水中で止めたときに浮き上がる動きは、バスに強烈にアピールするのでよく釣れます」

フローティングプラグ

水面に浮き上がるように作られているフローティングタイプのルアーはクランクに多いが、探せばシャッドにもある。Fの文字で表示される

【塾長の今月の格言】五感を駆使して季節を感じることで、バスに近づける!

まとめ ・季節の進行は暦ではなく身体で感じよう
・季節によって変わる、バスのメインベイトを知る
・バスの生態をを理解するとシーズナルパターンがわかりやすい

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