2017年5月号

Rod&Reel(ロッドアンドリール)

今江克隆 バス釣りの水平線 連載第17回

バス釣りと人生について誰よりも知る男、今江克隆さんの連載第17回。今回も気になる質問が届いたぞ〜!

今江克隆(いまえ・かつたか) 1964年生まれ。JBTA時代を含め、トップカテゴリーの最前線で戦い続けるバスプロであり、自他ともに認める生粋のルアーマニア。イマカツC.E.O。愛犬家としても知られる

[質問]五十嵐将実プロのブログで知ったのですが、

JBトップ50の試合ではパワーポールにピッチングしてきたり、仁王立ちして威嚇してきたり、俺が釣りしてるからドケといわれたりするのですか? まさか今江プロにそんなことをする選手はいないと思いますが、試合中のマナーについてはどのように考えていますか?(東京都 安藤紘茂さん 31歳)

まず申し訳ないですが、五十嵐プロのTOP50引退をこの質問で知りました......。そうだったんですね......。自分は彼とはほぼ全く面識がなく話をしたことも、幸か不幸か試合でバッティングしたことも一度もなかったので、全くこういった情報も聞いたことがなかったですね。

というか、今の時代でもこういったギスギスした話があったことに正直驚きです。自分的には昔に比べ、驚くほど皆大人しくなってしまって、試合は始まってしまえばあるい意味、ルールのあるケンカみたいな部分もあって当然と思っていた自分達の若い頃に比べ、今の若いプロ達は皆仲がいい仲間みたいな感じに見えていたからね。

パワーポールにピッチングって、マジであるならまあまあギャグだね。誰がやったのか実に聞きたい。ただ、こういった場合って、相手も相当に怒ってることが解るから、彼自身に非がなかったかどうか、相手の言い分も聞いてみたいね。ドケっていわれたって書いてあったけど、これだけではなぜ相手がドケといったのか。このままだと一方的に相手だけが悪いように読めるから、ブログで書くなら相手の名前まで堂々と記すべきだと思うね。

TOP50はギスギスした世界っていうけれど、人生を賭けた本気の勝負の世界はどんなスポーツでも競技でも平和なわけがないよ。むしろ日本のバスプロの世界などお坊ちゃんの遊びに毛が生えたレベルで参加しているプロも多いわけで、黎明期から人生と生活を本気でバス釣りに賭けた若者(今はその多くがメーカーの代表になってるけど)が戦っていた頃に比べれば、ギスギスどころかメチャクチャ仲良しTOP50って気がする。

昔は試合後のケンカなんて珍しくもなかったからね。特にネストのバスを「俺のバスだ!」って主張しあって試合後にケンカする姿は何度も見たよ。それを見て「名前書いてあんのかよー」って自分も思ったけど、スポーツマンシップ原理主義者みたいなプロもいて、人が狙っているバスはその人が釣れなくても、後からでも釣ってはいけないみたいなこともいってくる。それはスポーツマンシップにもとるってね。この狭い日本の限られたトーナメントフィールドでそれをいい出したら、朝イチのスタート順次第で釣る場所が一切無くなってしまうから、今の時代に流石にそこまでいう輩はいなくなったけど、昔はホント多かったんだ。

実際、自分も某有名プロに「そのネストのバスは自分のバスだ!情報入れてきたな卑怯者!」みたいなことを試合2日目に大勢のオカッパリ観客の前で、大声で酷く罵られたことがあった。でも、たまたまそのバスを某有名プロがいなかった前日にも自分が狙っていたことを2人以上のプロが真横で見ててくれて、某有名プロの完全な誤解だと証言してくれたんだ。それでも後々、この件で年々間も酷い陰口と中傷を受けてきた。昔は言い訳しないのが〝プロ〟。黙して語らずが〝男〟と信じてきたから一切黙ってきたけれど、今の時代は逆だね。ブログやツイッターでちゃんと自分の意見をいわなきゃ、いわれっぱなしで悪者にされる時代になってしまった。だから五十嵐君が書いたパワーポールなプロも、ドケなプロも、自分の意見を公に発信するべきだと思う。ルール内で徹底的にお互いの正義と信じるところがあるならやり合えばいい。どちらが悪いかはその後で周りが判断すべきで、一方的な情報で判断すべき時代じゃない。

そういや、エリート戦でも100平方キロ以上のエリアにわずか5人だけなのに、偶然朝イチの水門で某プロとタッチの差でバッティング。先に自分が到着してたので「ここマイウォーターな!」と声を掛けたつもりが、釣りビジョンにその部分だけを面白おかしくクローズアップされ(まあTV番組上、バトル感は最高でしたからね......)、後日SNSで散々、今江は「傲慢」、「俺様」って中傷された。自分にしてみりゃ、広大なエリアの中で同じ水門に僅か25mも離れず2艇が並ぶって、それエリート5なの??? って気持ちがあった。でも大混雑が当たり前のマスターシリーズや河口湖のトーナメントに慣れている選手にとって、25mは十分にシェアできる距離なんだよね。その辺が互いの誤解を生む原因になる。別に彼が自分を中傷したわけじゃないのに、SNSではもう釣りビジョンのおかげで自分は完全にヒールだったね。今回の件もそうだけど、部分的な文面が面白おかしくクローズアップされるSNSならではの恐さがモロに出てるね。

でもね、どんな世界でも「本当の真剣勝負」って、多かれ少なかれそういう事はあると思う。そういうことも全て飲み込んで、なお上を目指す並々ならぬ強い意志と闘争心がある人間だけが、最後に頂点へ立てるんだと思う。それに耐えられない者、克服できない者は短期的には目立てても、何十年間も戦いの舞台に立ち続けることはまず無理だろうね。それだけはどんな競技の世界でも確かだと思うよ。

[質問]今江さんがデカハネモノを使う時、

他のトップウォータープラグよりも気を使う、気をつけることはありますか? また、アベンタクローラー、ベルリネッタクローラーをスピード以外で使い分けるポイントはありますか?(東京都 沼田幸夫さん 49歳)

なんだかロドリって......デカハネモノの質問、毎回やたら多いんですけど......。イマカツ的にはデカハネモノ、初号機ベルリネッタクローラーをリリースしてから早くも4年目に入るけど、いまだ衰えを知らない人気ぶりだね。2017年モデルのアベンタもつい先日リリースしたけど、特にアベンタクローラーの生産は累計でもここ3年の最大生産数を記録したといって良いほどの大人気。もうゲテモノなんて誰も呼ばないくらい、いやむしろ「一番釣れるトップウォーター」といっても良いほど、多くの人に認知されたトッププラグだと思う。

一般化できた一番の理由は、このクローラーの一番簡単で、誰にでも扱える使い方が完全に理解されたからだと思う。その最大のキモはやはり「デッドスロー」、それも可能な限り超デッドスローで誘うという、ちょっとワームにも似たコンセプトだろうね。自分的にはアベンタを使う時に注意しているというか意識していることは、ビッグプラグだとは全く思っていないこと。むしろアベンタはフィネスプラグだとすら思ってる。

こういったプラグを破格の神ルアーに昇格させるためには、自分の中で思い込みでも良いから、絶対的なコンフィデンスを持つことが重要なんだ。例えばビッグバドなんかも、最初はおもちゃかよ!って思ってたけど、水面より高い位置にブレードを出して音をよりよくしようと思ってヒートン位置を上げたら、数個作ったうちの1個がなんだかやたら妙な動きをするヤツがあった。それは偶然、重心位置が高くなったことと、さらに偶然、ヒートンのリング部を開いて再度閉めたら隙間が出来てしまって、その隙間にたまにうまいことブレードが挟まってロックし、バランスを崩してチドってはブレードが元に戻って復帰するという奇跡のアクションをする「神バド」が生まれてしまったわけ。それが本当にいいのかどうかは別にして、自分にとっては試合前に偶然出来て、偶然釣れまくったバドで、もうそれが唯一無二の誰も持っていないものに思えたわけ。その根拠のない自信が集中力に繋がったのか、試合中ずっとそのバドを巻き続け、TOP50(当時はWORLDシリーズ)に優勝してしまったわけ。それからバドのヒートンチューンは大流行するんだけど、ヒートンの隙間の秘密は何年も内緒にしていた。ここからモグチャやワドルバッツのチドリシステムのヒントが生まれてきたんだ。

話がそれたけど、アベンタで絶対の自信が持てた原因は、これ以上にデッドスローでも動くクローラーは他に存在しない自信があったから。何よりアベンタの羽根は「高く上がる」のにデッドスローで引けることがキモなんだ。遠くだと羽根が上がってくれないと、動いているのかどうかが僅かな波っけや、風で見えなくなって、見えないと早く巻こうとしてしまうんだね。ここはアベンタのこだわりなんだ。そしてもうひとつの確信は「アベンタはボディはただの浮力体」って思い込んでること。自分はアベンタは「羽根」でバスを釣ってるつもりで使うんだ。簡単にいえば羽根を2匹の10㎝弱のベイトフィッシュと思って、その2匹のベイトフィシュがボディをピクピクヒラヒラさせながらついばんでいるイメージ。まるで、流木に着いた藻をついばむ小魚か、魚や小動物の腐乱死体?を突っつく2匹の小魚......みたいなイメージだね。だからデカいルアーを使っているけど、デカいルアーで釣っているつもりが全然ない。2枚の薄いブレードをデカくて前進しにくい「浮き」を使って延々ピクピクさせてバスをだますイメージ。ベルリネッタを最初に起案した時は、琵琶湖の広大なウィードを想定したんだ。当時、クローラーは威嚇反射食いといわれていて、いかにバスをイラつかせ、広範囲を素早く探れるかに焦点を絞ったのがバズベイトの延長にあるベルリネッタだったわけ。デッドスローは目的にしてなかった。だけど、自分がベルリネッタをリザーバーで使った時、大好きなバド系はとにかくデッドスローが基本だったため、デッドで動かそうとしてもイマイチ動かなかったんだ。これは琵琶湖向きで自分向きじゃないなと思って、ベルリのジョイントボディを取り外して上半身だけで使うとデッドで動いて、まるで2匹の小魚が亀をいじめているように見えた。そこでベルリの上半身を大きくし自分好みにデッドに特化して作ってみたのがアベンタ。この時も「羽根の動きがデッドでもしっかり見える」のが絶対条件だった。動きが見えないとデッドは続けられないからね。で、結局ベルリもベルリⅡでスロー対応に変えちゃったけどね。

だから自分がアベンタを使ううえで一番意識しているのは、実は中空ワーム、レインボーシャッドなどの水面ピクピクのスーパーパワーアップ版×2匹と思って使ってるんだ。羽根がより目立って欲しいから、好んで黒いボディを使うようになってしまった。羽根とボディのコントラスト差が強い色が好きなんだ。で、その究極が羽根を巨大化し、ボディを桐ウッドで高浮力小型化したアベンタRS。これなんかモロ「羽根を食わしてやろう」って思って下半身に羽根を付けてる。まあ、これもあくまで自分の思い込みなんだけど、イメージしやすい思い込みこそが、特に動きが目に見えるプラグでは一番重要な「自信」だとも思ってるよ。アベンタとベルリⅡの使い分けは、見飽きたら替えるかな。バスもそんなもんでしょ(笑)。

今月の質問をいただいたお二人には、今江プロより実際に試合で使っていたIMAKATSUルアー(サイン入り)をお送りします。楽しみにお待ちください!

質問募集!
当コーナーでは今江プロへの質問を募集中。最新テクニックやタックル購入の相談、マニアックなチューン方法、はたまたバスプロになるには?といった人生相談まで。バス釣りにまつわる疑問、質問を綴じ込みの読者ハガキ、もしくはrodori@chikyumaru.co.jpまでお送りください。採用者には今江プロからプレゼントを進呈します。あなたの質問、待ってます!

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