2017年7月号

Rod&Reel(ロッドアンドリール)

Photo & Text by Morita Yuko Illustration by Ogura Takanori

バス釣り吉田塾 第8講義
時合や天候を考えてバスを探す

バスを釣ったことがない人、なかなか思うように釣れていない人たちのために、バス釣り界のレジェンド・吉田幸二さんが釣りのノウハウを伝授する。今回のテーマは時合や天候についてだ!

塾長 吉田幸二
日本のバス釣り黎明期から活躍する日本初のらバスプロ。1998年のバサーオールスタークラシック優勝など、数々のバストーナメントで輝かしい成績を残す。現在は、NPO法人・水辺基盤協会代表であり、W.B.Sの会長

自然を観察し想像することで、バスに近づける!

バスは自然のなかで生きている。そんなバスを釣りたいのなら、季節や天候、時間帯や光量などを考えながら釣りをする必要がある。そこで今回は、それらの要素をもとに、バスを探す方法を吉田さんに聞いた。

「バス釣りでは天候のほかに時合を考えることも大切だ。時合とは、釣り用語で魚がエサをよく食べる時間帯やタイミングのことをいい、朝まずめや夕まずめもこれに当たる。

ほかにも風向きが変わったり、雨が降りだしたり、天候の変わり目の瞬間に、バスがルアーを追いだしたりするのも時合。人間は、水中で暮らすバスのことを100%知ることはできないけれど、時間帯や天候を参考にしながら、水中にいるバスのことを想像することはできる。

その想像力がバスに口を使わせる原動力になるから、その時々の釣り場の状況をしっかり観察していこう」

ルアー釣りは、観察して想像し、実践しながら想像したことの間違いを修正しつつターゲットに近づく釣りだ。しかも、偶然その場所にバスがいた〟、〝偶然そのルアーの動きがバスに口を使わせた〟など、偶然バスが釣れたと思いがちかもしれない。

しかし吉田さんは、自分が考えたプロセスで釣れたバスなら、〝偶然の結果〟ではなく、〝偶然を重ねた結果の必然〟なのだと語る。だからこそ、釣ったときの喜びは大きくなる。

「バス釣りには、もちろんセオリーはあるけど、セオリーとは真逆の条件で釣れることもある。常に可能性を感じながら、時間帯や天候を考えつつ、釣りをしましょう」

基礎となる知識を紹介。この知識を理解することで応用や発展ができる

基礎の知識をもとに実際にやってみて、イレギュラーなケースにも対応

基礎知識や応用力をもって、さらなる進化を導くための事柄を紹介する

◆これも覚えて バスは明るい場所を嫌う

バスの目にはまぶたがないので明るい場所が苦手だ

バスの目にはまぶたがないので眩しい場所を嫌う。しかも、明るい場所から暗い場所は見えにくいので、エサとなる生き物を待ち伏せて捕食するときは、暗い場所から明るい場所を見ようとするのだ。

「とくに透明度が高い水質で明るい場所では、天敵となる鳥などに狙われやすいため危険です。そんな理由があって、バスは暗い場所や影の中に入りたがるんだよ」

単語集

釣りをする季節・時間帯

まず何よりも、自分の使いたいルアーを先に考えよう

バス釣りにおけるルアー選びは、〝適材適所〞がセオリーだ。場所ごとにもっとも適したモノを用いるということだが、初心者はどこに何を投入したらいいのかわからない。だから吉田さんは、まず使いたいルアーを選んで使おうと語る。

「バス釣りを楽しいと思えるルアーを選びましょう。見た目が可愛いとか、投げているだけで楽しい、などの要素はとても大切。もちろん釣れる可能性が高いことも大事だ。なので、僕は初心者に巻きモノをおすすめする」

▲初心者におすすすめ

クランクベイト

クリッタータックル/ダイキチクランクスタンダード
丸っこいボディからベロのようなリップを出し、愛嬌のある目が付いているルアー。巻いて使う

フローティングミノー

ボーマー/ロングA
小魚に似たフォルムのボディにリップが付いているプラグ。フローティングタイプがとくにおすすめ

▲おすすめの理由

●よく釣れる
●ボトムの地質がわかる
●ストラクチャーがわかりやすい
●サーチベイトになる
●フローティングだから根がかりにくい
●投げていると楽しい

シーズナルパターンを考慮する

季節によってバスの行動パターンは変わる

釣りをするタイミングからバスの居場所を探るなら、まずは一番大きな枠組み、季節から考えるべき。春はスポーニングの前後でバスのポジションが全く違ってくる

使いたいルアーが決まったら、バスの居場所を想像する上で重要な要素である〝シーズナルパターン〞を考える(吉田塾第6講義を参照)。

この号の取材は4月末に行われたため、霞ケ浦にはプリスポーン、スポーニング中、アフタースポーンのバスが混在していた。吉田さんはその中のどのバスに標準を合わせたかというと、プリスポーンとアフタースポーンのバスだった。

「スポーニング中のバスを釣りたいなら、スポーニングエリアのボトムでダウンショットリグなどのワームをズルズルと引けば、ネストを守りたいバスが、邪魔者を排除するために口を使うかもしれない。

でもそのバスを釣ると、卵や稚魚がギルやコイなどに食べられてしまう可能性が高い。僕はバスの数を減らしたくないから、スポーニング中のバスではなく、それ以外のバスを狙おうと思う」

釣りをする時間帯で考える
バス釣りでは、朝、昼、夕の時間帯それぞれで釣り方を変えるのが一般的だ。

「朝、昼、夕では、太陽の光が射す角度や光量が違う。光が射す前の早朝は、水中の植物性プランクトンがあまり動かないので、水質がクリアアップする。これが昼になり、光が射して水温が上昇すると、植物性プランクトンも動物性プランクトンも活発に活動し始めるので、水質が緑っぽくにごってくる。夕方はもっともにごっている状況になる。

もちろん水中のプランクトンが活動すると、ベイトの動きも変わる。とくに動物性プランクトンが動いていると、それを食べようとする小魚が表層に浮くのでトップウォータールアーがいいときも多い。光量や水温変化はとても重要なんだ」

▲朝 クリアアップした水中でエサを探す

光が射す前の早朝は、水中の植物性プランクトンがあまり動かないので、水質がクリアアップしている。バスにとって朝は、視界がよく、人的プレッシャーが少ないので、よくエサを食べる時間帯といわれている

▲昼 水中のプランクトンが活発になる

太陽の光が射し、水温が上昇すると、植物性プランクトンも動物性プランクトンも活発に活動するので水質がにごる。動物性プランクトンを食べる小魚も活発に動くので、小魚を狙うバスも捕食体勢に入ることは多い

▲夕 バスもベイトもエサを活発に捕食する

植物プランクトンが活動したので水質はにごっている。羽虫がハッチする時間帯なので、小魚は羽虫を捕食しようと水面に集まる。そんな小魚を狙うため、表層を意識するバスは多く、よく釣れる時間帯といえる

釣りをする日の状況

天候や風向きを考える

釣りをする日になったら、天候や風向きを調べよう。釣り場の天気予報や風向きを確認することで、戦略を決めることができる。

「晴れなのか、曇りなのか雨なのかによって釣りをするポイントは変わってくるし、風向きも重要。とくに風向きは、風によって小魚などのベイトが岸際に寄せられるので、必ずチェックしておこう。

天候や風向き以外の情報を知ることも大事。本来なら霞ケ浦の流入河川や河口も釣れるけど、4月末は田植えと重なる時期なので、代掻きによって水路や川がにごる。バスはにごりを嫌って本湖に避難するはずだから、そういう時期的な情報も重要なんだ」

風によってベイトが動く

霞ケ浦はもちろん、野池でもダム湖でも風向きを知ることは大切だ。「風に打ち寄せられた小魚が風の当たる岸際に集まる。バスはそれを狙っている」

▲晴れ バスがカバーに入る

バスはまぶしい場所を嫌うため、日射しが照りつける晴れの日は、木や橋の下など、暗くて涼しいカバーの中に入る。「晴れている日は、根がかりしにくいルアーでカバーの奥を狙っていくと釣れるよ」

▲曇り 広範囲で活動する

曇りの日はローライトなので、バスにとっては眩しくなく、快適なコンディションのため、いろいろな場所に散って広範囲で活動する。そのため釣り人にとってはポイントを絞りにくい状況といえるだろう

▲雨 バスのコンディションが変わる

雨の日は気圧が下がるので浮き袋を持っているバスにとっては快適な状況。しかも釣り人が減るので人的プレッシャーも低く釣りやすいコンディションといえる。しかし大雨でフィールドが濁流になると釣れにくくなる

水温や水深を知る
バスは、水温が3℃でも35℃でも生息することはできるが、一般的に適水温は25℃前後といわれている。なので、水温を計ってバスの適水温に近ければ、バスは快適に活動していると判断していいだろう。

「真冬はとくに水温計で計ることが多いよ。バスは基本的に冷たい水が苦手なので、ほかよりも少しでも水温が高い所に集まる。だから、高水温の場所を探すことが大事なんだ。

また、水深を知ることも重要。霞ケ浦なら護岸際で水深が1mあれば、小魚を追い込みやすい反面、天敵の鳥からも見えにくく逃げやすい。もちろんバスは水深30cmの場所にいることもあるけれど、初心者はまず、水深1〜1.5mくらいの場所で釣りをしてみるといいよ」

水温や水深によってレンジが変わる

水位の上下も要チェック。以前釣れたポイントも水位が下がるとまったく釣れない、なんてことも多い

水温計で計る

吉田さんは水温計を携帯している。水温を計ることでバスの居場所を絞れるのだ

水深を調べる
吉田さんは岸際の推進を知るために、ロッドを突っ込んで調べていた。「ロッドで深さを調べるときは落下に注意!深すぎるときもあるからね。」

◆バスがハードボトムを好む理由 バスはハードボトムを好んで、居場所にすることが多い。ハードボトムには泥が少ないため、水が澄みやすく居心地がいいからだ。また、水が澄みやすいので日光が届く。

しかもハードボトムは石や岩などでできているので、コケが発生しやすい。コケが発生するとそれを食べるエビや小魚が集まってくる。ハードボトムにいれば、バスはそんなエビや小魚を楽に捕食することができる。

つまり、ハードボトムはバスにとってメリットだらけの場所ということになる

生態系が生まれる

バスが、石や岩、コンクリートなどでできた場所を好むのは、生態系が生まれ、エサが豊富になるからだ

実践編

時合や天候を考え、バスを探した実践例

今回は実際に時合や天候を考えながら、吉田さんに霞ケ浦でバスを探してもらった。実釣日は4月28日。天候は曇りのち晴れ。水温は16℃。風向きは北北東。朝の風速は約1m。代掻きで川がにごっていたので霞ケ浦本湖をメインに釣りをした。

「バスのベイトのシラウオがシャローにいるんじゃないかと思ってまずミノーを使った」

まずは石田ワンドから
ハードボトムの石田ワンドのミノーを引く。「風がないからシラウオがウロウロしているかと思って」

沖宿の護岸へ
1〜1.5mの水深がある沖宿の護岸沿いでクランクベイトを巻く。「ここもボトムが硬い。護岸際についているバスがクランクに反応しないかな」

カイツブリがいた
沖を見るとカイツムリが小魚を捕食している。「小魚を食べる鳥がいるからバスがいるかも!」

牛渡のドッグ周りへ
10時過ぎに風が強くなり水面が波立ちはじめた。「風に寄せられた小魚を狙うバスはいないかな」

恋瀬川河口へ
昼過ぎに日差しが強くなり、シェードになる場所を狙う。しかし反応はなかった。「風が強すぎ!」

美浦の浜へ大移動
「読み間違えたかも」と美浦の浜へ。浜のブレイクにいるであろうバスを狙ってミノーを引く

HIT!

バスでなくキャットが釣れた!

ヒットルアーはミノー
16時55分、強烈なアタリ!しかし上がってきたのはキャットフィッシュだった。「バスじゃなくて残念。バスもいるポイントなんだけどね」

実践反省点
「アオサギや貝物理がいたから、弱ったシラウオが風邪による波で打ち寄せられて、それをねらったバスがいるのではと思ってやってみた。途中から風が強くなりすぎたからもっと早く対応していればよかった。いまはバスよりキャットの数が増えているのでキャットが釣れちゃったね」

◆タックル

取材で吉田さんが使用したタックル。(上)小型クランクベイト用:フェンウィック/テクナGP TF-GP61CL+ダイワ/SS+サンライン/磯スペシャル16㍀。(下)ミノー用:フェンウィック/アイアンフォークIHHS510Y-CLJ+ダイワ/TWSジリオンSV5.5+サンライン/磯スペシャル16㍀

まとめ
・使いたいルアーで釣れる場所を探そう
・バスは自然の中にいる。自然の変化に敏感になろう
・釣れたら〝なぜ釣れたれのか〞をよく考える

【塾長の今月の格言】
天候や時合をを考えることで、バスが釣れるようになる!