UOMO(ウオモ)の編集長インタビュー

編集長プロフィール

集英社
「UOMO」編集長 岩瀬朗さん

いわせあきら 1961年生まれ。東京大学文学部卒業、1984年集英社入社。芸能誌、男性誌を経て2004年創刊準備から 「UOMO」に携わる。2007年3月より現職。

編集長写真

第17回UOMO編集長 岩瀬朗さん

男も「見た目」が大事「上品」「キレイめ」「ちょっと華あり」でいきたいものです

―2005年の創刊ですが、創刊の背景について教えてください。「LEON(レオン)」の成功というのが大きな理由だったのでしょうか。

というよりむしろ、「MEN‘S NON-NO(メンズ・ノンノ)」が創刊されて20年以上経ち、当時の読者がそれなりの大人になったということが一番の理由です。
いま「UOMO(ウオモ)」の表紙モデルをお願いしている阿部寛さんも、ギネスブックに載るくらい長く「メンズ・ノンノ」の表紙を飾った人でした。そんな阿部さん世代が成熟したということですね。
 もちろん「LEON」が成功して、ここに市場があるという判断もありましたが、若い頃DCブランドやインポートブランドに夢中になった人が大人になって読む雑誌が必要だったということです。

―岩瀬さんは創刊時からこの編集部でしたか。

広い編集部は新しいビル内にある
広い編集部は新しいビル内にある

はい、当時私は副編集長で、「メンズ・ノンノ」創刊時のスタッフだった宮脇純が創刊編集長でした。私は2007年から引き継ぎました。
その前は「週刊プレイボーイ」の編集部にいたんですが、私を含め「UOMO」の編集部はかなりハイブリッドな組織で、男性誌なのに女性の数が非常に多く、様々な雑誌の経験者がいるのが特徴なんですよ。

―女性目線をかなり意識されているのですね。

ええ、それがオリジナリティにもなっていると思います。
現在編集者11人中女性が5人、デザイナーは5人中女性が4人です。ですから彼女たちの視点や意見が誌面にかなり出ているのではないでしょうか。
 具体的なページへの落とし込みで言えば、例えば本来なら男性がひとりでスーツを着て立っていれば事足りたものを、隣に女性を配することで全体のバランスを考えながら男性ファッションを見せる。そのようなことをしているんですね。
やはり女性の社会進出が大きく作用していて、かつては男性中心だったオフィスや仕事のあり方も女性との関わりなしには成立しなくなっています。単純に言えば、女性を意識しない仕事はバランスを欠いたものになっているということですね。
たとえば私の仕事でも、スキンケア商品の打合せなどに行くと、同席している私以外 全員が女性だったりします。相手は広告主なので、「見た目」で悪い印象を与えたら、それは媒体価値にもかかわります。
 ですから、女性の目線にはすごく気をつかいます。 「モテる」ということももちろん重要ですが、やはり、「見た目」というのがまずは大切で、女性は特にスルドイんですね。

―雑誌に登場するモデルは外国人が多いですね

ファッションディレクター小野澤氏の専用本棚もある
ファッションディレクター小野澤氏の専用本棚もある

そうですね。ファッションページにはプロの日本人モデルはほぼ登場しないと思います。
ただ、ビジネスマンや、文化人、俳優などの有名人には登場してもらっています。外国人モデルの華やかな部分と、日本人のリアルな部分を、そのように使い分けているんです。
最近日本のオフィスは本当にお洒落になったと思います。一昔前までは、銀行の行員さんがファッション誌に登場することなどなかったですよね。会社の規定も厳しいし、いわゆるビジネススーツですから見るほうもつまらない。
でも今は、かっこいい人なら雑誌に出たほうが、「こんなお洒落な人がオフィスにいる会社は素敵だ」ということになって、価値が上がるんですね。企業側もそんなメリットを十分理解するようになったんだと思います。
本当にお洒落でかっこいいビジネスマンが増えていると思います。見た目と中身の知性が伴っているというか。

――そうすると、どういう特集に人気があるのですか。

ミラノのスナップを毎年2回やるんですよ。これは人気がありますね。やはりメンズファッションはイタリアを避けて通れないのかなあと思いますね(笑)。
イタリアブランドの物の良さに加え、イタリア人自身がファッションを楽しむということをよく分かっているんです。トラディショナルな教条主義でもなく、そこにはルールはあるんだけれど上手に自分なりに理解してそれを楽しんでいる。イコール人生を楽しんでいるといった風にも見えるんですよ。
私もショーを観に毎シーズンミラノへ行きますが、それははっきり感じることができます。日本人はそんなライフスタイルに憧れますね。

――ファッションブランドとのコラボもよくされますか。

はい。この10月号ではブルネロ・クチネリさんとのコラボをやりました。
不況でモノが売れない時代ですが、クチネリは着実に売り上げを伸ばしている。やはりモノがしっかりしていて嘘がないということに、しっかり顧客はつきますね。今回は伊勢丹さんと共同でイベントもやったのですが、大成功を収めることができました。
これもイタリアの職人らしいといえると思うのですが、彼は地元の職人を保護し、村おこしをしながらしっかりしたブランドを維持しています。リーマン・ショックでダメージを受けた強欲資本主義とは正反対の、地元密着型の丁寧なものづくりに賛同する人が多いんだと思います。

――雑誌づくりでも学ぶことが多いですね。

ページを並べながらl構成を確認する
ページを並べながらl構成を確認する
校了紙でもこれだけのアカが入る
校了紙でもこれだけのアカが入る

そうですね。私は雑誌ってやはり夢を見せるものだと思っているんです。
だからその夢を読者とともに追いかけるようなことをやっていきたいですね。そのためにビジュアルには特に気を遣っています。ファッションページは担当者とアートディレクターたちとでつくりあげていくのですが、写真の選び方には本当に気を遣っています。

――創刊当時から変わってきたことはありますか。

スキンケアのニーズが高まりました。これは創刊当初からいつか来るぞと言われていたのですが、ようやくブレイクし始めた感じです。
さっきも言いましたが、やはり見た目の重要性が高くなっているのだと思います。見た目の清潔さ、品のよさなどが仕事をする上で重要な要素になっているということです。

――広告部の要請などはどのくらい聞くのですか。

これはもう一心同体(笑)。タイアップも編集も混在しているページづくりになっています。
でも編集ページだからよくてタイアップだからダメということはぜんぜんありません。むしろタイアップのほうに反響が大きかったりすることもあるくらい。
世代的にブランド好きが多いので、広告も自ずとそういう傾向が多いのですが、編集ページでは必ずしも高額なものだけを取り上げているわけではありません。
一般的な企画では、やはり近頃の景気の悪さを反映してか家の中を扱うものが増えています。インテリアやキッチンなどですね。私自身が料理好きといったことがあるのかもしれませんが(笑)。

――webもリニューアルされました。

はい、ことしの2月に新装オープンしました(http://webuomo.com/top/)。これは編集部とは別の部署でつくっていて、 eコマースなどもやっています。独立したチームでオリジナル・コンテンツをつくり、これからいろんな展開をやっていきます。

――週刊誌時代と比べて忙しさはどんな感じですか。

香りに気を遣う編集長のデスクにある香水
香りに気を遣う編集長のデスクにある香水

週刊誌をやってるときのほうが楽でした(笑)。でも充実しています。
午前中には社に来て事務作業をこなし、昼は展示会めぐり、夜は打ち合わせを兼ねた会食などが多く、たいていそれで1日が終わってしまいます。校了時はギリギリの進行になるので徹夜作業になったりもします。
月1回の会議でファッションも含めた全テーマを出し合います。それに沿って動いていくのですが、私自身はファッション雑誌のマンネリ化を防ぐ意味でも、全然違う世界を覗いてそれをページにしたりしています。いま連載中の佐藤可士和さんの対談企画やアートの企画などがそうです。
でも、やはりできれば雑誌づくりも私生活も、「上品」「キレイめ」「ちょっと華あり」をモットーにしていきたいものですね(笑)。

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(2009年9月)

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