クルマ社会の未来も見えてくる!?旧車の祭典「ノスタルジック2デイズ」が人気なワケとは?

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2月23(土)と24(日)の2日間にかけて、パシフィコ横浜で開催された「ノスタルジック2デイズ」に行ってきました。
「ノスタルジック2デイズ」は、株式会社芸文社が発行するクラシックカー(旧車)雑誌「Nostalgic Hero」「ハチマルヒーロー」「Nostalgic SPEED」の3誌が合同で主催する“出会える"“買える"“楽しめる"をコンセプトにした日本最大級のクラシックモーターショー。11回目の開催となった今回は、昨年を上回る2万8162人超が来場しました。

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初日となる23日は、開場時間の午前10時前からすでに入場待ちで長蛇の列。その中心は、やはり展示されるクルマたちと若い頃を共に過ごしたシニア層で、なかには「かつてはさぞかしヤンチャな若者だったのだろうな」と思わせる風貌のオジさんの姿もちらほら。しかし、皆さん仲間たちと楽しそうに昔のクルマ談義に花を咲かせている光景は、実に微笑ましいものがありました。また、そうした親世代の影響なのか、20〜30代の若いファミリーが小さな子ども連れで訪れていたり、国境を越えた国産旧車の人気を反映させるかのように、外国人の姿も見られたりするなど、幅広い層が来場しました。

広い会場内に入ると、松田聖子やバナナラマといった、80年代の歌謡曲やディスコミュージックが流れ、瞬時に“あの頃"へとタイムスリップ。そして、所狭しとばかりに勢ぞろいした往年の名車たちの勇姿が目に飛び込んできます。
展示コーナーでは、国産旧車は日産スカイラインGT-R、フェアレディZ、トヨタ2000GT、マツダコスモスポーツ、いすゞベレット、117クーペなどの国産旧車のほか、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニ、ベントレー等の外国車も多数並びました。いずれも内外装ともに極上のコンディションに仕上げられ、見る者の目を奪います。

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続いて、旧車販売コーナーに移動しました。現在、国産旧車の価格が高騰していることは知っていたものの、知人が日常の足代わりに乗っていたクルマにも、すごいプライスが付いているのを見つけ、しばし唖然。ブースの方にお話をうかがったところ、「国産車なので基本的に性能はいいのですが、30年以上前のクルマなので、エンジンはもちろん、足回りから内装までレストア(修復)し、ほとんどトラブルなく安心して乗れる状態にしてあります」とのこと。
“ASK"と表示されたクルマも目立ちます。かつて自分が乗っていたクルマが今ではもの凄い価格に跳ね上がっていて「手放さなきゃよかった…」とやるせない気持ちになった人たちもきっと多いことでしょう。

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当日は旧車の展示販売だけでなく、カーグッズおよびパーツの販売、塗装やレストア、さらにはミニカー、専門書籍、カタログ、ヴィンテージ雑貨など、全国から130の業者が出展し、どのブースも大勢の来場者で賑わっていました。
また、大手自動車メーカーからはマツダが昨年に引き続きブースを出展。今年は主力車種「ロードスター」がデビュー30周年を迎えるということもあり、マツダファン、そしてロードスターファンがブースに集まりました。
業者だけでなく、一般による個人出展ブースが集まる「スワップミート」も開催しました。旧車のオーナーなど、個人だからこそ提供できるパーツやコレクショングッズなど、意外な掘り出し物が見つけられる人気のコーナーとして、毎回人気のプログラムのひとつです。

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このほか、ステージでは、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員でもあるフリーアナウンサーの安東弘樹氏による司会進行で、旧車オーナーのインタビューや、日産のスポーツカー「フェアレディZ」のデザイナー、松尾良彦、山下敏男両氏とのトークセッションが行われました。松尾・山下両氏との対談では、フェアレディZの象徴的なボディカラーとなったマルーンを採用するにあたり、当初は「“女王陛下の色"と呼ばれるくらい高貴な色だからスポーツカーには合わない」という反対意見が出ていたこと、また、同車が世界にその名を轟かせたことで、欧米で開催される講演会に招かれた時はレジェンド扱いを受け、多くの人からサインを求められたといったエピソードをうかがうことができました。
さらに、ピンクレディのトリビュートユニットである「オレンジレディ」のライブや、お笑いコンビ、イワイガワによるライブとトークショーなど、旧車好きの“付き添い"として来場した人も十分に楽しめるイベントが用意されていました。

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来場した人の誰もが楽しめるよう趣向を凝らした「ノスタルジック2デイズ」ですが、今なぜこのような旧車イベントが人気を集めているのでしょうか。リアルタイムで当時のクルマに接した世代にとっては、まさにイベントのタイトルどおり、ノスタルジーに浸れる点が大きいと思いますが、実際、会場には、当時と接点のない若者や外国人の姿も多数見られました。彼らをも惹きつける旧車の魅力とは、一体何なのでしょう。

70年代から80年代は、まさに日本という国家そのものに勢いがあった時代でした。そうした背景の中で開発された国産車たちは、その流麗さと力強さで、世界を席巻していったのです。実は、前述のフェアレディZのデザイナー対談でも「Zが欧米の名だたるスポーツカーのメーカーをことごとく駆逐してしまった」というほど、当時の日本車は世界の自動車業界に多大な影響を及ぼしました。その強烈なインパクトは、半世紀近く経った今も薄れることはなく、クルマ作りに懸ける開発者たちの熱い想いを感じ取ることができます。コストやマーケティングが最優先され、環境への配慮も重視されるなど、クルマの在り方そのものが変化した現代では、当時のような魅力を放つクルマは出てこないでしょう。

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自動運転のテクノロジーが進み、目的地をセットすればシートに座っているだけで着いてしまう、そんな「スマートモビリティな未来」も便利でいいと思います。しかし、その一方で、クルマはいつまでも運転する悦びを無条件にもたらす存在であってほしい…。そんな風に思っている人がまだまだたくさんいることを、取材を通じて実感しました。

ふと横を見れば、離れがたいかのように立ち尽くし、オレンジに輝くフェアレディZを見つめる男の子。この少年が免許を取る年齢になる頃には、どんなクルマ社会になっているのか…。そんな思いを巡らせつつ、会場を後にしました。

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