
Kappo 仙台闊歩
【東北の発酵文化】
現代にも受け継がれる、麹を味わえる旬菜みそ茶屋『くらを』
冬の足音が聞こえてくるころ、蔵元は寒仕込みで一斉に忙しくなります。 低温でじっくりと発酵が進み、旨みを引き出します。 秋に収穫されたばかりの新鮮な素材を使えるなど、その理由はさまざま。 私たちは食材の長期保存のために、発酵の手法を用いてきました。 長い冬を過ごさねばならない東北と発酵食品は切っても切り離せません。 そして今、食品だけにとどまらず、発酵をテーマにまちづくりが行われています。 Kappoでは、懐が深い発酵の文化を特集しています。 今回は秋田県にある旬菜みそ茶屋『くらを』について紹介します!秋田県横手市 旬菜みそ茶屋『くらを』
成瀬川と皆瀬川との合流店である横手市増田。
養蚕や葉タバコといった物資の流通と人の往来で街は賑わい、
豪農・豪商たちが軒を連ねる経済の要衝として大きく栄えました。
2020年3月にリニューアルオープンした『くらを』の店舗が 有形文化財である旧勇駒酒造の母屋に内包された内蔵のような造りになっていることも、
増田の町を大切に思う店主・鈴木百合子さんの想いがよく現れた粋な意匠です。
鮮やかな鏝絵の看板を掲げた入り口近くは、日々の暮らしを彩る生活用品や器、 地場の加工品などのセレクトショップ。 味噌樽を思わせる半円形のカウンターでは、
『くらを』の母体である『羽馬こうじ店』の味噌の計り売りやカフェメニューが楽しめます。
通しガラスの先には『くらを』の厨房と食堂が。 季節の野菜や山菜、キノコ、果物などを麹を使って多彩に料理した、豊かで鮮やかな発酵料理が膳に並びます。 「麹屋のあるところは、米の採れるところ。このあたりはどこも米の産地ですから、かつてはそれぞれの集落ごとに1軒は必ず麹屋があるのがあたりまえでした。うちの屋号である”羽場”も、集落の名。 この地域で発酵食の文化が発達したのは、言ってしまえば米しかないからかもしれません。米しかないから、米からすべてを生み出す必要があった。その過程に麹があり、麹を下支えにした文化が育ったのでは、と最近思うんです」
一時の麹ブームにより、その存在は見直され、家庭料理にも再び活かされるようになりましたが、
『くらを』の料理を味わうとまだまだ奥が深い、と唸らされます。
「健康や美容と結びついて語られるのも悪くないですが、そもそも麹は昔のお母さんたちが家族に食事を作る際、便利に支えて手間なくおいしくなるから使っていたもの。 だから、現代の食生活でももっと気軽に使えるように、という提案を料理に込めています」
漬物や煮物だけでなく、サラダや炒めものにも合う麹。
日本の食卓には欠かせないものとして、現代でも受け継がれていくとうれしいですね。
本誌では、東北の発酵について、味噌や醤油、納豆、日本酒、ワイン、ビールなど さまざまな発酵文化を紹介しています。 こちらからご覧いただけます。
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