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新しい概念を手に入れることは、新しい眼鏡をかけた時、
風景の輪郭が鮮明になり、世界がまるでちがって見えてくることのように
漠とした何かが、概念の誕生によって可視化され、説明できるようになります。
『ジェンダー(歴史・文化・社会的に形成される性差)』は、
まさにそうした概念の一つでありますが、人によっては未だ「遠い他人事」に過ぎないのかもしれません。
ところが『食』という誰にとっても身近な事象と『ジェンダー』を掛け合わせてみると、
それは身近な自分ごとに反転します。
今回のVestaでは、『食とジェンダー』について特集しています。
北欧の食とジェンダー平等

経済学を専門分野とする小野坂優子さんによるコラムの一部を紹介します。
ノルウェーの人たちは食に対するこだわりが
日本よりも相対的に低い
ジェンダー平等が進んでいるといわれる北欧の食とジェンダーについて考えたとき、
もう10年以上ノルウェーに暮らす私が真っ先に思い及んだのは、食に対するこだわりが日本よりも相対的に低いことが、ジェンダー平等に大きく関わっているのでは、ということです。
ノルウェー人だってもちろん美味しいものは好きだ。
しかし、暮らしへのこだわりは衣・食・住で表すとすれば、私の印象では“住>食>衣”だ。
長くて暗い冬を乗り越えるためか、ノルウェーをはじめ、北欧の人は住まいを快適にすることに大いなる情熱を捧げています。
持ち家の人が多いこともあるかもしれないが、常に何かしらのホームインプルーブメントプロジェクトを抱えていて、本格的なテラスや堀なども自分たちで器用に造ってしまう。
ソーシャルな食と日常の食
北欧の人は、家にいることが好きだ。
家族や友人と時間を過ごすのも、外食するより家に招くことが多い。
そこで出てくるのが「食」だ。
夕食を一緒に、という場合もあれば、コーヒーを飲みに来ない?ということもあるが、そういう場面では、だいたい自家製の食べ物やケーキが振る舞われる。
誰かを呼ぶとなれば、それなりに時間をかけて料理を作る。そして、そういう週末やパーティのようなソーシャルな機会の食は女性がになっている印象だ。
しかし、普段の、日常生活での食はどうかといえば、日本人からすれば手抜きと思われるような食生活を送っている。日本だと三食温かい物を食べるのは当然と思うかもしれないが、ノルウェーだと温かい食事は夕食のみ、というのも一般的だ。
例えば朝はシリアル、昼はサンドイッチ、という具合だ。
このサンドイッチも、決して凝ったものではなく、パンを切ってハムとチーズを乗せただけのオープンサンドとか、切ったパンと缶詰のサバを持参してランチのときにサバをパンに乗せて食べる、というようなものだ。
これらは、マットパッケと呼ばれる典型的なランチで、子どもたちのお弁当はこういったマットパッケに果物とヨーグルトでも持たせれば上々だ。
平日の夕食も基本的に自宅で食べるが、夫婦共働きが一般的であり、子どもたちも習い事などが忙しいので、平日は手早く作って手早く食べることが多い。
統計によると、平日の夕食の調理にかける時間は30分くらいが一般的だ。内容も、メイン(チキンやサーモン)にプラスでサラダとパン、もしくはパスタなど、ワンディッシュ完結型で、ご飯とお味噌汁に主菜プラス副菜何品かが要求される和食に比べると圧倒的にハードルが低い。
この平日の食事の簡易さがジェンダー平等に貢献していると感じるのは、共働きで子育てしている者にとっては、決して大げさではないと思う。
北欧の生活から、日本の共働きの生活スタイルも真似できる部分があるのでしょうか。
続きは本誌にてご覧いただけます。
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