《インバウンドの急回復と課題》年内にコロナ前の水準へ…課題は受け入れ態勢整備

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新型コロナウイルス感染症の蔓延で大打撃を受けた産業の一つが観光産業でした。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを一つのゴールとして、
観光産業はインバウンド(訪日外国人客)の取り込みに注力し、インバウンドは着実に増えてきました。

しかしコロナの感染拡大に伴い、外国人の入国が制限され、インバウンド需要は消滅。

 

3年を経てコロナは終息に向かい、経済は正常化しつつあります。

22年10月に水際措置が緩和され、外国人観光客の訪日が再開しました。

インバウンド戦略を仕切り直す格好となりましたが、予想を上回るペースでインバウンドは増加してきています。

今後、中国からの訪日が本格化すると、さらなる増加が見込まれます。

一方でコロナ禍の爪痕は大きく、受け入れ体制の不備が課題として挙がっています。

 

好機ととらえつつ、いかに課題を克服するのか。

観光立国に向けたインバウンド戦略が再び始まっています。

 

週刊エコノミストに掲載されている、インバウンドの急回復と課題についてピックアップします。

 

年内にコロナ前の水準へ
課題は受け入れ態勢整備

 

 

想定をはるかに超えるペースでインバウンド(訪日外国人観光客)が回復しています。

 

新型コロナウイルス感染症発生前の2019年には年間3188万人の外国人入国者を記録しましたが、
コロナ禍で急減し、最も少ない2021年は24万5862人と19年比で99.2%減となりました。

月間ベースで最も少なかった20年5月は月間1663人でした。

 

日本は諸外国と比べて入国制限をしている期間が長く、
コロナ前にビザなしで入国できた国からの旅行者も、
20年春から22年10月10日までの約2年半の間はビザなしでの日本への入国はみとめられませんでした。

 

そんな中、22年10月11日の水際対策の大幅緩和で、
コロナ前にビザなしで入国できた国からの観光客が再びビザなしで入国できるように。

そして円安や物価安も追い風にインバウンドが本格的に復活。

2023年1月はコロナ前の2019年比55.7%の月間149万7300人を記録。

2月も同56.6%までインバウンドは回復しています。

 

中国人抜きで6割回復

 

国別で入国者が急増しているのは韓国、米国、ベトナム。

東京や大阪など都市部を中心にインバウンドが急回復しています。

特に円安の恩恵を最大限受けている米国からの旅行者の高級温泉旅館の利用も目立ちます。

 

また韓国からの観光客は、韓国のLCC(格安航空会社)が相次いで日本路線を再開させ、
航空券自体も割安で若者を中心に3年以上ぶりの日本を満喫している光景が見られます。

 

韓国については19年後半から徴用工問題もあり、日韓関係が冷え込み、韓国人の訪日旅行者も大きく減らしていましたが、
韓国の政権が代わったこと、徴用工問題が前進したことに加え、
若者を中心とした日本ブームが過熱したことで多くの韓国人が日本を訪れています。

 

ここで注目したいのは中国の動向

今年に入り、1月8日から中国は個人での海外旅行を解禁し、パスポートの新規発給などを再開するとともに、
海外から中国へ戻る場合の中国入国時の検査が撤廃され、中国へ向かう便が出発する48時間以内のPCR検査のみとなりました。

 

しかし日本政府が中国からの入国者全員に対し、22年12月30日以降、日本到着時に入国時検査を実施し、さらに便数も認めなかったこと、富裕層で日本入国に必要なビザを持っている人などに限定されたことで、1月2月共に中国人の入国者は19年の同月比でわずか5%にとどまりました。

現在は便数が認められるようになりましたが、
日本への団体旅行が認められておらず、本格的な回復には至っていません。

 


 

本誌では、さらに詳しい中国からのインバウンドや、日本のお店の人手不足なども取り上げています。

 

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