
この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。
記事の有効期限以降は本誌は非公開となります。ご了承ください。

博物館や地下鉄など暮らしに馴染みのある施設には、
“関係者以外立ち入り禁止”の『バックヤード』が存在しています。
恐竜の骨格標本はどのようにつくられるのか?
地下鉄の車両基地の構造は?
競走馬の厩舎での仕事は?
バックヤードに潜入し、表舞台を支える人々の仕事に密着、
未知の世界の扉を開く、大人の社会科見学をしてみましょう!
今回はタイの象使いの伝統を引き継ぐ動物園『市原ぞうの国』の飼育・管理を紹介します。
「象を幸せにしたい」という言葉を胸にオープン
黒潮の影響で温暖な気候の房総半島。
『市原ぞうの国』はそのほぼ中央部、緑豊かな丘陵部にあります。
同園のオープンは1996年、当時動物プロダクションを経営していた、現『市原ぞうの国』の延長の坂本小百合さんが、
そのプロダクションの動物の飼育場としていた『山小川ファーム』を『市原ぞうの国』と改称しました。
それは不慮の事故で亡くなった息子さんの「象を幸せにしたい」という夢を実現するためでもあり
1998年から本格的に同園事業に乗り出しました。
同園では基本的にひとりの象使いが1頭の像を担当します。
象使いと象が互いに信頼をし合い、強い関係性を築くことにもなる、重要な朝のルーティンが体のブラッシングです。
副園長の佐々木麻衣さんによるとこうした日々の触れ合いは、担当する象の体を単に洗っているだけではなく、
象の体に触れることでその日の体調や精神状態などを仔細に観察しているのだといいます。
100kgに及ぶ餌は象の好みに合わせて作る
巨大な体躯の象を飼育する上で食事はとても重要です。
果物、生草、干し草、おからといった食事以外にも、
毎朝象使いたちが敷地内の裏山に出向き竹や笹などを採取し与えています。
その竹も軟らかさや部位の好みがそれぞれ異なるため、
自分が担当する象の食事の好みや体調などを十分考慮して与えているそうです。
大人の象は一日に100kgほど食べるので準備するのも大変だそう。
体格や年齢、健康状態によって前出の餌以外にもドッグフードのような固形物を与えることも。
繊細な動物であるがゆえに、栄養管理には最新の注意を払っています。
象使いのセンスは象が描く絵に表れる
同園のメインイベント『パフォーマンスタイム』は、
象たちがあらゆる芸を器用にこなしてゆくという同園の見どころで
中でも筆を使って絵を描く光景には目を見張るものがあります。
今回繊細なタッチで絵を描く“りり香”と、担当のユッタナ・センディさんの練習風景を見学。
センディさん自身、絵を描くことが好きなので、とりわけ質にこだわって練習に取り組み、園でも評判です。
絵を描く際は、象使いが手順に沿って象に筆を持たせ、掛け声をかけることで、象がそれに合わせて筆を振るいます。
描かれる絵も季節によって変わるので時間を見つけては次に描く絵の練習に励んでいるそう。
佐々木さんはこう話します。
「象と接していると頭の良さやコミュニケーション能力が高いことがわかります。その一例がお絵描きで、担当者と象、二人三脚で絵を描くことを楽しんでいるんですよ」
現役から老後まで象のための住環境整備
園内を歩いていると、あらゆることに気が付きます。
象たちがのんびり過ごす場所、パフォーマンスを披露する場所、
多くの象が進行する道にいたっても全くといっていいほど象の糞が見当たりません。
その理由は象が糞をすると、すぐさま象使いが駆け寄って掃除をするからで、それを徹底しています。
象舎も同様、熱帯がルーツである象たちは、室温10度以下になると体調を崩しやすくなるので
常に室温18度を保つために11月頃になると暖房をつけ始めます。
また、象舎の隣には象使いの居住区があり、全員がここで暮らしています。
いつでも象の異変に気づき、対応できる体制を整えているのです。
「例えば地震が起こった時に、大人の象は慣れていますが子象は怯えてしまいます。そうした場合でも象使いが駆けつけて担当の象に寄り添い落ち着かせるようにしています」
さらには年老いた象や休養が必要な象たちがのんびり過ごせる『勝浦ぞうの楽園』という老象ホームも存在します。
ここは一般の方は見学不可、象のための楽園です。
象にとって、どんな環境で過ごすことが幸せかを一番に考えた『市原ぞうの国』。
ここにはさらにいろんな工夫が施されていました。
本誌では市原ぞうの国以外にも、深く迫った社会科見学ができる特集が掲載されています。
- 科学博物館の研究室『国立科学博物館』
- 競馬場の厩舎・馬場『大井競馬場』
- 巨大タワーの地下施設『東京スカイツリー』
- 地下鉄の車両基地『東京メトロ』
- 水族館の巨大水槽『海遊館』
この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。
記事の有効期限以降は本誌は非公開となります。ご了承ください。









