《脱炭素社会へ》ゴミだったものが新たな地上資源に…『LEPLAN』が目指す平和な世界

  • 更新日
  • 有効期限 2023.10.26

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日経平均株価が33年ぶりに高値圏に突入し、海外投資家の日本株買いが進んでいます。

実は、上場企業以外にも、世界の市場で戦える会社が日本にあることをご存知でしょうか?

 

Forbes JAPANでは、『地上資源』でNY証券取引所上場となった日本のベンチャー企業『LEPLAN』を紹介しています。

 

地上資源でNY証券取引所上場へ!
世界中の企業が提携を求める『希望の星』

 

 

脱炭素社会へ向かうなか、
国内外から工場誘致や提携の話が引きも切らない
日本のベンチャー『JEPLAN』

 

16年前、繊維商社のある営業マンが描いた『資源をめぐる争いがない世界』の妄想から始まりました。

 

ペットボトルや服を再生できるように化学処理

 

 

『JEPLAN』は2023年以内にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場する見通し。

ソニー、ホンダ、トヨタ、MUFGなど現在上場している日本の10社はすべて大企業。

そこに、2007年に創業した中小ベンチャーである同社が続けば、日本経済にとって歴史的快挙となります。

 

同社傘下のペットリファインテクノロジー社のケミカルリサイクル工場(川崎市)は世界最大級で、
東京ドーム15個分が収まる広さをもちます。

2交代制24時間稼働で、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を使ったボトル、
いわゆるPETボトルを化学処理し、『ペレット』と呼ばれる再生PET樹脂の小さなかたまりを製造しています。

飲料メーカーはこのペレットを購入し、新たにPETボトルをつくるのです。

PET樹脂の生産能力は年間2万2000tにも及びます。

 

JEPLANは川崎工場以外にも北九州市に、
同じくポリエステルから服に使う再生ポリエステル樹脂を製造する北九州響灘工場を運営しています。

こちらは繊維用で生産能力は年間1000tに達します。

アパレルメーカーは、この樹脂を原料とした糸を使って衣類をつくることが可能です。

いま、そのJEPLANに世界から投資だけでなく、50を超える工場誘致や提携話が舞い込んでいます。

 

ふたりで描いた『世界平和』の道筋

 

2007年に現会長の岩元美知彦氏が高尾正樹社長と
ふたりで計120万円を出して創業したJEPLAN(旧:日本環境設計)が世界から注目を集める理由。

それは単なるリサイクル企業とは違い、『地上資源』をつくる『仕組みの会社』だからです。

 

同社はPETボトルやポリエステル繊維を再生するPETケミカルリサイクル技術に関連した
商用プラント事業や技術ライセンス事業だけではなく、
服やメガネ、携帯電話、おもちゃのリサイクルに携わるほか、
回収した服から服をつくる『BRING』ブランドで回収・リサイクル・製品の製造や販売まで手がけているのです。

 

そして、それを実現するために、産業横断的に国内外の企業と連携しながら、
製品を循環させるプロジェクトの企画や運営をするマーケティング企業的な側面をもちます。

 

不要な洋服を店頭で回収するプロジェクト『BRING』

 

なかでも、不要な洋服を店頭で回収するプロジェクト『BRING』には、
23年4月の段階で197ものブランドが参加しており、
回収拠点は4299ヶ所もあります。

参加企業は無印良品やMUJIブランドを展開する良品計画や、
パタゴニアなどのアパレルを製造するブランドのほか、
高島屋や大丸、松坂屋といった百貨店なども含まれています。

 

こうした不要になった衣類を回収するネットワークをはじめ、独自技術のライセンシングはもちろん、
工場敷設・運営のノウハウ、アパレルブランドの展開が評価され、
22年8月には投資会社のベイリーギフォードやMPower Partners、
東京海上日動火災保険などから24億4000万を調達しています。

 

“地上資源”を循環させた、平和な世界へ

 

「取引相手から『JEPLANは何がやりたいんですか?』と聞かれます」

 

岩元氏は楽しそうに話します。

 

「僕らは、“地上資源”を循環させたいだけです」

 

PETやポリエステル繊維は石油からできています。

PETボトルやポリエステル繊維100%の服などを高品質かつ半永久的にリサイクルできるようになると
それまでは『ゴミ』だったものが新たな『地上資源』として使えるようになるのです。

 

地上資源を循環させられたら、CO2の排出量を減らせるうえ、地下資源をめぐる戦争やテロを減らし、
平和な世界をつくれるかもしれない……

 

それが岩元氏の思いです。

 

彼はJEPLANの形態を『総合商社』にたとえます。

同社が多角的な事業運営をしている理由を知るには、
岩元氏と高尾氏が会社を立ち上げた16年前にさかのぼる必要があります。

 


 

本誌では、岩元氏がリサイクルを考えるきっかけになった映画について語られています。

 

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