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「お金は稼ぐだけ幸せ」
「人生長生きしたほうがいいに決まっている」
このような凝り固まった価値観にとらわれてはいませんか?
PRESIDENTでは、価値観をアップデートし、生き方の選択肢を広げる10名の『新しい価値観』を特集しています。
今回はその中から、生物学者が教える『時間の価値観』を紹介します。
年々速くなる時間の流れを
ゆっくりにすることはできるのか?
解説するのは生物学者の本川達雄さん。
91年より東京工業大学教授で、現在は名誉教授。
著書『ゾウの時間ネズミの時間』は90万部を超えるベストセラーです。
エネルギー消費量が少ないほど時間は遅い
時の流れが年々速くなっていると感じている人も多いのではないでしょうか。
これは心理的な時間です。
人間の身体には、時間を正確に測る感覚機関は備わっていません。
アリストテレスは時間を「前後に関しての変化の数」だと定義しました。
時間には前後がありますね。
そして変化がたくさんあるほど時間が経ったと感じるものでしょう。
アリストテレスの時間の定義は、その後の哲学により受け入れられてきました。
アリストテレスは変化を心臓で感じていると考えました。
では、その心拍に注目してみましょう。
心拍数は動物によって異なり、小さい動物ほど速く、たとえばハツカネズミは1分間に約600回打っています。
反対に体の大きいゾウは1分間に20回ほどです。
心拍が時間を数えるカウンターだとすれば、ゾウの時間とネズミの時間は異なります。
同じ1分でも、ハツカネズミのほうが30倍長いと感じているでしょう。
このような時間が生理的時間です。
体重の重い動物ほど心拍はゆっくりで、1拍の時間が長くなります。
体重が10倍になると、生理的時間が2倍ほど長くなります。
じつは心臓1拍の間に体の細胞1個が使う平均的なエネルギーは、動物によらずほぼ一定であることがわかっています。
体が大きいほうが、動きもゆっくりで、それだけエネルギーの消費量も少ないと考えればわかりやすいでしょう。
エネルギー消費量とは、どれだけ働いて仕事をしているかを示しています。
ネズミは同じ1分間に、ゾウの30倍も仕事をしているんですね。
つまり生活のペースが速いのです。
動物の種類が違っても、生涯の総心拍数はほぼ同じです。
ゾウもハツカネズミもおよそ15億回です。
したがって、心拍がゆっくりなゾウはあまりエネルギーを使わず長生きですが、
ハツカネズミは多くのエネルギーを使うので、命が短くなります。
でも一生に細胞が使うエネルギー量には違いがなく、同じだけの仕事をして一生を終えるのです。
以上の関係は子どもと大人の間でも見られます。
子どもは心拍が速く、エネルギーをたくさん消費しているので時間は速く過ぎます。
一方で、年を取るとエネルギーを使わなくなるため、時間はゆっくり流れていく。
生理的時間は年とともにゆっくりになります。
では、本来ならば年を取ったほうが時間の流れは遅いのに、
「時間が速くすぎる」と感じてしまうのでしょうか。
これは後で振り返ったときに「あっという間だった」と感じる心理的な時間です。
たとえば、おじいさんと孫が一緒に夏休みを過ごしたとしましょう。
過ごしている間、孫はエネルギーをたくさん使って多くの活動をしますので、変化の数が多い。
だから時間がたくさん経ったと感じます。
一方でおじいさんはあまりエネルギーを使わず時間が遅いから、変化の数が少なく、
振り返って見るとあっと言う間に夏休みが終わったと感じてしまいます。
つまり時計の時間には早さの違いも充実度の違いもないのですが、
生理学的時間には違いがあるんですね。
エネルギーをたくさん使えば生活のペースが上がって時間がはやく進むという見方ができるし
また別の見方をすれば、同じ1時間という時計の時間で比べれば、
その中でエネルギーをたくさん使ってたくさんの“仕事”をしている時間は
濃密で充実したものになるから、後から振り返れば長いと感じる。
“仕事”を何もしないと時間はスカーンと経ってしまいます。
年を取っても「充実した時間を過ごした」と感じるためには、記憶に残る変化をたくさんつくることです。
何かに一所懸命になれば、エネルギーを使うことになり、子どものときのような濃密な時間を過ごすことができます。
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また他にも、『お金』『命』『友人』『仕事』などの新たな価値観が掲載されています。
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