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「東京・日本橋の大家」の異名を持つ三井不動産が、不動産業の殻を打ち破ろうとしています。
スポーツやエンターテイン名とから製薬、宇宙開発まで手を広げ、新たな価値の創造を狙う三井不動産社長・植田俊氏。
就任2年目を迎えたトップが見据える次のなりわいとは?
街づくりから産業づくりへ
5月に東京・築地の再開発の計画内容を発表しました。
世界を見渡しても都市中心部における再開発として屈指の規模ではないでしょうか。
「そうですね。都心で19ヘクタールもの更地をミクストユース(複合用途)で開発する場所はなかなかありません。築地では食、エンターテインメント、イノベーションのある街づくりを進めます。
世界最大級の屋内型マルチスタジアムは、競技やイベントなど用途に合わせて変形させて使えます。2400人規模のMICE(国際会議や展示会)施設も隣接しており、MICE機能が弱いといわれてきた東京の弱点を補えるでしょう。食については、築地市場の歴史を踏まえ、築地市場の歴史を踏まえ、場外市場の皆さんとの協業や施設内へのフードコート、フードラボ設置も考えています。
最終的には日本の産業競争力に資する活用をしたいです。築地にある国立がん研究センターのような高度な医療機関と連携した研究施設やイノベーション施設をつくりたいと考えています」
問われるオフィスの付加価値
新型コロナウイルス禍が明け、オフィス回帰が進んでいます。
オフィス事業をどう捉えていますか。
「業種・業態により異なりますが、当社のテナントでは7~8割ほどの社員が出社していると思います。空室率も都心の平均より全体的に低いです。2024年3月末の当社首都圏物件の空室率は2.2%ですが、25年3月にはコロナ禍前よりも低い水準に下がると見ています。
リアルのコミュニケーションによって新たな思想を生むというオフィスの究極的な有用性が認められたのではないでしょうか。
経営者もオフィスの付加価値の重要性に気づいています。ただ『戻ってこい』と言うだけで社員が出社してくれる時代ではありません。経営者は従業員が出たくなるオフィスをどうつくるかに苦心しています。オフィスの中身だけでなく、『来たくなる街』にオフィスがあることも必要十分条件です」
建物の中身だけでは意味がないということでしょうか。
「そうですね。口幅ったいですが、日本橋などの再開発で我々は『仕事でなくても来たくなる街』を目指してきました。ミクストユースの原点である施設『東京ミッドタウン』のような要素は経営者にとっても、これまで以上に大きな付加価値になっています」
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