男性ブランコ・平井まさあきが考える『大人の男』「誰に対してもフェアな心で愛すこと」

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今号のananは『大人の男』を特集し、表紙をB’zの稲葉浩志さんが飾っています。

 

時代が変われば、魅力的に映る男性像も変わってくる?

お笑いコンビ・男性ブランコ平井まさあきさんが考える、いまの時代の大人の男とは?

 

誰に対してもフェアな心で愛すこと

 

 

文:男性ブランコ 平井まさあき

 

とあるバーにスーツを着た男がふらり入ってくる。

カウンターの奥の店に座り、手に持っていたジュラルミンケースを置く。

そしてマスターにポツリ。

「82年もののマッキスクーリー、ロックで」。

お酒を待つ間、スマホなんて触らない。

ただ虚空を見つめ、思索を巡らし、吐息を漏らす。

そしてお酒が手元に出される。

 

まずは、グラスの中にある丸い氷を優しく抱いているかのように満ちている黄金色のウイスキーを軽く揺らす。

その様子を見る。

見る。

見るのだ。

これを俗に見酒(みしゅ)と言う。

 

お次はウイスキーの香りを楽しむ。

嗅ぐ。

嗅ぐ。

嗅ぐのだ。

ご存知、これを鼻酒(びしゅ)と言う。

 

そしていよいよ味覚の出番。

一口目は上唇にちょっと浸すだけ。

まずは上唇でお酒を感じる。

そして下唇を上唇にくっつけて後を追うようにお酒を感じにいく。

これをくちび酒(くちびしゅ)と言う。

 

あとはお待ちかね、「舞む(のむ)」である。

口内という舞台でウイスキーという名の踊り子たちに舞い踊ってもらうのだ。

つまりお酒とはダンスなのだ。

十分に口内ダンスパーティを味わった後はお会計。

ケースからピストルを取り出し一言。

「お代は鉛弾で頼むぜ」。

 

 

こんにちは。芸人を生業としています平井まさあきと申します。

 

いきなりで恐縮だったのですが、冒頭から想像の「かっこいい大人の男」像を書き連ねさせていただきました。

自分が書いた文章ながら、大人とは真逆の性質、なんと幼稚なのでしょうか。

後半はもう幼稚ですらなくなり、何を言ってるんだのオンパレードです。

ウイスキーの名前をあんまり知らないからマックフルーリーみたいな名前を勝手に捏造。

そして、その後には非常に変なゾーンに突入。

なんだ見酒って。鼻酒って。なんなんだ、くちび酒って。

こんなのあってたまるもんかです。

お次は口内ダンスパーティ。

なんだ口内という舞台でって。

極めつきはお代を鉛弾で払おうとするところです。

大人の男どうこうじゃなくて、やばい奴です。

 

僕のような“ピーマンヘッド野郎”が「かっこいい大人の男とは」を考えたところで
前記のような人が浮かび上がってくるだけでした。

想像力で補えないということは現実に頼るしかない、ということで、
実際に身近にいる人からかっこいい大人の男像を炙り出したいと思います。

 

僕がかっこいい大人の男を考えた時、一番先に濃ゆく、そして色鮮やかに脳裏に映し出される人がいます。

芸人の先輩であるアイロンヘッドの辻井さんです。

僕がアダルティダンディ(大人の男をこう呼称したいと思います)な辻井さんに出会ったのは、
今から10年以上前のことです。

 

僕は芸歴1年目の芸人、辻井さんは3年上の先輩。

3年というのはとても大きな差で、当時話しかけることもできませんでした。

そんなある日、たまたま街で辻井さんと突然遭遇したのでした。

僕はもちろん辻井さんを知っていましたが、辻井さんは僕のことを全く知りません。

咄嗟に「おはようございます!男性ブランコというコンビの平井です!」と早口で挨拶をしました。

いきなり知らない奴から声をかけられたわけですから無視してもおかしくないわけです。

「おう」とか「ういっす」とかそれぐらいの返事でもありがたいです。

すると辻井さんはニコニコヒゲヒゲ笑顔でそうか!おはよう!元気か?」
返事をされました(辻井さんは濃ゆい髭がトレードマークです)。

僕にはそれがとても衝撃的でした。

辻井さんは別に芸人の先輩後輩とか肩書きどうこうではなく、どんな人に対しても一人の人間として接するのだなと思いました。

 

また、僕がとあるテレビの仕事でとても落ち込んだことがありました。

仕方ないことなのですが、僕らってここまで軽んじられているのかと、こんなに無下に扱われる存在なのかと、
そして仕方ないことと思ってしまう自分にも落胆しておりました。

そんな中、その仕事で一緒だった辻井さんは直接僕らに言うわけでもなく、
SNSで鼓舞してくれるような一言を何気なく呟いてくれておりました。

即刻保存の極み。

どれだけ心励まされたことか。

辻井さんにとっては一つの呟きにすぎなかったのかもしれません。

しかし、その言葉は一人のしがない芸人を救ってくれたのです。

 

何より辻井さんは面白い。

相方のナポリさんももちろん面白い。

この事実こそ、これらの言動に圧倒的な説得力を持たせてくれています。

よって僕が思う「かっこいい大人の男」は、誰に対しても色眼鏡で見ずフェアで、
周りの人間を寛大な御心で愛し、それゆえ誰にでも愛され、理想的に面白い男。

それこそアダルティダンディなのです。

もはやヒーローです。

辻井さんこそヒーローアダルティダンディマンなのです。

辻井さん、僕もいつかヒーローアダルティダンディマンの二代目継がせてもらえるようがんばりますね。

 


 

本誌では、インティマシーコーディネーターの浅田智穂さんのコラムも掲載されています。

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