この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。
多くの人は、人生の大半を『働くこと』に費やします。
そこにはどんな意味があるのでしょうか。
PRESIDENTでは、人生の黄金期を過ぎ、新たなステージに移りつつある3人を直撃しています。
今回は経済アナリストの森永卓郎さんのインタビューをピックアップします。
「もうすぐ死ぬ人は、何でもやれる」
末期がんになって悟った人生の意味
思わず唖然…
テレビ局社員が放った言葉
文:森永卓郎
いまやる、すぐやる、好きなようにやる。
それが、社会に出てから44年間、貫いてきた私の信条です。
周りに忖度せずに、自分が正しいと思うこと、好きなことをする。
私はお金を稼ぐ手段というよりも、「遊び」に近い感覚で仕事に取り組んできました。
だからかもしれません。
末期がんを宣告されたいま、やり残したことはほとんどないと言い切れるのは…。
「来年の桜は見られないと思います」
昨年11月23日、私にステージ4の末期がんの疑いがかかりました。
ただ当初は自覚症状が全くなかったので、自分ごととして受け止められませんでした。
専門家にセカンドオピニオンを求めましたが、2人とも同じ見立て。
その後、年末にがんが確定し、抗がん剤治療で体調が一気に悪化しました。
考えられない。
しゃべれない。
飲めない。
食べられない……。
朦朧とするなか、はっきりと死を意識しました。
がん宣告を受けた多くの人が延命を望み、
長らえた時間でおいしいものを食べたり、旅行に出かけたりしたがるそうです。
しかし死を意識した私にそうした欲求は一切わきませんでした。
その代わり真っ先に、何が何でも未完成の新著を刊行し、真実を世に問わなければ、と強く思ったのです。
運良く「気付薬」のような点滴が効き思考能力が戻り、
会話ができるようになると、息子に口述筆記してもらいました。
完成した『書いてはいけない』で、私は「ジャニーズの性加害」「財務省のカルト的な財政緊縮主義による国民の洗脳」、
そして「日本航空123便墜落事故の闇」という日本の3つのタブーに切り込みました。
私がメディアに出演しはじめて四半世紀が経ちます。
私はコメンテーターの役割を「本当のことを言うこと」と受け止め、仕事をしてきました。
しかし現場では政権やテレビ局に都合よく聞こえのいい発言をする識者が重宝されます。
逆に、本当のことを言えば、疎まれ、干されてしまう場合もあります。
近年、この傾向が顕著になってきました。
2~3年前ですが、あるテレビ局のプロデューサーに「本当のことを言うコメンテーターは使わない」と言われ、
唖然とした覚えがあります。
実際、本当のことを書いた『書いてはいけない』は、
発売3ヶ月で24万部を超えるベストセラーになったにもかかわらず、大手メディアからは軒並み無視されました。
それでも私が本当のことを言い続ける原点は、毎日新聞の記者だった父の存在です。
私が大学生だった1977年に、毎日新聞が事実上倒産し、父は退職しました。
失業後、生活が一気に苦しくなった。
そんな時期に父に大きな仕事が舞い込んできました。
世界的に有名な作家の作品の翻訳を依頼されたのです。
大金が転がり込んでくる。
これで貧乏から脱却できる。
家族みんながホッとしましたが、ぬか喜びに終わりました。
本誌では、記事の続きをお読みいただけます。
この記事が掲載されている雑誌は、こちらからお読みいただけます。