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塗料大手日本ペイントホールディングスが、M&Aを原動力に業績を伸ばしています。
低リスクの企業の買収を積み重ねる『アセット・アセンブラー』という独自モデルを掲げます。
金融業界のノウハウを総動員して株主価値の最大化に汗をかいている…といいます。
日経ビジネス電子版では、日本ペイントホールディングス 共同社長 若月雄一郎氏にインタビューしています。
エゴなき分権経営究める
この10年で業績も時価総額も急激に伸びました。
要因は何でしょうか。
「もともと塗料業界は企業同士のすみ分けが結構できていて、キャッシュも稼げる業界でした。ある意味『ぬるま湯』に浸かっていたのです。ですが、リーマン・ショックのときに、売上高がおよそ2000億円、営業利益が30億円ほどという年がありました。このままではいけないと『サバイバル・チャレンジ』という構造改革を始めたのが2009年ごろです。
このまま大阪のいち塗料会社で終わるのではなく、グローバルに出て行きたいというなかで、1962年からアジアで合弁事業を運営してきたウットラムグループ(シンガポール)というパートナーがいるじゃないかと。2014年に合弁事業への出資比率を51%に引き上げ、連結子会社化したのがグローバル化の第一歩でした。
もう一つの転機が18年です。ウットラムの株主提案で社外取締役が増え、経営陣は上場会社としてのミッションを『株主価値最大化(MSV)』だと捉えるようになります。その後オーストラリアやトルコ、欧州などの企業の買収を進めました。一言で言うと『安定している』会社を積み上げていこうというのが、18年以降の我々のM&A(合併・買収)のテーマになっています」
「子より頭がいいと思うな」
22年から、既存事業とM&Aを両輪として成長する
『アセット・アセンブラー』というモデルを打ち出すようになりました。
「MSVというのは、ステークホルダーに対する責務を充足した上で残る株主の価値だけは最大化できる、というモデルです。ステークホルダーの価値の最大化と言う人もいますが、従業員に利益の全てを与えることはできません。ステークホルダーの価値というのは最大化できない。
21年に私とウィー・シューキム氏の共同社長体制になり、『僕たちの生業って何だろうね』と徹底的に議論しました。そうして『アセット・アセンブラー』という言葉を使うようになりました」
アセット・アセンブラーというモデルの考え方を教えてください。
「一言で言うと『親の方が子どもより頭がいいと思うな』ということです」
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