アメリカ最古の蚤の市『ブリムフィールド・アンティーク・フリーマーケット』レポート

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アメリカの開拓史がはじまった、このニュー・イングランドという土地で開催され、
最も歴史があり、広さも最大級だといわれる『アンティーク・ショー、ブリムフィールド』。

 

「西のローズボウル、東のブリムフィールド」と呼ばれながらもその実態は未知数です。

アメリカを象徴する蚤の市が一体どんなものなのでしょうか。

 

POPEYEでは、ブリムフィールドのフリーマーケットを取材しています。

 

アメリカ最古の蚤の市
ブリムフィールド・アンティーク・フリーマーケット

 

 

文:Shimpei Nakagawa

 

ブリムフィールド・アンティーク・フリーマーケット(以下、ブリムフィールド)のことは
周囲からちょくちょく耳にしていた。

ヨーロッパからNYに越してきた友人カップルが「新居の家具一式をブリムフィールドで揃えようと思っている」とか、
アンティークショップを営む友人が「毎回仕入れに足を運んでいるよ」とか。

 

でも正直、いわゆる骨董品とはまだ程遠い自分にとって、電車で行けない場所ということもあって、
いつか行ければいいやくらいの、近いようで遠い存在だった。

全米最大規模にして、現存するアメリカで最古のフリーマーケットの一つといわれるブリムフィールドは、
1959年のスタート以来、マサチューセッツ州の小さな街で毎年5月、7月、9月にそれぞれ6日間にわたって開催される。

アメリカ国内のみならず、世界中から5万人以上が訪れ、出店数はなんと2500以上!

たびたび参加するという友人から
「かなり広いから1日や2日じゃ回りきれないだろうし、
俺はいつもチャリを持って行って会場内を移動しているよ」と聞いたものだから、
そのスケール感に少々ビビり気味ではあったけれど、行ってみなきゃ何も始まらないと、
とにかく古くてでかいという最低限の知識だけを備えて、NYから一路東へ。

 

会場では名物サンドイッチを

 

渋滞がなければ、NYからは車で3時間半ほど。

朝出発して着いたのは昼時。

すでにたくさんの人で賑わっていて、大中小様々なものが、テントからはみ出してラフに陳列されている感じや、
道行く人たちの音楽フェスのようないでたちも相まって、到着早々、お祭り感がすごい。

 

ひとまず全体像を把握するため、端から端まで歩いてみよう。

ところどころで寄り道をしながら回ってみたが、とにかく広い。

1マイル(1.6km)にわたって、国道の両脇にブースが並んでいて、
一つ一つをじっくり見ていたら、
数日じゃ全く足りないスケールだ。

 

いわゆるスリフトのようにジャンルレスに様々なものを扱う玉石混交系の店もあれば、
3万枚にも及ぶ19世紀以降の世界各地のポストカードのみを売るおじいちゃん
ヴィンテージの消化器だけの店なんかもある。

とにかく、モノ!モノ!モノ!で溢れていて、その物量に圧倒されているうちに、
気づけばあっけなく時間切れ(フィールドによっては朝6時には店が開き、夕方の4時くらいいは閉まり始める)。

でも、25年間出店し続ける名物店主のマイケルや、若手の常連組など、
プリムフィールドを熟知する人たちとの出会いがあり、

明日に繋がる貴重な情報もゲットできたところで、初日は終了!

 

2日目は朝一から。

この日オープンするフィールドのゲート前には開場を持つ長蛇の列。

来場者のディグ熱を感じ、今日こそは、とオープンと同時に吸い込まれていく人波の中に飛び込む。

 

まずは馴染みのあるものから手に取ってみよう。

会場で持っている人を何度か見かけた70年代の新聞配達員のバッグは、
丈夫で容量もあるから使えそうだし、ジャスパー・ジョーンズのシルクのポスターなんかもあった。

徐々にテンションも上がってきたとこで、名もなき素敵な骨董品を見つけたいという欲求がムクムクと。

というのも、会場で出会ったアダムに聞いた
「価値があるとかないとかじゃなくて、
自分を信じて本当に惹かれたものを見つけよう」
という言葉が頭の片隅にこびりついていたからだ。

 

まもなくして顔のような文様が彫られた石と目が合った。

これはまさか?

店主がやってきて
「それね、ケルト人が作ったここにある中で恐らく一番古いもので、1450年頃くらいじゃないかな」。

で、お値段は?

「800ドルだけど600ドルでいいよ。もちろん現金オンリーね」。

完全に予算オーバーだ。

 

結局運命的な出会いはなかったけど、ものの価値についてここまで揺さぶられるとは思わなかった。

初参加の先例を受け、いまだ近くて遠い存在には変わりないが、“いつか”ではなく、
“すぐに”戻ってこようとバックミラー越しに小さくなっていく白いテント群を見て誓った。

 


 

本誌では、実際にフリーマーケットにて売られている商品達が紹介されています。

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