井村屋グループ社長「海外市場では材料がシンプルになればなるほど評価される」

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井村屋といえば、誰もが知っている『あずきバー』。

しかし、それだけではなく常に新商品を発売したり、災害時にも役立つ商品も展開。

週刊エコノミストでは、井村屋グループ社長大西安樹氏にインタビュー。

 

海外市場では材料がシンプルになればなるほど評価される

 

昨春の社長再登板から約1年半が経過しました。

 

「新型コロナウイルス感染症が昨年5月に感染症法上の5類に移行し、人の動きが出て、消費環境が変わるというタイミングでした。一方で、原材料価格などの高騰により、コストダウンや価格改定も必要になっていました。周囲の努力により、目指していた業績を達成できたと考えています」

 

2024年3月期の業績は増収増益で過去最高でした。
主要原材料である小豆の価格高騰の影響があった19年以降、業績は順調に伸びています。

 

設備投資をコンスタントに実施した効果が出てきています。昨年度は調味料事業で新工場のスプレードライヤー(噴霧乾燥機)が稼働開始し、冷凍和菓子の製造ラインも新設しました」

 

今年度から3ヵ年の中期経営計画では、いずれも過去最高の売上高550億円、
営業利益33億円、海外事業売上高比率8.8%を目標に掲げていますね。

 

国内では新たな設備投資を実施予定で、中計ではこうした積み上げを見込んでいます。一方で、海外の売上高のウエートを高めていくというのも一つの軸として考えています」

 

あずきバー、発売50周年
他商品も続々登場

 

主力商品の「あずきバー」は昨年、発売50周年の節目を迎えました。

 

「50周年の企画として原材料を含めた見直しをしました。コーンスターチを原材料から抜き、砂糖、小豆、水あめ、食塩というよりシンプルなものにしました。特に海外市場では、材料がシンプルになればなるほど評価されます。あずきバーシリーズの抹茶とミルクについても、使用するお茶やミルクのグレードを見直し、よりおいしくするリニューアルを実施しました。

また昨年は、1973年の発売当時の原料や配合、パッケージデザインを再現した復刻版も数量限定で発売しました。こうしたバラエティーがあってもいいのかなと思います。海外での展開も広がっており、徐々に伸ばしていきたいと考えています」

 

冷菓事業では最近、冷凍食品のたい焼きを発売しましたね。

 

「オリジナルの皮のための粉を作り、あんも糖度にこだわり、『たい焼き屋さんのたい焼き』を意識して作りました。計画前倒しで順調に来ています。当社が持っている技術を集約し、満を持して出したということが評価されているのではと思います」

 

長期保存が可能な「えいようかん」が災害時の備蓄用に注目されています。

 

「5年間の消費期限をクリアする必要がありましたが、長期保存が可能な袋を使用して、5年6ヶ月の賞味期限の商品として出すことができました。化粧箱には点字で中身がようかんであると表記し、災害時伝言ダイヤルの利用方法も載せています。『もしも』の時に貢献できればと思います」

 


 

本誌では、インタビューの続きをお読みいただけます。

 

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