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いつも明るく元気でいる必要なんてない。
ネガティブな自分も優しく受け入れる大切さを、
メンタルヘルスやさまざまな社会経験について
イラストと日・英で発信するメディア『blossom the project』の中川愛さんが語ります。
ネガティブな感情を抑えるのは有害なこと
私たちは、常にポジティブであろうとがんばっていないでしょうか。
いつもご機嫌できるように言い聞かせ、怒りや悲しさを感じたらその感情を消そうと必死になる。
負の感情はさらに悪いものを引き寄せてしまうように感じ、不安になり、
もっと自分を奮い立たせようとする……というふうに。
近年、このような“ポジティブ礼賛”とも言える姿勢に疑問を呈する動きがあります。
トキシック・ポジティビティという言葉が、心理学や自己啓発の分野で広く使われるようになったのはそのひとつ。
直訳すると『有害なポジティブさ』を意味します。
このワードに関して、メンタルヘルスについて発信する中川愛さんは語ります。
「トキシック・ポジティビティとは、『ポジティブになれ』と自分に強いることだと私は考えます。日本の社会はネガティブなことも我慢できる人が偉いという風潮があるので、トキシック・ポジティビティを助長しているかもしれません」
アメリカ生活も長い中川さんですが、日米の違いは感じるのでしょうか。
「アメリカにも『ポジティブなほうがいい』というプレッシャーはあります。ただ、日本と違うのは、おかしいと思ったときにはポジティブであろうとせず声を上げるところ。日本は、例えば女性が育児家事を押し付けられて大変でも、我慢をする傾向があると感じます」
ところで、ポジティブでいることの何が悪いのでしょうか。
「もちろんポジティブでいられるときにポジティブなのは悪いことではありません。でも、怒りや悲しみなどマイナスとされる感情をなかったことにして抑える癖がつくと、どんどんたまっていく。そして、うつや身体的不調につながる可能性があります」
中川さん自身、17歳でうつ病を発症した経験があるそう。
「10歳でアメリカから日本へと引っ越し、学校になじめないなか、何とか認められたいと無理をしていました。加えて、家族のことでも問題が生じ、ネガティブな感情を持つ自分を責めてばかりいました。私のなかで、『幸せ=ネガティブな感情を一切持たない』というイメージが作り上げられていて、それを手に入れたいと必死だったのです」
大学を休学して、瞑想やジャーナリング、サーフィンをするなど、じっくりと自分に向き合う時間を作った中川さん。
徐々に、『ネガティブな感情を抱くのは当然』と思うように変化していったといいます。
「ネガティブな気持ちを持つ自分を責めていたときは、やる気がなくなり、またそんな自分を責めて……と悪循環に。でも、『悲しみも苦しみも、どんな感情を持ってもいい』『どんな気持ちを抱いていても私の価値は変わらない』、と自分に言い聞かせていると自然と活力が湧いてきて、いい方向に道がひらけていくようになりました」
悲しいことやつらいことを友人から打ち明けられたとき、
その気持ちを否定せず、まず受け止めるのが重要だと、私たちはいろいろな人間関係で学んでいく。
前向きになるよう無理強いしたりしないでしょう。
自分自身に対しても、同じことをしてあげるのが大切です。
本誌では、他にも精神科医が解く『がんばらないマインドセット』なども特集されています。
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