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脳の話をしましょう。
もっと脳について知りましょう。
頑丈な頭蓋骨に守られた脳は、直に見ることも触れることもできないけれど、いまもこうして思いを巡らせ、息をしているのは、私のすべてを司る『脳』があるから。
その営みの中に、生き方のヒントを見つけに行きましょう。
今号のkiitos.では、『脳の癒やし方』について特集しています。
わたしに向き合う『脳』の話

解説:国際医療福祉大学病院 脳神経外科教授 脳神経外科医 中冨浩文先生
脳神経外科医として、これまで4000件以上の手術を執刀してきた中冨先生は、患者と向き合うたび“脳と人生は密接に結びついている”と感じると話します。
「重篤な方が生まれ変わったように回復したり、昨日まで元気だった方が、まったく別人のようになってしまう場面に遭遇すると“脳が人生をつくっているのだ”と思い知らされます。
うつ病と診断されたある患者さんは、脳に腫瘍があることがわかってそれを摘出すると、精神病として診断されていた数年間のことをまったく覚えておらず、術後、『借り物の人生を生きてきた感じがする』と話されていました。
そんなケースを目の当たりにするうちに“生き方が変われば、脳も変わるのではないか”と、逆説的な発想をするようになったのです」
世の中では“大人になって脳が完成してしまえば、以後成長しない”という定説が根強く浸透しています。
また、生まれ持った脳の素質には抗えないと、克服したいことをあきらめてしまう人もいます。
「脳の神経回路は学習や経験によって変化し続けます。たとえその一部が損傷しても、ほかの部分で補うことができる力が脳にはあるのです。これを『神経可塑性(かそせい)』と呼び、現代の脳科学では、適切な刺激を与えることで、脳は何歳になっても成長できることが明らかになっています。
これは、日々の生活習慣や経験が、脳の構造や機能に影響を与えているということ。いままでしてきた人生の選択が、私たちの脳には刻み込まれているのです。
つまり、脳の使い方が人生の方向性を決定づけるということを意味します」
脳には機能別に領域があります。
しかし、すべての脳の機能を均等に支えている人は稀です。
偏りなく脳を活用できているか意識することは、ひとつの生き方のヒントになります。
例えば、美術館を訪れてアートに感動すること。
自分の想いを言葉にして伝えること。
好奇心旺盛にさまざまな経験を積み重ねて脳を刺激していけば、人生は彩り豊かなものになります。
「脳の使い方次第でいくつになっても人は輝けるということは、恩師の姿からも実感しています。米国では医師は終身雇用で、引退は自分自身で決めますが、80歳を超えても素晴らしい手術をする先生がたくさんいらっしゃり、中には98歳で現役の医師として活躍する方も知っています。細胞が老いないよう、年齢を重ねるほどに運動量を増やして、若々しさを保たれているご高齢の医師が現にいるのです」
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