
PRESIDENT(プレジデント)
【茂木健一郎×山口周】あの人は本物だ
「いつの時代も、成功者が内に秘めるもの」
永遠の成長を前提とする経済ではなく、これからは経済にヒューマにティを取り戻す時代。 成功するビジネスには、なぜ哲学が必要なのか。 21世紀の「知」をリードする二つの知性が思索します。 脳科学者の茂木健一郎さんと独立研究者の山口周さんが対談します。「高原社会」の21世紀 人は幸福を求めていい
茂木「ご著書、拝読しています。ビジネスを、哲学・アート面から論じられており、非常に刺激的で、面白いです」
山口「嬉しいです。茂木さんこそ僕のアイドルでして、『生きて死ぬ』以来ずっと愛読しています」
茂木「『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』では、現代社会を高度に文明かした『高原社会』だと表現されています。
たしかに21世紀の先進国に生きる僕らは、もはや衣食住には満ち足りています。もちろん日本にも貧困はあるし、世界を見渡せばまだまだ課題は山積みしている。だけど国民の8割が”そこそこ満足”と答える社会で、今後どうやってビジネスをしていくかは、21世紀の大きな課題です」
山口「高度経済成長があれほど〈成長〉できたのは、戦後の破壊状態に、あらゆるものが〈欠乏〉していたからです。全国に高速道路や新幹線を敷き、マイホームにマイカー、全自動洗濯機にカラーテレビなど、人々はモノを必要としていました。まさにパナソニック創業者、松下幸之助さんの『水道哲学』の世界です。『生産者の使命』とは『生活物資を無人蔵に提供して貧を除くこと』。
その意味では、『ビジネスの歴史的使命』は、見事に完了したんです」
茂木「『失われた20年』は、『停滞の暗い谷間』ではなく、『成熟の明るい高原』に至った状態ということですね。
そもそも科学の世界では、人口曲線にしろ学習曲線にしろ、どこまでも上昇するはずがないというのが常識です。どこかでいわゆるロジスティック曲線(S字カーブ)を描くようになる。ところがビジネス分野だけが、ずっと右肩上がりに成長するはず、すべしという成長神話に取りつかれてきました」
山口「むしろ今後考えるべきは、定常社会で、どう経済活動を回していくか、またどうすれば人々が幸福に暮らしていけるかといった課題です。同時に人々をがむしゃらな経済活動に駆り立ててきた資本主義のあり方も、改めて考え直す時期に来ています」
茂木「面白い時代でもありますよね。考えるべき課題はたくさんあります。地球環境問題、エネルギー開発と消費問題、格差問題に仮想通貨や暗号資産の問題。そもそも貨幣とは何なのかというところから再議論する必要もあります。こうした議論をするには、最高の知性や哲学が集結しないと難しい」
山口「もはや人間の経験や認知限界を超えていますからね。予定調和的に設計ができない以上、いろいろ実験してみるほかありません。例えば、ベーシックインカム(BI)導入論がある一方で、MMT(現代貨幣理論)も存在します。ならば一度100兆円刷ってみて、BIに充ててみたら、一体どういうことが起こるのか。各国バラバラにやっても無駄な実験が増えるだけなので、国際協調で様々な仕組みを実験して、その結果をシステムに収斂させていくやり方しか、方法はないのではないでしょうか」
本誌では今後のビジネスについて、お二人が対談をしています。 こちらからお読みいただけます。

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